ニュース番組「news every.」での爽やかな笑顔が印象的な陣内貴美子さんですが、ご本人いわく、根はネガティブなのだとか。だからこそ更年期で心がけたのは「ここからが自分時間の始まり」と考えることでした。
意識するほど症状を感じる気がする
去年、60代に入りましたが、更年期らしい症状はあまり感じずに過ごしてきました。母に「更年期、どうだった?」と聞いたことがあるのですが、母いわく「お父さんの脳内出血後の介護にかかりきりだったから、更年期に気づかずに過ぎちゃった」とのこと。確かに、言霊というわけではないですが、更年期だと意識すると症状をより感じることもあるのかなと思います。
私の更年期時期に当たる50歳前後を含む2010年から2024年は、月曜から金曜までニュース番組「news every.」がありましたので、汗をかいても生放送の緊張だと思っていましたし、冷えやむくみも毎日の慌ただしさであまり意識しませんでした。メンタルが根っからの体育会系ということもあるのでしょうが(笑)、何かに夢中になっていれば多少の不調は克服できると考えているところがあったと思います。
ただ、父が脳内出血で倒れたりしたこともあって、健康には人一倍気を使い、毎年人間ドックを受け、特に婦人科系は詳しく診てもらっています。生理がフェイドアウトしたぐらいの時には先生から「もし更年期症状があるようなら、パッチ(*1)を貼るホルモン補充療法も可能ですがどうしますか?」と言われましたが、そんなにしんどさを感じていなかったのでパッチは見送り、気づくと更年期が過ぎ去っていました。
もともとは心配性でネガティブ気質
— 元バドミントン・オリンピック日本代表の陣内貴美子さんは昨年秋まで夕方のニュース番組「news every.」のメインキャスターを担当。その明るい笑顔と的確なコメントで日々、私たちの活力を支えてくれた存在です。そんな陣内さんの更年期に対する心構えは「ようこそ!」という前向きなものだそう。
更年期は誰もが通る時期であり、必ず終わりが来るもの。もし症状を感じることがあったなら、それは今まで頑張ってきた証しではないでしょうか? 生理があった時期の、ホルモンに左右される時代が終わって、いよいよ自分時間の始まりだと私は考えています。ようこそ、更年期! って感じ(笑)で、いろんなことから解放される自由が始まるスタートの合図みたいなものだと思えば、前向きな気持ちになりませんか?
と言っても実は私はもともとが心配性でネガティブ思考。些細なことでも結構落ち込みやすくて、現役時代は「笑った顔を見たことがない」と言われていました。そんな私が少し変われたキッカケが以前、ラジオで共演させていただいていた大沢悠里さんからかけられた言葉です。「笑顔に勝る化粧なし」と言われて、それまで眉間にシワを寄せていた顔が少しずつ変わっていきました。
夫の言葉が生放送の支えに
夫の(元プロ野球選手の)金石(昭人さん)もポジティブ思考で、私が生放送後に「とうちゃん、私変なこと言っちゃった、どうしよう」とクヨクヨしていると「全然大丈夫。誰もかあちゃんの言ったことなんて覚えてないよ」と笑ってくれるので、心が軽くなったものです。
キャスターという言葉を扱う仕事を経験して、言葉が人を救うこともあれば、凶器になることも嫌というほど知りました。だからこそ、人が嫌だなと思ったり感じたりするようなことは言わないようにしていますし、人の良いところを見るようにしてマイナスな捉え方を極力しないようにしています。
終わらない更年期はない
50代、60代ともなると、本当に悩みが増えてきて、口を開けば更年期、病気や介護、お金の話など不安を言い出したらキリがありません。周りが言う分には喜んで聞きますが、私自身はなるべく言わないようにしていますね。「更年期はいつか終わる」「35年くらい毎月あった生理が終わるんだもの」「長い間生きていれば、そんなこともあるよ」と考えて、更年期もウエルカム! ご褒美の自分時間が来た! と思うようにしていたら終わっていた、って感じなんです。
生活を楽しみ、食を大切にする
— 更年期は自分時間の始まり、という言葉は目からウロコ! とても新鮮で更年期に対する意識が変わりそう。と言っても、ただ漫然と生活していては体のあちこちから来る不具合や、ちょっとしたメンタルの免疫力低下から来るどんよりした気分につけ込まれてしまいます。そんな時、陣内さんは?
