ドラマ好きの間では「今最も間違いないコンビ」と言われる監督・塚原あゆ子さん&脚本家・野木亜紀子さんがタッグ を組んだ映画『ラストマイル』がこの夏公開! 40~50代の打率10割の2人が語る「最高のバディ」の見つけ方とは?
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映画『ラストマイル』の魅力とは? 監督&脚本家が教える「アンナチュラル」「MIU404」ファンが見逃せない秘密も!
対談したお二人のprofile
初めてのタッグは、TBSドラマ「アンナチュラル」。お互いが40代になってから組めて良かった
塚原さん(以下、敬称略)
野木さんと最初に軽くご一緒したのはドラマ「重版出来!(松田奈緒子原作)」かな。私はチーフディレクターじゃなかったけれど。
野木さん(以下、敬称略)
その現場では数えるほどしか会ってないけど、その時からずっと信頼してました。 塚原さんの作品が好きだし、打合わせをしていても的確ですから!
塚原
特に無駄話がね(笑)。
野木
がっつり組ませていただいたのはドラマ「アンナチュラル」からで、その後「MIU404」ですね。塚原さんには「これはどう思う?」とか色々聞いて沢山話して。
塚原
私も台本を読んで「こういうふうに書いてくるのか」って驚いたりしたな。
野木
多分好みとか感覚とかが近いのかな。
塚原
〝好き〟もそうだけど、嫌いなことが似てる(笑)。「こういうのはちょっとキモいよね」という微妙な感覚がね。
野木
「ここはこんなにキラキラするところじゃなくない?」「これカッコいいと思ってやってんの?」みたいな話で共感できる。
塚原
二人の感覚が似てるということ。
野木
似てると言えば、仕事に対しての感覚も近かったりします?
塚原
私は自分が作るものを見る人が楽しいと思ってくれたら良いかな。
野木
仕事ってはっきり言って8割は苦しい。でも、残りの2割に喜びがギュッと詰まってるの。私は完成品を見た時の2割の楽しさのために仕事をしてる。
塚原
なるほど。
野木
2割で「塚原さんが良いものを撮ってきてくれた」と報われるんです。
塚原
ありがとうございます(笑)。そういえば、よく「仕事のモチベーションは?」「やりがいは?」って聞かれるけど、私は仕事に対してやりがいなんて、見出す必要はない気がしてる。
野木
つまり?
塚原
二人でご飯に行ってお酒飲んで、「次、何やる?」って話してることがモチベーションで回っていく、それだけ。
野木
うんうん。
塚原
私たちも、たとえば誰かが作ってくれた服でモチベーションを上げることもあるでしょ? 逆に私たちが作った作品で誰かが暇つぶししてくれたらそれはモチベーションの取り替えっこというか。
野木
そうやって回っていっているのかも。苦しまないと良いものはできないけど、喜びがそれを凌駕してくれるうちは私も仕事続けられるんじゃないかな。
塚原
それに意欲というものを自分の中だけで充足させようと思ったら疲れない? お金をいただいて、美味しいお酒を飲めればそれがモチベーション。
野木
そう、美味いお酒が飲みたい、ってことに尽きるね。
塚原
結局はそこじゃない?
野木
その境地に達してからちゃんとご一緒したのも良かったのかな?
塚原
悟ってから組んでる(笑)。
野木
多分お互いにそれなりに自分が「撮れる」「書ける」みたいなことがある程度見えて、できるようになってから会っているのが、より良いんじゃないかなという気がします。
塚原
それまで積み重ねたキャリアがあったから、と言うと大袈裟かもしれないけど。お酒だけじゃなくてね(笑)。でもどの仕事をするかよりも、誰と仕事をするかの方が重要だと思うから、野木さんとこうやってお仕事できているのは本当に楽しい。
野木
同じく! 今回の映画『ラストマイル』でも塚原さんの「宅配荷物が爆発する話は? 物流が止まると大変」というワンアイデアだけで1本書かせていただいて。
塚原
ずっと映画やりたいね、と言ってたことが実現して、これまで一緒にやったドラマスタッフが集結して同窓会みたいで楽しかったよね。
野木
それも私たちが作ってきたものがあってこそのお祭りみたいで嬉しかったですよね。なんか40歳すぎてからの方が、人生楽しくなってきたかも(笑)。
塚原
若い頃は帰る時間も分からなかったしね。今は極端に貧乏でもないからいいよね。
野木
もちろん今も自由にならないことは山ほどあるけど。
塚原
明日は今日よりもっと良いはずって考えましょうよ。30代より40代、40代より50代の方がきっと楽しい。
野木
できることが減ってるんじゃなくて増えてるよね? 老化はしてるけど。
塚原
老化の能力は上がってる(笑)。
野木
それは進化。私はシワの数だけ進化してると思ってる!
塚原
うん、そう考えよう(笑)。
映画 『ラストマイル』
配送された荷物に爆弾が紛れ込んでいたら? ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の世界線と交差する極上映画には満島ひかり×岡田将生という豪華メインキャストに加え、阿部サダヲ、ディーン・フジオカ、そして石原さとみ、綾野剛、星野源も! 2024年8月23日(金)公開。
<塚原さん>ジレ¥62,700(エッフェ ビームス/ビームス ハウス 丸の内) Tシャツ¥9,680(スローン/デミルクス ビームス 新宿) ホワイトパンツ¥23,980(Nave/ネイヴ) その他/本人私物
撮影/西崎博哉(MOUSTACHE)ヘア・メーク/コンイルミ、久保フユミ(ともにROI)スタイリスト/乾 千恵 取材/柏崎恵理 ※情報は2024年9月号掲載時のものです。