良かれと思っての行動が、実は親の都合になっていませんか? 「ネオ・ネグレクト」とは現代の新しい育児放棄。「思い当たるふしがある」、「私大丈夫かな?」と思ったら、今日からの親子関係を見つめ直すヒントに。小児科専門医・成田奈緒子先生に伺いました。
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それって「ネオ・ネフレクト」!?
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◇ 外注しすぎず 家庭生活時間を大切にしてほしい
「ネオ・ネグレクト」という言葉が指す問題には、今の子育てを考えるうえで重要な視点があります。私が心配しているのは、親御さんが無関心なのではなく、むしろ一生懸命だからこそ、家庭で育つはずの時間が薄れてしまうこと。
塾や習い事、体験学習は決して悪いものではありません。教育熱心で、体験機会にも恵まれているように見えるご家庭も多い。ただその背景に、親御さんの強い不安が潜んでいるケースは少なくありません。情報を集め、失敗しない子育てを目指し、「この子のため」とお金をかけて機会を用意する。
でも、その結果として家庭生活の時間が削られていくならば、脳の発達という点からは心配です。脳の発達は、まず睡眠・食事・生活リズムといった毎日の営みの土台の上に、柱や壁が立ち、屋根がかかる。その土台が不安定なまま「考える力」「判断する力」だけを伸ばそうとしても、うまく育ちません。
特に思春期に向かう時期は、考える・選ぶ・我慢する・見通しを立てる――社会で生きるための力を支える「前頭葉」が育つ大切な段階。親が先回りしすぎると、その練習機会の損失に。
大切なのは、今の成績や状況だけを見るのではなく、二十歳になったとき、周囲と関わりながら自分なりに機嫌よく生きていけるか。そこを見据えて子育てを考えてほしいのです。子の予定を親が詰めるのではなく、子ども自身が見通しを持てるようにする。手帳なども活用し、毎日の暮らしを自分で組み立てる力が、やがて学びにも、社会を生きる力にも繫がっていきます。
撮影/加治屋圭斗 イラスト/Yuko Kawason 取材/羽生田由香 デザイン/秋穂佳野 ※情報は2026年5月号掲載時のものです。












