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Lifestyle憧れリーダー連載

正体不明なものと対峙する恐怖から逃れるための唯一の方法は、“学ぶ”こと|ユナイテッドアローズ執行役員 山崎万里子さん

女性としてこれからのキャリアに悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。第一線で活躍している女性リーダーの方々にお話を伺うと、そこには、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、株式会社ユナイテッドアローズ執行役員の山崎万里子さん。お洒落が大好きだった少女がユナイテッドアローズに入社して32年。彼女が積み重ねてきたSTORYをご紹介します。(全3回の2回目)

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山崎万里子さん(50歳)
株式会社ユナイテッドアローズ/執行役員・チーフヒューマンリソースオフィサー・人事本部 本部長

1973年福岡県生まれ。学習院大学経済学部在学中にアルバイトとしてユナイテッドアローズで働く。卒業後、同社に入社し、販売促進、広告宣伝、経営企画等に携わり、2010年に同社女性初の執行役員に就任。ユナイテッドアローズ本部副本部長等を経て、2021年に人事本部本部長 兼 人事部部長、2023年より現職。


 

企業の成長に伴い生じた摩擦。会社への様々な想いが交錯する中で見出していった「好き嫌いではない、職業として自分ができること」

STORY編集部(以下同)――学生時代のアルバイトという立場から正社員という立場へと変わり、改めて感じられたこととは?

会社の人たちは育成の義務がないので、お願いされたこと、頼まれたことをやって感謝されたのがアルバイト時代。尚且つ、「すごいね」とも言われるんですよ。それが正社員となると、当然所属する部署があって、そこでやらなければいけない仕事、ある程度細分化された中の一つを期限内に行い、成果物を持って報告する。今思うと、それが仕事。それが当たり前なんです。

――アルバイト時代同様に楽しんで仕事ができましたか?

入社当時はきつい、辛いって思ってました(笑)。アルバイト時代とは違い、会社が当然私を社員として育成するという義務があるので、その目線で厳しく接するじゃないですか。それが少し辛かった。ただ、辞めたいと思ったことは一度もありませんでした。

――入社されてから、会社が大きく成長されていく中で、記憶に残る大きな出来事というのは?

やはり、会社が上場したことは大きな出来事でした。当初は、株式を上場するということの意味がよく理解できてなかったんです。でも、わからないなりにも、当然そのための準備があるはずとは思っていました。ユナイテッドアローズがお店から会社になった時代。そのど真ん中にいて、これは一体何なんだろうと思いながら仕事をしていたのを覚えています。

――お店から会社になっていく経過を見ていて、会社が大きくなっていく喜びと同時に、少し寂しいみたいな気持ちはありましたか? 

当時は変化していく様をライブで見ながら、すごいなと思っていました。でも、同時に少し寂しいという気持ちや葛藤もあったかもしれないですね。

――会社の成長に伴う“変化”に対する葛藤でしょうか? 

会社が株式公開するってことは、当然成長していく前提ですよね。でも、以前のユナイテッドアローズは洋服屋さん。どちらかというとトップラインを上げていくというよりも、いいものを作ったり仕入れたりして売るという、お客さんに満足してもらうことにものすごくコミットしていたんですよね。そこに、成長っていうドライバーがどん! と入ってきたので、当然ながら拡大していかなきゃいけなくなるわけですよね。

――拡大の仕方によっては、色々な意見が出てきますよね……。

ものすごく覚えているのが、駅ビルやアウトレットに出店する時。「なぜ駅ビルに? なぜアウトレットに?」という意見が多く出てきました。

――なぜ? という意見を持った人たちの理解を得られるためにしたこととは?

当時は鉄道会社による駅ナカの商業施設の開発が増えていく中、ユナイテッドアローズとしても未知のお客様との接点を広げるために、あらゆる立地に出店していくということで決めたわけです。それでもやはり反対をするスタッフはいました。会議などで反対意見が出て、反対する人は挙手を促され、「今、手を上げた人は出ていってください」と言われました。駅ナカだけでなく、アウトレット出店の時も同様のことが起こりましたね。どちらの側に立ったとしても、昔からいる人たちにとっては非常に辛い瞬間でした。

――山崎さんは、どういった立ち位置で、もしくはどんな気持ちでそういった事柄を見つめていらしたんでしょうか? 

自分自身、元々は職人ではないですけど、どちらかというとクリエイティビティど真ん中の人間だったと思います。ただ、自分で仕事を選ぶ立場にない新人として末端で働いている中、振ってくる仕事はクリエイティビティ領域のものもあれば、そうじゃないビジネス目線の指摘を受けながら行うものもありました。そういう環境の中、20代後半から、自分は何が向いているのか? 好き嫌いではなく自分にとって、職業としてやっていけるのは何か? ということを考え始めるようになったんです。このことは自分にとって、とてもいいことだったと思っています。

――企業が成長していく上で、避けられない摩擦なのでしょうか……。常に前向きな印象のある山崎さんですが、個人として大変だったことはありましたか?

30歳になった頃から、マネジメント層が参加する会議に出席するようになったんですが、この会議の共通言語がさっぱり理解できなかったんです。会計、ファイナンスですよね。この共通言語を理解できる人が議論を進めていく中で、理解できない私は発言すらできず、座っているだけでした。

――辛い時間ですね……。

理解できないと、反対意見を発することができず、わかる人に言いくるめられてしまう。その時、ビジネスを司る人たちの言語を理解しない限り、私は言うことを聞くだけになってしまう。これは自分のキャリアクライシスだと思いました。

――このキャリアクライシスを乗り越えるために起こされた行動とは?

大学時代の友人に「会社の会議に出席してもさっぱり分からないんだけれども、資料を提出しなきゃならないし、説明もしなければいけない……すごく悩んでいる」と相談したんです。するとその話を聞いて、「全く悩む価値がない。学校に行きなさい」と言われたんです。そして、友人からグロービスマネジメントスクールのパンフレットを渡され、その学校で会計やマーケティングを学ぶことにしたんです。

――学ぶことによって乗り越えるということですね。

私自身、立場的にも社員から悩みを相談される機会が多いんですが、その際には、「悩む価値ないね。何か行動を起こさないとね。勉強してみたらどうかな」って答えています。なぜ悩むのか? それは、「分からないから」。何が分からないかは色々で、相手の商売、ファイナンスや会計、会社の戦略、法律だったりするかもしれない。でも理解したとたんに怖くなくなるんです。解決策は“学ぶこと”。自分が経験してよくわかりました。

定期的に学びを進めながら、新しいことを自身の中に取り込み前進し続ける山崎さん。一人の女性として、母親として、また、ユナイテッドアローズ執行役員・チーフヒューマンリソースオフィサーとして目指すこととは?

(後編に続く)

撮影/BOCO 取材/上原亜希子

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