心から生活を楽しむことと、食を大切にすること、特に腸内環境を整えることが私の元気をキープしてくれます。
「釜浅商店」さんでいろんな料理道具を見たりするのも好きですし、観葉植物も好き。コロナ禍のころから、少しずつ観葉植物を育てるようになりました。青山の「SOLSO PARK」にあるグリーンショップでは植物を見ているだけでも癒されますし、パーク全体がとても気の良い場所。空が広くて風を感じられて、深呼吸できるんです。芝生や無料の休憩スペースもあるので、時々風を感じながらランチをすることも。
お食事は特に最近は気にするようにしています。腸内環境を整えてくれる麹や発酵食品は欠かせません。「赤いなつめ」もお気に入り。なつめは女性の体調を整えるミネラルや鉄分などが豊富だそうで、貧血や生理痛が良くなる効果、更年期の症状が和らぐ亜鉛やマグネシウム、カルシウムなどが多く含まれているそう。私は低血圧気味なので鉄分を補えるなつめを頼りにしています。
低血圧のため、朝はなかなかすぐに行動できないので、朝起きたら手足を1分ずつ、ブラブラさせながらゆっくり起き上がるようにしています。現役を引退してからは、体を動かすことにはあまり積極的ではなくて(笑)、夫に「明日は歩くよ!」と言われると「ほんまか~」と返事しつつ、朝二人で1時間半くらいかけて歩いています。夕方に「every.」をやっていた時なんかは、ちょっと疲れている朝はサボってました(笑)。
今、毎日欠かさずやっているのは、寝る前にストレッチポールで背中をゆらゆらさせることぐらい。生活の中で知らず知らずに歪んでしまった姿勢や骨盤の矯正やストレートネックの予防にも一役買っていますね。肩甲骨も動かすことができますし、浅くなりがちな呼吸を深呼吸に戻すことにも役立っています。
今後の人生のイメージ
— 体育会系と言いながら「疲れていたら無理しないで、ウォーキングなんてサボってもいいんですよ」と笑う陣内さんの自然体にホッとします。現在61歳、今後はどのような60代を送るイメージなのか聞いてみると?
4月から出演している「ZIP!」はみんな若いので私1人だけ顔がシワシワ(笑)。テレビって残酷だな……と思いつついい意味で諦めています。シワは頑張って生きてきた証し、抗うことはできません。シワがあっても、心の底からの笑顔が可愛かったら多少のシワやシミなんて気にならなくなります。まさに「笑顔に勝る化粧なし」です。
小さなことでも楽しんで笑えるような可愛いおばあちゃんになるのが今の目標。年齢とともに「花鳥風月」を慈しめるようにもなってきたので、日々の何気ない景色や自然のありがたみ、周りの人の優しさにも敏感になって、自分らしく過ごしていきたいですね。
<TOP写真>ジャケット¥196,900パンツ¥69,300(ともにイレブンティ/三喜商事)スニーカー〈パワークッショ121〉¥16,500(ヨネックス)イヤーカフLサイズ¥119,000プロミスリング¥34,100ダイヤモンド アコヤパール リング¥187,000(すべてヒロタカ/Hirotaka 表参道ヒルズ)<末尾写真>トップス¥58,300パンツ¥59,400(ともにメイメイジェイ/エスケーシー)ダイヤモンド イヤーカフ Mサイズ¥68,200リングはP.149と同じ(すべてヒロタカ/Hirotaka 表参道ヒルズ)
撮影/田頭拓人 スタイリスト/山田陽子(マージュ)取材/柏崎恵理 撮影協力/YUWAERU 蔵前本店 ※情報は2025年7月号掲載時のものです。





















