数々の女性誌で長年活躍する美容ジャーナリスト・齋藤薫さんが40代のSTORY読者のためにエッセイを特別寄稿。更年期に向かうゆらぎ期の中で、肌や体調、心の変化に戸惑う私たちへの金言を、美の先輩が綴ります。

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まず一番に伝えたいのは、経験上「40代がともかく最も悩み多き時代だった」ということ。60代になった今の方が、はるかに楽。肌もむしろ今の方が安定しています。単に“歳をとること”とは違った意味で、40代は自分にとって、最も悩ましい時代でした。

でもなぜ？ これはズバリ、更年期に向かってホルモンバランスが刻々と変わっていたから。女性ホルモンって、減ってしまった結果の問題もさることながら、むしろ減っていく過程でいろいろ悪さを引き起こす、そういうものだからです。

40代は、人生においても女性が最も忙しく、いろんな重責がのしかかってくる年齢。にもかかわらず美容でも最も忙しい時なのです。それも本格的な衰えが始まるから。

ただ単純に、衰えが進んでいくわけではない。まだ充分に若いのに、衰えも気になり、まだ美しさが増しているのに、失っていくものもある。まさに、ポジティブとネガティブがごった返している状態、だから厄介なのです。

女性ホルモンだって、分泌量がピークになるのは意外に遅く35歳前後、そこから一気に減っていくから、いわばホルモンが暴れる時代。何が起こるか分からないから、40代は1番悩み多き世代なのです。

でも逆に言えば、どっちにも転べる年齢。若さ美しさの個人差が最も出やすいのも40代だし、そこで始めたこと始めなかったことが最も大きな差を生むのも40代なのです。だから聞いてほしい、40代でやるべきこと、やめるべきこと、気づくべきこと。それを私なりに、5項目にまとめてみました。

私自身のトラブルの多くは、代謝の悪さや血行の悪さ、低体温から来ている……歳を重ねるにつれ、そう確信を持つようになりました。でもそれにもっと早く気づいていれば、もうちょっと老化を遅らせられたのにと、今さらのように悔しく思っています。40代まで大人のニキビができ、くすみたるみ、さらには足のむくみまでが早いうちから気になった根本原因はそれ。だから慌ててニンニクのサプリや、血管を強くするヒハツのサプリなど飲み始めました。大きな意味での自分の弱点に早く気づくことは、40代にとって急務です。自分に起こる様々なトラブルの根っこにある共通点を見つけることで、宿命的な弱点を知るということ。もうそろそろそれに気づけるはずですから。

40代も半ばを過ぎたら、シミがあるから美白、シワがあるからリンクルケア……そういう対処療法では、正直間に合わない年代に入っていくことを自覚すべき。幸い、化粧品の進化はめざましく、肌の根本に効いてシミもシワもと、全方位に効く化粧品が今どんどん増えています。だからここでちょっと視点を変え、トラブルごとに1品ではなく、全方位にぐるりと効く最強美容液を選んでみてください。その方が経済的であるばかりか、エイジングケアとして極めて効率が良いことに、早く気づいてほしいのです。

でもその一方で40代は今すぐキレイにみえること、“キレイが目に見えること”にも徹底的にこだわりたい。それも40代はどうしても自信を失いがちだから。そうやって自分の若さ美しさを既成事実として自分自身に見せつけていくことが重要なのです。私自身、40代は急に自信を失ったからこそ、投げやりになる悪循環で、折角の可能性をどんどん自分で封印していた暗黒時代。そういうことのないように、その場でキレイが目に見える化粧品を確実に選んで、毎日毎日365日キレイでいることを心がけてみて。

私は40代からインナーケアに大きな比重を置くようになりました。肌は内臓の鏡であると同時に、ハリも潤いも内側から作っていくもの。もう外から与えるだけではダメ、内側からのスキンケアを始めるべき年齢なのです。私はその後50代60代とどんどんインナーケアの比率を増やしています。今は7対3でインナーケアに比重がかかっているほど。単純にヒアルロン酸生成やコラーゲンで、飲む保湿をするだけでも。間違いなく肌が変わります。

ビタミンC、プラセンタ、ヒアルロン酸、コラーゲン……いずれも永遠の王道成分ですが、こうした有名成分モノでなくても、トレンドに全く左右されないロングセラーには、決定的な共通点があります。すべての肌の根本に効き、特にその肌の弱いところに効き、トラブルの起きない肌にすること。地味ながら、全方位に効く絶対ケアであることに気づくべきなのです。私も気がつけば、いつの間にかそうした普遍的なロングセラーに行き着いていました。そしてロングセラーはやっぱり違うと肌で思い知っているのです。

このように、40代からはともかく闇雲ではない、確信を持った頭の良いケアを始めるということを、絶対のテーマとしてください。そろそろ自分の肌や体質がきちんと見えてくる年齢、それをしっかりとお手入れに生かすのです。私の40代は、逆にいろんな情報に惑わされて、今思えば確信を持ってお手入れをしていなかった気がします。でも今振り返れば、40代で見えていたことがたくさんあったのは確か！ だからこそ、こんな提案ができるのです。ぜひ無駄のないツボを押さえたケアを始めてください。

文／齋藤 薫　取材／沢 亜希子