「男は学歴、女は愛嬌」なんて昭和の価値観を引きずっていませんか? 男の子の【ジェンダーレス教育】について、息子3人の母・神崎 恵さんと弁護士・太田啓子さんにお話しいただきました。
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対談したお二人は…
<右>美容家・神崎 恵さん
24歳、20歳、8歳 3兄弟の母。美容家。神崎美容塾 塾長。著書に発行部数170万部を誇る『一生ものの基礎知識 美容の教科書』(講談社刊)がある。『神崎恵のおうちごはん』(扶桑社刊)が好評発売中。
<左>弁護士・太田啓子さん
高1と中1男児の母。離婚問題やセクハラ事件などに多く関わる。数々の経験を基にした、ジェンダーにまつわるSNS投稿が反響を呼ぶ。2020年に出版した『これからの男の子たちへ』(大月書店刊)が話題に。
男の子は「社会的勝者にならなければいけない」と思っていないか
太田さん
同世代の男性から、小さい頃から「男だから泣くな!」と言われた経験が多かったとよく聞きます。性別関係なく人は誰しも弱いもの。それを否認することは、自分自身を否定することになり、かえって心を脆弱にしかねません。大人になってシワ寄せがきて……自殺や過労死が男性に多いのも有名です。
神崎さん
私は息子たちに、男の子だからこうすべきだと思ったことが一度もなくて……。シングルマザーの期間も長く、父親役を担うこともありますし、同じ兄弟でも個性はそれぞれ。子どもには性別ではなく1人の人間として接しています。私自身が育った環境もありますが、性差よりも個人差を重視します。
太田さん
私は三姉妹なのですが、同じ環境でも全く異なる人格に育ちました。本来はそのように個性を重視すべきですよね。男の子だから、かくあるべきと偏らせた古い価値観を親が子に与えないことが大切です。
神崎さん
とはいえ、見えない正解に心が揺らぐこともありますよね。伸び伸び育てたいと思いながら、周りの子育て環境と比較して、迷ってしまうような。
太田さん
私たちは自分たちの親に刷り込まれた「男の子に社会的な成功を」と自分の子どもには言わないほうがいいと理解しつつ、不安も覚えてしまうジレンマ世代。だからこそ、勇気を持って次の世代へ新しい価値観をバトンタッチしていかないと。
神崎さん
子どもはよく見てますよね。親の言動や行動に一貫性がないとすぐ見抜かれます。
太田さん
私が子育てで唯一気を付けていることは、間違えたら素直に謝ること。子どもと信頼関係を築くことが大切ですし、間違えた理由も含めて言葉にすることも欠かしません。理由や感情などの言語化は、押し込められた感情を顕在化する大切な作業なんです。
神崎さん
私も子どもには包み隠さず、ときには弱さも見せ、なんでも話すようにしています。その中で、我が家は性差同様、兄弟間で年の差があっても対等な関係性を意識しています。
太田さん
大切です! 特に男女の子どもがいる家庭は一層の意識が必要。家事手伝いや教育などに親の不必要な男女差別が反映しやすいんです。家庭は社会の縮図。夫婦でも対等でいる関係性を見せるべきですし、必要であればぶつかることも厭わずにいてほしい。
神崎さん
人は対等で、男も女もないはず。息子には生物学的な男女差は理解し、想像力と思いやりを持つことが大切だと伝えています。今は社会が変わる大事な局面。性別問わず生きやすい世の中にするために、私たち世代がまず、今までの価値観をいったんリセットしていくことが重要だと感じています。
男らしさではなく、「自分で決める」
太田さん
外見からも男らしさを求められて違和感を感じている男性も少なくないようです。
神崎さん
男らしさとは……。例えば、男性が美意識を持つことも自然なことだと感じています。
太田さん
今は時代的に韓国アイドルの貢献が大きい。とはいえ息子の色の白さや女の子っぽい外見を気にする親もいます。親本人なのか、その親からか……。自分の親の抑圧から抜けきれていない根深さがあるかもしれません。
神崎さん
周りから言われてしまう場合は、子どもや自分を守る方法を持っていたほうがいいですね。受け流すことも大事だと思います。耳を傾けるべきは、子どもがどう思っているか? です。例えばむだ毛の処理ですが、中学時代の次男から脱毛の相談を受けた際には、メリット・デメリットを説明し、サポートしました。子どもが迷った時、頼ってきた時の準備は怠らないようにしています。
太田さん
危険なことや健康に関わることなど、子どもの希望通りにすることがふさわしくない場合には理由も含めて説明します。うまく言えないこともあるので準備は必要ですが。
神崎さん
いくつかの選択肢や見通しを伝えたうえで、最後は自分で選択してほしいですね。結果的に自分を大切にすることにも繫がると思います。
「これが女の子だったら?」と考えてみる
太田さん
男性の性被害に関しては、やっと最近声が上がってきましたね。男の子だから被害がないとはもう言いきれません。
神崎さん
小さい頃から公衆トイレには1人で行かせませんでした。危険を感じた時は自分の身を守る距離をとるようにとも伝えています。
太田さん
昭和的な過剰なスキンシップも男だからいいと今までは看過されてきたかもしれません。性的な尊厳を傷つけられる可能性もあるのに。同性同士の腕や肩組みでも、相手がどう思っているか? 想像する力が必要ですね。
神崎さん
そうですね、想像力はとても大切。友人ともパートナーと過ごす時も同じくです。年頃の子は親から口うるさく言われたくないかも……と思いつつ、私が唯一、当時高校生だった息子に〝男として〟と言葉に出したのは避妊に関してです。
太田さん
合意があったとしても、年齢を加味すると大変なことになりますよね。正しい知識を子どもに持ってもらうために私も動画を紹介しました。
神崎さん
幸い息子たちも素直に受け入れてくれましたが、元パートナーである父親や小児科の先生などの力にも頼りました。母親も時代を読み、常に知識をアップデートしつつ子どもに関わることが大事ですね。
〈神崎さん〉ジャケット¥66,000(Waltz/スタニングルアー 新宿店)トップス¥10,450(カデュネ)ピアス¥11,000ブレスレット¥15,400(ともにワンエーアールバイウノアエレ/ウノアエレ ジャパン)〈太田さん〉ブラウス¥9,900(エマテイラー/kokode.jp)ピアス&イヤーカフセット(kokode.jp限定)¥18,700バングル¥20,900(ともにプラス ヴァンドーム/プラス ヴァンドーム)
撮影/吉澤健太 ヘア/工藤由佳[神崎さん] ヘア・メーク/夏美[太田さん] スタイリスト/石関靖子 スチールスタイリング&取材/竹永久美子