中学受験で見事第一志望の桜蔭に入学した八田亜矢子さん。中学受験の勉強については一生ものと語る理由についてお聞きしました。順風満帆に見える学生生活ですが、学校の校則が厳しく合わなかった八田さんは学校をやめたいと考えるように。私立中学校中退をするためにお母さんと約束したこととは?これから中学受験を控えている親御さんへのメッセージもいただきました。
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★ 生涯役立つ知識、親友との出会い、中学受験は一生ものだと思います
★ 中学受験に合格し第一希望だった桜蔭に入学しましたが、母を説得し中退しました
★ 最後にこれから受験を目指す親御さんへ
息子がお腹にいた時から、中学受験は視野に入れているんです(笑)。
私が小さい頃は教育熱心な母によく勉強をさせられていました。女の子なんだからそこまで学歴は必要ないんじゃないかという父親と、女の子でも勉強は必要という母親とでよく喧嘩をしていたのを見ていたので、今、親になって子どものことを夫婦で話し合うときは、子どもが寝ている時間にこっそりしています。
私も夫も中学受験を経験しているのですが、経験して良かったよね、という話はよくします。中学受験で培った知識は一生ものだと思いますし、息子がお腹にいるときから、うちは中学受験をさせる方向でいいんだよね?と夫と擦り合わせをしたくらいです(笑)。もし俺は中学受験はちょっと…という夫だったら、どこがダメ?と聞いて、良さをプレゼンしていたかもしれない(笑)。もちろん、本人の意思が一番大切ですし、まだ年少さんなので時期尚早だとはわかっていますが…。でも私も夫も性格が負けず嫌いで中学受験向き?だったのに対して、息子は今のところのんびり屋さん。そんな性格を見ていると小学校受験の方が向いているかもしれない?とも思ったり。最近は中学受験用の私立小学校というものの存在を知って、子どもの知らないところでこっそり検討しています(笑)。子どもの教育って、夫婦喧嘩の原因にもなりがちですよね。お互いに我が子のためを思ってのことだからこそ、ぶつかりやすいような気がします。我が家も子育てに関してぶつかることも多いですが、基本的な教育の価値観は似ているので、そこは助かっています。
生涯役立つ知識、親友との出会い、中学受験は一生ものだと思います
今の中学受験は変わっていると思うので私の時代は…の話になってしまいますが、中学受験で学んだ知識はその後の大学受験でも役に立ちました。政治経済などのセンター試験は中学受験の知識で乗り切れたと思っています。また、大学受験の勉強についてはもう忘れている部分も多いですが、中学受験で勉強したことは覚えていることも多く、子供と植物や虫を見たり、旅行に行ったり、ふとした時に自分の中の中学受験の知識が顔を出してきます(笑)。勉強は大変なことも多かったし、小さい時からそんなにする必要がないという意見もあるとは思いますが、小さい頃に学んだことは身につきやすいし、その後の生活全般で生涯にわたって役に立つことも多いので、無理やりでなければ中学受験はオススメです!中学時代の友達は今でもとても仲が良いので、一生の友達と出会えたことも中学受験をしたおかげだなと思っています。
私の時は小学校4年生くらいから塾に入る子が多かったですが、私が塾に入ったのは小学校6年生。それまでは母に教えてもらっていました。それも社会や理科は参考書を渡され、一ヶ月後に口頭でテストをするから線を引いてある部分を全部覚えろというやり方(笑)。分厚い参考書の1ページごとに相当な数の線が引いてあって、母から要求されるレベルが高すぎたことには塾に入ってから気づきました(笑)。
塾に入ってからは同じ目標に向かっている友達に出会えて、お互いに切磋琢磨できたことが何より楽しかったです。「お帰り問題」のように先に終わった人から帰れるという競争心が芽生える環境も好きでした。
今振り返ると6年生からの塾で短期戦だったからこそ、途中でだらけることなく、最後まで突っ走ることができたのかもしれません。長期戦になるとどうしてもやる気スイッチが切れたり、モチベーションが保てなくなりますよね。そこはよかったかなと思います。
また、最終的な目標を「第一志望に合格する」ことにするのではなく、ここの学校に入ってその後何をしたいのか、どんな大人になりたいのか、もちろん小学生には難しいかと思いますが漠然とでもその先を考えられていると、受験が終わっても燃え尽き症候群になりにくいかもしれませんね。
中学受験に合格し第一希望だった桜蔭に入学しましたが、母を説得し中退しました
「中学校は桜蔭、大学は東京大学(以下、東大)を目指しなさい」と母に示された進路に反抗してみたこともありますが、小学生に親の決定を覆すほどの力はなく、おとなしく従って勉強していました。でも段々と勉強していくにつれ私自身の志望校にもなり、後半は絶対合格するという気持ちで取り組めていたと思います。
結果として第一志望の桜蔭に合格することができ、入学して友達もたくさんできて、楽しい学校生活だったのですが、思春期ということもあり、校則が厳しかったので、茶髪ブームを羨ましく思ったり、スカートを短くして可愛くしたいな…という気持ちが出てきて。初めは冗談まじりで学校をやめたいとよく言っていました。姉が国立の高校に進学していたのですが、それなりの進学実績もありながら、自由度も両立できていて羨ましかったんだと思います。
やがてやめたいという気持ちがだんだん本気になってきて、学校をやめるにしても母を説得する必要がありました。そもそも母の最終目標は東大。母方の祖父が東大出身で大企業勤めで、母は比較的裕福な家庭で育っていたからか、東大に行けばその後の人生困らない、と思っていたのだと思います。母には「ちゃんと東大を目指せる高校に入るから、桜蔭はやめさせて欲しい」と伝えました。説得の末「最終的に東大に行くならいいわよ」と母も納得してくれて、退学手続きをし、公立の中学へ編入、高校は国立の高校に進学しました。
最後にこれから受験を目指す親御さんへ
あれだけガミガミうるさかったうちの母親でさえ、6年生になるとある程度距離を置いて見守っていてくれたんです。それが私にとっては嬉しかった。口うるさく言われていたときは母のことが嫌で仕方がなかったのですが、直前に静かに見守ってくれていた母はいろいろ考えて私のことを信じてくれていたんだなと今振り返ると思います。感謝ですね。なので、これから中学受験を控えている親御さんはぜひお子さんを信じてあげてください。最後は追い詰めすぎず、見守ってあげてほしいと思います。お子さんが将来、あのとき中学受験を頑張ってよかったと思えるよう、努力を認めてあげてください。きっと良い経験となるはずです。
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撮影/浜村菜月(LOVABLE) ヘア・メーク/榎田茉季(ROI)スタイリスト/小川真央 取材/小出真梨子