サイバーセキュリティ連盟
~若手社員を対象に「サイバーセキュリティマインド」の向上を~
「サイバー攻撃による『深刻な被害』ゼロ」を目指す一般社団法人サイバーセキュリティ連盟(以下「当連盟」)は、若手社員を中心とした一般クラス社員の「サイバーセキュリティマインド」向上を目的に、2023年4月4日(火)に体験型サイバーセキュリティ研修を実施しました。これは最新の「サイバーセキュリティマインド」調査(※)で、一般クラス社員のサイバーセキュリティ意識の低さが判明したことを承けてのものとなります。
※ 「サイバーセキュリティマインド」調査(株式会社サイバーセキュリティクラウド 調べ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000323.000009107.html
体験型サイバーセキュリティ研修は、座学だけでサイバーセキュリティについて学ぶのではなく、眼前のPCが実際にサイバー攻撃に遭う体験などを通じ、若手社員に危機意識を持ってもらうための内容となっています。研修には当連盟に入会している企業の若手社員:10名が参加しました。
当日は株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役CTO 渡辺洋司氏のご挨拶から始まり「昨今のサイバー攻撃概況」についてお話しいただきました。続いて、サイバーコマンド株式会社 代表取締役 兼 CEO 浦中究氏にご登壇いただき「サイバー攻撃の種別」についてお話しいただきました。
研修の後半にはサイバーコマンド株式会社 取締役 兼 CTO 横濱悠平氏にご登壇いただき「サイバー攻撃の実例」についてお話しいただいた後、受講者全員に眼前のPCで疑似ハッカーによるサイバー攻撃を受けていただき、サイバー攻撃への対応策を始め、サイバーセキュリティの大切さを体感していただきました。
当連盟は今後も様々な取り組みを通して、サイバーセキュリティの重要性を啓発するべく尽力してまいります。
■昨今のサイバー攻撃概況
株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役CTO 渡辺洋司氏
インターネットの利用増加や企業のDXによりサイバー攻撃は年々増えております。企業におけるサイバー攻撃被害は、個人情報の流出だけでなく、売上機会の損失やブランドイメージの毀損、株価の下落など様々な影響があります。また、それだけでなくサイバー攻撃被害に遭った自分たちから情報が漏れることで、今度は加害者にまでなってしまうということがサイバー攻撃の怖さです。
今や、サイバー攻撃は業種問わずに対策が必要となっています。この研修を通して少しでも多くの方がサイバーセキュリティ対策に目を向けていただけたらと思っています。
■サイバー攻撃の種類
サイバーコマンド株式会社 代表取締役 兼CEO 浦中究氏
PCには様々な情報が格納されており、調べようと思えばかなり細かい部分まで情報を取ることが出来ます。サイバー攻撃は目に見えないことが多く、例えばファイルデータをコピーして抜き出されてしまうとPC上やWeb上には原本データが残り続けているため、情報を抜かれたことにすら気づきません。またサイバー攻撃は1回やられて終わりと思う方が多いのですが、実は情報収集から始まり、長い時間をかけて潜伏し、万全な状態を築いてから情報を盗んでいきます。
今回の研修ではどのような流れでサイバー攻撃が行われていくのかを時系列で体験していただきたいと思います。
■サイバー攻撃の実例
サイバーコマンド株式会社 取締役 兼 CTO 横濱悠平氏
本来、標的型攻撃は8つの段階があり、最初は情報収集のためにアクセスをするところから始まります。この標的型攻撃は短期間で行われるものではなく、数ヶ月から1年程度の非常に長い期間の潜伏と情報収集をしています。
今回の研修では、標的型攻撃といった特定の組織に対して明確な目的を持ったサイバー攻撃や「サイバーキルチェーン」と呼ばれるサイバー攻撃対策の一連の流れなどを理解してもらうために短時間で分析をしながら進めていきます。
■サイバー攻撃実体験ブロック
今回はグローバルレベルの実践的サイバーセキュリティトレーニングを提供するサイバージムの環境を活用し、代表的な標的型攻撃をどのような兆候が表れるのか段階的に全体で確認しながら行っていきました。
