アーティスト持田香織さん(46)。高校生のときに一度はアイドルグループとしてデビューし、18歳からはELT(Every Little Thing)のボーカルとして活動し数々のヒット曲をリリース。3人組で結成した当時の話から、2人組となったELTの当時の想いを語っていただきました。約30年ともに歩んできたギタリストの伊藤一朗さんについて、持田さんだからこそ知っている話についても教えていただきました。
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★ 仮歌を入れる歌い手になったことがきっかけでELTデビューに
★ デビュー当時は少し尖っている方がかっこいいと思っていました
★ 10歳離れている一朗さんからは学ぶことも沢山ありました
★ 一朗さんとの距離感が絶妙であったからこそ30年やってこれました
母に連れられていったスナックがきっかけで歌に興味を持つようになりました
昔から母に連れられてスナックに行き、人の前で歌ったりすることがありました。来ていた常連の方々に「うまいね」と言ってもらえると嬉しく、歌うことって楽しいなと興味を持ち始めました。その時は歌手になろうとか、それを仕事にしようとか考えていたわけではなく、当然ELTのように男性と組む形態までをも想像していたわけでもなく、とにかく歌うことが好きだとわかりはじめた頃でした。その後中学生になった頃、母の知り合いの方がアイドルグループの募集があるからやってみてはと声をかけてくれたのでなんの気無しに応募してみると、運良く受かり女性アイドルグループの一員として活動していました。当時グループを組んでいた方たちと歌ったり仕事をするのがとても楽しかったのを覚えています。そのあと恵まれたことにソロでCDをださせてもらうことになったのですが、なかなか売り上げに繋がらず…。これからどうしようかなと考えていたのが、高校生の頃でした。
仮歌を入れる歌い手になったことがきっかけでELTデビューに
ELTの初期メンバーだったキーボーディストの五十嵐充さんが、当時avexの専務を勤めていた松浦さんにデモテープを提供する際、仮歌を入れる歌い手を探していたのですが、知り合いを通じて私をその役に選んでもらえたことが出逢いでした。曲ができあがると学校が休みの毎週末にスタジオに仮歌を入れに通い、それをつど松浦さんが聴いてくださり、その数々の曲がたまると、「デビューをしたら?」とデビューをさせてもらえることに。そこからはとんとん拍子に話が進んでいき、デビュー曲「Feel my heart」ができあがりました。仮歌と同時に仮ギターを弾いていた伊藤さんもメンバーに加わることになり、男性2名と女性1名のELTが誕生しました。
デビュー当時は少し尖っている方がかっこいいと思っていました
当初はイメージを統一するためにミニスカートにロングブーツの衣装が多く、たまには違う服装もしたいと思っていたので、かっこいいブランドのものを着させてもらうことはありがたい経験でした。デビュー1曲目から海外で撮影をさせえもらえたりと、とてもバブルな時代だったので、この贅沢な世界に染まらないようにしなければと強く思っていました。ただ一方で、当時の私は若かったこともあり強気で、少し尖ってるほうがかっこいいと勘違いしていたのか(笑)、生意気であったなと。当時のスタッフさんに久々にお会いするときはまず「あの時は未熟ですみませんでした…」と謝るようにしています(笑)。
10歳離れている一朗さんからは学ぶことも沢山ありました
一朗さんは、穏やかに見えていると思うんですが、実はすごくせっかちな性格らしく。それをあえて人前では出さないように、穏やかな性格に見えるようにつくり出したキャラクターなんだそうです(笑)。一朗さんがそう話していたとき、そんなことができるものなのかと驚きました。もちろん、そう言っているだけで温厚なことには間違いないのですが。それでもそうであろうとすることが凄いなと。ものづくりをするにあたり、期日が迫ってきたりして余裕がなくなると私は相手を不意に傷つけてしまうこともあったのですが、それでも一朗さんは怒ったりとか感情論で話すことは一度もなく、とても尊敬しています。年齢も10歳離れていますから学ぶこともたくさんありました。
一朗さんとの距離感が絶妙であったからこそ30年やってこれました
そんな一朗さんとずっと一緒にELTとしてやってこれたのは、異性として全くタイプではなかったからだと思います(笑)。いや、半分冗談で半分本当で、恋愛にならないことは非常にいい関係性であるような気がして。もちろん、結婚されてご夫婦で素晴らしい楽曲を提供されていらっしゃる音楽家の方々もたくさんいますが、私はこの良くも悪くもいい距離感であることがとてもいい関係性であるなと。彼もおそらく同じでお互い様だと思うのですが、いい意味で気にならない。親戚のような距離感。約30年経ちますが、今がいちばん一朗さんと良い関係です。月に一度仕事で彼と話しをしますがそれこそフレッシュな感覚で楽しくやっています。ご縁があって今もこうして同じ仕事をさせてもらえて本当にありがたいですね。お互い健康でいようねと誕生日をお祝いしあえることが今の喜びです。
撮影/平井敬治 ヘア・メイク/岡田知子 取材/小出真梨子 ※衣装は本人私物