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絶対に子どもたちを事件の被害者や加害者にしてはいけない! 【男の子の育て方 対談連載vol.25 最終回】

男の子は自分と性別が違うからわからない……と感じているSTORYママに向けて、「男の子の教育で気をつけるべきことは何か」について、ともに2人の男児を育てている専門家が語り合います。

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小学生が小学生を盗撮する時代

STORYライター東 前回、デジタルリテラシーについて話をしましたが、一方で、「いずれスマホやタブレットを持つのだから、早いうちから持たせたほうがいい」という意見も聞きます。確かに、スマホさえ渡しておけば、うちの息子もそれに夢中になってくれるから子育てもラクになるような気がするのですが、ダメでしょうか?

太田 ネットとは直接関係がありませんが、先日、武蔵野市の公立小学校で、男子児童がタブレットで女子児童の盗撮をした事件がありました。
学校に関わる仕事が多い友人の弁護士は、「学校内での盗撮は普通によくある」と言っています。報道されるのは一部と思ったほうがいい。デジタル端末の使い方は、子どもたちを「盗撮の加害者にしない」という観点からも、しっかりと指導することが大事なんです。

田中 男子児童が女子の着替えを撮影していたのですか?

太田 そうなんです。2020年頃から、学校で生徒が盗撮する事件の報道が時々あると思います、今回もおそらく氷山の一角。武蔵野市内の公立小学校で複数の男子児童がタブレット端末を使い、女子の着替えの様子を盗撮したとか。以前は、奈良県生駒市の中学校で複数の男子がスマホで女子の着替えを盗撮し、LINEで画像を売買したという事件もありました。
盗撮事件はとても多く、刑事処罰されているのは全体のごくわずかだと思います。例えば離婚事件など、刑事事件と関係無い事件でも、紛争の経緯の中で「夫のスマホに盗撮画像をたくさん見つけた」などという話が出てくることは結構あります。

「ごくふつうの人」が「軽いノリ」で、深刻な性暴力である盗撮をできてしまう時代です。子どももきっと同じで、これらの事件の加害者の男子たちも「興味本位でやった」などと、とても軽いノリだっただろうと想像します。「盗撮は性暴力である」という深刻さと、加害者の軽いノリのギャップが怖いです。深刻な性暴力だと感じさせないほど簡単にできるほどのツールを子どもが手にしてしまっているということを大人がよく認識する必要がありますよね。

あと、私が毎回気になっているのは、「学校現場・教育委員会の対処の仕方」です。被害者児童、加害者児童、そして保護者たちに、教育委員会がどういう対応をしているのか。デジタル端末を使うことで、被害者にも加害者にもなる状況が起きているのに、教育委員会がそこにはなるべく触れないようにしている感じがするのです。奈良県生駒市の教育委員会の公式見解は、盗撮が性暴力であるという本質にいかに触れないかという、ダメな公式見解の見本のようだと思いました。

学校も忙しいのはよくわかるのですが、子どもが性暴力の被害者だけでなく、加害者にまでなってしまうことから目をそらしているとしか思えない。人にとって性的尊厳とはどういうものか、なぜ大事なのか、性的尊厳を侵害することがどれだけ人を根底から傷つけることか、そういう根本的なことを教えないままでいいいはずがないのに。学校現場では盗撮以外にも、子どもが子どもに性的な事件を起こすことはあるのですが、体を触るような強制わいせつ事件も中学で起きることがあります。

田中 確かにそういった強制わいせつ事件は、スマホやタブレット端末などの普及といった背景があってこそ起こっているのだと思います。デジタルリテラシーを身につけなければ、これからも男の子が性暴力加害者になってしまう可能性があるでしょう。

太田 男の子同士がLINEで盗撮を共有してワイワイ楽しむのは、大人の世界でいえば、後輩が先輩に「今日の飲み会、女の子連れてきますよ!」といったノリの延長。結局、社会にあるものは、子どもたちにも刷り込まれていってしまうんですよね。いつの間にか子どもたちにも吸収されてしまう。
もちろんスマホやタブレットは便利だし、使っていいこともあるけど、本当にいろいろ気を付けなくてはなりませんね。

この連載が本になりました。刊行を記念して、太田啓子さんと小島慶子さんのトークショーを行います!

2021年12月より始まったこの連載は、今回で終了します。
今まで読んでくださった方々に感謝申し上げます。
ありがとうございました!

取材/東 理恵

  • 太田啓子/ 弁護士。高校生と中学生男児の母。離婚問題、セクハラ事件などに多く関わる。弁護士業務と育児の経験を基にした、ジェンダーにまつわるSNS投稿が反響を呼ぶ。性差別、性暴力について次世代についてどう教えるか悩みつつ書いた子育てエッセイ『これからの男の子たちへ』(2020年/大月書店)が話題になり、韓国、台湾など4か国で翻訳。©吉澤健太
  • 田中俊之/ 社会学者。大妻女子大学人間関係学部准教授。専門は男性学。『男性学の新展開』(2009年)、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(2019年)など著書多数。競争社会、労働問題など「男性が男性であるがゆえに抱える問題」「男らしさ」「男は弱音を吐かない」などの解放を推奨する。ジェンダーや男性学の視点から男女とも生きやすい世の中を研究。私生活では小学生と保育園男児の父。

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