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Lifestyle小島慶子の「ハラゴエ!」

小島慶子さん「幸せに働く、とは?今まさに『働くことの意味』の考えどきです」

エッセイスト、メディアパーソナリティの小島慶子さんによる揺らぐ40代たちへ「腹声(はらごえ)」出して送るエール。今回は「働くことの意味」について。

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目次 ★ 小島慶子さん
★ 『今まさに“働くことの意味”の考えドキです』


小島慶子さん

1972年生まれ。エッセイスト、メディアパーソナリティ。2014〜23年は息子2人と夫はオーストラリア居住、自身は日本で働く日豪往復生活を送る。息子たちが海外の大学に進学し、一昨年から10年ぶりの日本定住生活に。

『今まさに“働くことの意味”の考えドキです』

みなさん、仕事は楽しいですか。働く理由はなんですか。もちろん、生きるためですよね。かつて、女性が結婚後や出産後も働き続けることが珍しかった頃は、仕事には素敵な意味や華やかな成果が必要でした。でも老若男女誰しも死ぬまで働かないと生きていけない2025年の日本では、そんな悠長なことは言っていられません。

仕事は生活のため。必要なのは、人間らしく働き続けられる環境です。搾取と格差とハラスメントのない職場を! 働く人が追い込まれ泣き寝入りを強いられるような社会は、どれほど企業が儲かろうとも豊かとは言えませんものね。

女性は、輝くとか活躍するかというかけ声で働くことを求められる一方で、子育てしながら働くことに罪悪感を抱いてしまうような立場に置かれています。本当は子育てに専念するべきではないかと、専業主婦だった母親と自分を比較してしまうことも。働くことを堂々と肯定するのにためらいを感じる人もいます。でも私たちは、人間らしく尊厳を保って働き、正当に評価され、相応しい待遇を受けるのに値する存在です。女性なのだから多くを求めてはならないとか、異を唱えてはならないとか、ちゃんと評価されないのは仕方がないと思わなくていいのです。

職場で嫌な目に遭っても、さらりと受け流すのがデキる女だと自分に言い聞かせたこともあるかもしれませんね。働くことは、決して滅私奉公することではありません。女性も男性も誰でも、私生活との両立を図りながら健やかに働けるよう求めていいのです。両立は女性だけの問題ではないはずです。育児や介護、病気の治療などの事情のある人はたくさんいますから。

この社会で生きることは、世界でも最悪レベルのジェンダー格差社会を生きるということ。努力が報われず悔しい思いをしたり、望むような働き方ができなくて悩むことも多いはずです。私もたくさんそういう思いをしてきました。それは自分が弱いからではなくて、構造が歪んでいるからなのです。

こういう話をすると「私は差別も格差も感じないよ? 考えすぎでは」という人がいます。そんな人には、なぜ自分には実感がないにもかかわらずこの社会には大きなジェンダー格差があり、弱い立場で働く女性がたくさん存在するのかを、ぜひ考えてほしいです。個人として差別や格差を感じていないからと言って、差別や格差を放っておいていい理由にはなりません。そんな社会に女の子たちを送り出すのは大人として胸が痛みますよね。

長い間、労働者といえば男性が基準でした。働くということは私生活を全て犠牲にして、仕事の利益を最優先にすること。STORY読者の父親はまさにそんな働き方をしていたでしょう。働く人には、お世話係が必要でした。24時間働いてお金を生み出す人を、24時間無償でお世話する人が。働く男性をお母さんのように甲斐甲斐しくお世話して、働く男性の欲望を受け止める献身的な女性です。仕事に全てを差し出す男と、夫の全てをケアする女。そういう組み合わせで、戦後の日本は回ってきたのですね。

そんな時代の男性は、結婚して子どもができてもひたすら仕事に生きる生活。むしろ「かみさんと子どものためにもっと頑張らなくちゃ」と一層仕事に没頭して、次第に家庭での存在感が薄くなり、家族から馬鹿にされ、疎まれ、孤独を感じる日々……それも辛いですね。孤独が当たり前の世の中なんて、平和じゃありません。我が子がそんな働き詰めの人生を送るのを望む親はいないでしょう。当時の日本経済を支えた人たちには感謝を捧げつつ、「でもそれって幸せじゃないよね、人間らしい生き方じゃないよね」と舵をきる時が来ています。

仕事とは、収入を得て生計を立てることだけを指すのではありません。仕事を通じて社会と関わり、小さくても何か良い変化を生み出すこともできます。職場の風土を改善し制度を整えることで、世の中を少し変えることができるのです。仕事について考えるということはすなわち、自分はこの社会に対して何ができるのか、子どもたちが生きる環境をどのように整備してあげられるのかを考えることでもあります。

それには、まずは自身が幸せであることが第一です。個人であり、女性であり、働く人であるあなたの幸せが、健やかな社会を育みます。みんなが自分を労って、ハッピーに働けますように!

文/小島慶子 撮影/河内 彩 ※情報は2025年4月号掲載時のものです。

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