STORYweb〈Junior STORY〉の人気連載【令和男子のミライ地図を描こう】が1冊の本にまとまりました。
本のタイトルは『いばらの道の男の子たちへ』。
「男の子の気持ちがわからない?」
「どうやってこれからのジェンダーフリー社会をおしえていけばいいの?」
というSTORY読者の声から始まった、弁護士・太田啓子さんと「男性学」の研究者・田中俊之さんの対談集。
例えば、“「プリキュアより仮面ライダーのほうが強い」という息子にはどうすればいいのか”など、身近な話しがわかりやすいと好評でした。
ともに“2人の息子の母”という2人の説得力あるトーク
そして、6月25日にはジュンク堂書店池袋本店のイベントスペースにて、著者のひとりである太田啓子さんとエッセイスト・小島慶子さんの「Wケイコ」による刊行記念トークショーが行われました。
“昔ながらの「息子育て」を変えれば、社会が変わる。親も子も幸せになれます”
これは、小島慶子さんが『いばらの道の男の子たちへ』の帯に寄せてくれた言葉です。
現在、STORY本誌の巻頭で連載を持つ小島慶子さんは2児男子の母。既にお子さんは大学生になりましたが、子どもが思春期の頃は家族がオーストラリアに住んでいたので、小島さんは日本との往復生活で大変だったとか。久しぶりに会った時に、こちらは話をしたいのに、思春期の男子はなかなか話してくれなかったり…。
ただ、性教育はしっかりと教えていたそうで、特に『いばらの道の男の子たちへ』に登場するフクチマミさんの大人気コミックエッセイ『おうち性教育はじめます』(KADOKAWA)は「本当に良い本ですね」と語っていました。
太田啓子さんにとっても、『おうち性教育~』は「息子たちにはこの本で性教育を教えた」というほどの“性教育バイブル本”。息子さんが最初にこの本を読んだ時の質問が「“体外受精”はわかったんだけど、体内受精ってあるの?」だったと。子どもならではの純粋な質問に驚きつつ、「それは通常の妊娠だよ」と答えたとか。その後も『おうち性教育~』を熟読していたようです。
フクチマミさんをはじめ、自分の赤ちゃんを抱っこしながら教壇て授業を行ったことがある超有名進学校の片田孫朝日先生、あるいは、あのバービーさんなど、『いばらの道の男の子たちへ』ではSTORYwebには掲載されていない追加インタビュー記事も満載!
実は、小島慶子さんは、もうひとりの著者で「男性学」研究の第一人者・田中俊之さんと8年前に共著で『不自由な男たちーその生きづらさは、どこから来るのか』(祥伝社新書)を出版しており、その頃から男子の呪縛について話していました。その後、田中さんにも2人の男の子ができたことで、「男子の負の連鎖から男子解放に向けて、より一層、動き出しそうですね」と話していらっしゃいました。
オンライン視聴者&イベント来場者からの質問コーナーも!
トークショーの終盤には、オンライン配信や会場参加の方々から質問をお受けし、お2人から丁寧にお答えいただきました。
こちらに2つほど紹介します。
〈質問〉
「ジェンダー平等、ジェンダーレス主流化との言葉が定着しつつありますが、現実的な政策や事業に反映されていないと感じています。どうすれば良いと思いますか?」
小島さんが答えるには、
「本にもありましたが、まずはジェンダーギャップと女性差別がある、と知ることからですよね。
ある男性の言葉を今でも覚えているのですが…
『組織で女性幹部を増やしたいなら、まず賢い女を増やさないとダメだな』と。それを聞いて〈上に立つボンクラ男がたくさんいるじゃないか!〉と思いましたね。
組織で女性幹部を増やすということは、女性の昇進の機会を増やすということです。
うんと優秀な女性だけを揃えることじゃありません。
女性にも優秀な人もいれば凡庸な人もいる、多様な女性がいることが当たり前の風景になるということなんです。
この言葉に、ご来場の女性たちが「うん、うん!」と大きく頷いていたのが大変印象的でした。本当にごもっともです!
〈質問〉
「男の子を育てている親ですが、まだ小学低学年なので、絵本を読みながらジェンダーやプライべートゾーンを教えていますが、中学、高校と、思春期になった時にも安心なお勧めの絵本やマンガ、映画などはありますか?」
太田さんは、
「絵本『はじめにきいてね、こちょこちょモンキー!同意と境界、はじめの一歩』(子どもの未来社)、マンガ『違国日記』(祥伝社)がお勧めです!」
と教えて下さりました。また、太田さんは自らが弁護士ということもあり、今ハマっているNHKの連続テレビ小説『虎に翼』の話も。
「下駄に学生服という漢気あふれる轟くんが〈男は強くあるべし!〉という雰囲気を醸し出しながら、同級生の女性との交流の中で、自分が〈男らしさ〉と思っていた強さや優しさが〈男であること〉と必ずしもリンクしないのでは、と気づいたことを言語化したり、男友達が虚勢を張っていることを見抜いて、『思ってもいないことを言うな』と、本心を言語化するよう真剣に促したりする様は、ホモソノリのアンインストールの過程の表現。
どのセリフも素晴らしく、朝BSで見て泣き、通常放送で泣き、再放送で泣く…。1日3回泣いてます!」
と、ハマりっぷりを披露されていました(笑)。
終始引き込まれるお2人の話に、会場ではメモを取りながら聞いてくださる熱心な方もいらっしゃり、男女関係なく有意義な時間が過ごせました。
最後は太田啓子さんのサイン会で終了。
オンライン配信の視聴者からは「軽快なトークが聴きやすく、年頃の息子を持つ身として楽しかったです!」との嬉しいご意見をいただきました!
具体的な例がたくさん掲載されている本『いばらの道の男の子たちへ』。
ちなみに、ある男子大学生が「男性学」の勉強のために購入したところ「非常に読みやすく、自分がもっと幼い子どもの頃に教えてもらいたかった!」という感想も。
小島慶子さんが言っていましたが、目次を見るだけで読みたくなる本です。
ぜひ店頭やAmazonで検索して、ご一読下さい!
撮影/沼尾翔平 取材/東 理恵