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宮城県立がんセンターを定年退職した医師、自宅療養を望む患者さんを支えるため在宅診療医に

医療法人社団やまと

医療法人社団やまと、仙台以南の在宅医療基盤構築を目指し「やまと在宅診療所名取」を新たに開設。

医療法人社団やまと(所在地:宮城県登米市、以下やまと)は、宮城県名取市に在宅診療を専門に行う「やまと在宅診療所
名取(以下やまと名取)」を開設しました。

 【名 称】 医療法人社団やまと やまと在宅診療所名取
 【院 長】 中保 利通
 【開設日】 2022年9月1日(木)

院長の中保医師は今年3月に名取市内にある宮城県立がんセンターを定年退職。「長年お世話になった地域の方々に恩返しがしたい」との想いから、ちょうど仙台以南での在宅診療所開設を計画していたやまとに入職しました。
中保医師の地域医療への想いは強く、在宅療養を望む方々が住み慣れた環境で最期まで「その人らしく生きる」ことができるよう患者さんとご家族に寄り添ったケアを実践し、名取・岩沼地域の方たちが安心して暮らせるまちづくりの実現に貢献していきたいと考えています。
また、「やまと在宅診療所あゆみ仙台(所在地:仙台市若林区、以下あゆみ仙台)」とも連携して、医師、看護師、診療アシスタント等の医療人材の育成を行い、医療従事者の不足で悩む地域で活躍できる人材の輩出に注力していく予定です。


→️医療法人社団やまとHP
https://yamatoclinic.org/
→️やまと在宅診療所名取HP
https://natori.yamatoclinic.org/

■「名取・岩沼地域の在宅医療基盤を構築したい」、中保利通院長からのメッセージ
名取は私が長年公私ともにお世話になった地域です。
私は今年3月、宮城県立がんセンターを定年退職しました。がんセンターでは7年間、緩和ケア病棟の責任者として多くのがん患者さんやそのご家族と接してきました。地域で緩和ケアが普及するためには地域医療の中核を担う病院と在宅療養支援診療所が強く連携することが必須です。また、在宅療養の充実には訪問診療を行う医療機関が周辺の訪問看護ステーションや調剤薬局、介護事業所などの多職種の方々とつながり相互に補い合うことが必要です。

しかし、この地域の訪問看護ステーションで働く看護師さんからは「自宅療養されているがん患者さんの痛みの治療がうまくできていない」、「名取・岩沼以南では訪問診療を専門的に行っている医療機関が少ない」といった実情が聞こえてきていました。訪問看護ステーションは医療機関からの指示があって初めて医療行為が行えるので、両者の数が揃い、うまく連携することを目指さなくてはなりません。
そのような課題を解決するため、「定年退職後は自宅療養を望む患者さんを支え、地域の皆さんに恩返ししたい」と考えていたところ、やまとの田上理事長から「仙台以南の在宅医療基盤を構築したい」とのお話を聞き、院長を引き受けることを決意しました。

私の専門は緩和医療ですが、やまと名取では緩和ケアが必要な方だけでなく糖尿病や高血圧などの生活習慣病から脳卒中後遺症や各種指定難病まで、在宅療養を望まれる方の様々な疾患に対応してまいります。宮城県立がんセンターとのつながりを継続しながら、地域の訪問看護ステーションや介護事業所、調剤薬局の皆さんと連携し、私たちの診療所でどんなことをどこまでできるのか地域の皆様へお伝えしていき、地域全体から信頼していただけるようになりたいと思っています。

■地域医療への想いを実現するための制度・体制を構築
在宅医療を行っている医療機関360件を対象に宮城県が行った「令和元年度宮城県在宅医療実態調査結果」によると、「訪問診療を行う施設が不足している」と感じている医療機関の割合は85%にも及びます。宮城県は2017年に「2025年度までに訪問診療を行う医療機関の数を346ヶ所まで増やす」という数値目標を立てており、すでに目標の施設数は超えています。
この調査では、訪問診療を行う医療機関の多くが外来診療をしながら特定の日や昼休みに訪問診療を行っていること,訪問診療を行う医療機関の約3割が元々自院に通院・入院していた患者さんや他医療機関から紹介された患者さんのみを対象としており、ケアマネージャーや介護施設、患者さんご本人やご家族からの問い合わせには対応できていない状況であること,訪問診療を行える最大患者数が月10名以下と回答している医療機関が32%であること、などの実情も示されており、施設数を増やすだけでなく、1施設あたりで対応できる患者数を増やすことが必要であることがわかります。

在宅医療を行う医療機関が患者数を増やせない理由の一つには、地域医療を行う医師の孤立と高齢化があるのではないかと考えられます。365日24時間の対応が求められる在宅医療では少数の医師で多数の患者さんを診ることが非常に困難ですが、在宅医療を行っている医療機関のうち55%は医師一人体制で在宅診療を担当しており、更にそのうちの53%は60代以上の医師であるようです。
地域医療の現場では、「生涯医師を続けたい」、「自分が辞めてしまうと患者さんの行き場が無くなってしまう」と強い想いを持ちながらも、体力の低下から診療を続けることが難しくなり閉院を選択せざるを得ない高齢の開業医が増えています。
一方で中保医師のように、定年まで大学病院や基幹病院で要職を務めた医師のなかには「残りの医師人生は地域医療に貢献したい」、「病院での経験や繋がりを活かして、退院された後の患者さんの療養生活を支えたい」という想いを持つ方が少なくありません。そのような想いを持つ方が地域医療へ挑戦するにあたっての課題も、やはり「数年後、自分一人で続けることが難しくなった時にどうしたらよいのか」ということになります。

やまとでは、医療者が地域医療への想いを実現することができる環境を整えるために、次のことに取り組んでいます。
1.複数の診療所が人材を共有することで安定した診療体制を維持
2.隣接する診療所が合同で時間外・休日の待機体制をとることで医師一人あたりの負荷を軽減
3.地域医療を支える次世代の医療人材の育成
4.幅広い年代の医師が活躍できる制度の構築
また、県内全域で在宅医療を推進し、持続的な地域医療体制を実現するためには、医療機関同士が組織の枠を超えて連携し、限られた医療資源を最大限に活用していくことが必要であると考えているため、今後は上記の取り組みを法人の外にも広げていくことを目指します。

■医療法人社団やまととは
やまとは、2011年の東日本大震災をきっかけに結成された医療支援チームをベースとしています。2013年4月、宮城県登米市に「やまと在宅診療所 登米」を開設し、現在は在宅診療を主体とする診療所を8カ所(宮城県登米市、大崎市、栗原市、仙台市、名取市、岩手県一関市、神奈川県川崎市、横浜市)のほか、訪問看護ステーション、栄養ケアステーションを運営。
今後も東北地方を中心に「地域に対して想いを持つ医療者と共に、その地域の資源を活かした持続可能な医療体制の構築」を目指し、新規開設を計画しています。

医療法人社団やまとHP:https://yamatoclinic.org/
やまとプロジェクトfacebook:https://www.facebook.com/medicalcorporationyamato

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