受講者はPC内に入っているログ収集(アクセス状況収集)ソフトを用いて、Webサイトへのサイバー攻撃を監視し、参加者全員がチームとなりシステムの防衛を試みました。
まずは監視システムで短時間に何回も機械的にアクセスされているポイントを検知し、そこでどんな状況が起きているのかを確認しながら進みました。次第に監視システムが段階的に異常を検知し、対象Webサイトにアクセスすると別のWebサイトに強制的に飛ばされました。
そこからどんどんと新たな異常を感知し、ついにはWebサイトの閲覧ができなくなりました。その後、わずか30分で参加者全員のPCがランサムウェアに感染し、PCを操作することができなくなりました。
受講者からは「サイバー攻撃は見えないからこそ怖い」「一瞬の出来事で何も出来ずにハッキングされてしまった」など、恐怖を覚える声が多くあり、参加された若手社員全員に危機感が芽生えたようでした。
■受講者の声
クロスサイトスクリプティング(XSS)という単語を知っているなど、サイバー攻撃に関する知識は少しある方だと思っていたのですが、まさかPCが全く動かなくなるまでになるとは思っていなかったので、びっくりしました。Webサイトへの攻撃だとパスワードが抜かれる、個人情報が抜かれるくらいに思っていたため今までの認識が違ったことを痛感しました。研修に参加出来て良かったです。
最初はネットワークの構成図などを確認した際にはサイバーセキュリティもしっかりしていると思っていたのですが、実際に研修が始まったら、ものの30分くらいでハッキングされてしまうことに恐怖を感じました。画面にしっかりと出てくる異常には気づくことが出来ましたが、内部で行われていることには気づくことが出来ませんでした。
サイバー攻撃は脆弱性や人為的ミスの積み重なりによって被害を大きくしてしまうと思っていたのですが、一つのWebサイトを開くだけでPCが動かなくなってしまう程だということにとても驚きました。研修を受けて、Webブラウザのバージョンアップや、安易に危険なWebサイトにアクセスしないということなどに気を付けないと甚大な被害に遭ってしまうと感じたので、気を付けていきたいと思います。
脆弱性など知識としてはあったものの、実際にサイバー攻撃を受けた際に何をすれば良いのか分からなかった。サイバーセキュリティの勉強を始めたこともあり今回の研修に興味を持ったのですが、研修に参加したことで当事者意識が生まれました。今後は実践としてのサイバーセキュリティ知識をもっと身に着けていきたいと思いました。
■まとめ
今回の研修ではサイバー攻撃によってWebサイトにアクセスした際に別のサイトに飛ばされましたが、その段階ですでに強制的にマルウェア(ウィルス)を自動でダウンロードされるようになっていました。サイバー攻撃を受けた際に「一番やってはいけないこと」は、ファイルを削除する・電源を切る・LANケーブルを抜いてしまうなどです。この行動をしてしまうことにより、原因が突き止められなくなります。
皆さんにお願いしたいのは、システムは古いバージョンのものを使用していると、そこが脆弱性となるため新しいバージョンにアップデートしてもらえたらと思います。それこそ皆さんが簡単に始めることの出来る「サイバー攻撃対策」の1つです。
また今回の研修の通り、サイバー攻撃は実際に「目的を達成する為の行動が表面化」してからは、あっという間に進んでしまいますが、そこに至るまでに長い期間をかけて準備がなされる傾向にあります。日頃よりサイバーセキュリティに関する意識を強く持ち、まずは「出来ること」からサイバー攻撃対策を進めていくことを強くお勧めいたします。
■ 一般社団法人サイバーセキュリティ連盟について
名称 :一般社団法人サイバーセキュリティ連盟(Cyber Security Alliance・CSA)
代表理事:小池 敏弘(株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役社長 兼 CEO)
理事 :小川 隆一(独立行政法人情報処理推進機構 専門委員)
齋藤 孝道(明治大学 サイバーセキュリティ研究所 所長)
所在地 :〒141-0021 東京都品川区上大崎3-1-1 JR東急目黒ビル13階
設立 :2023年3月31日
URL :https://www.cscloud.co.jp/dx-security