今年は、念願だったイギリスへの海外ご公務を果たすなど、私たち国民に様々なお姿を見せてくださった皇后雅子さま。知性溢れる、お優しい笑顔からその充実ぶりが見受けられました。12月9日にお誕生日を迎えられた雅子さまの2024年のご活躍について、放送作家で皇室ライターのつげのり子さんに伺いました。
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「2024年は国内でのご公務だけでなく、チャールズ3世英国国王の招聘を受け、イギリスへ国賓として訪問されるなど、皇后としての役目を完璧に果たされ、活躍された雅子さま。毎回、訪れる先のことを詳しくお調べになり、その着こなしからも訪問先への敬意をお示しになられていることがうかがえます。
ご訪問先は多岐にわたるので、その土地にちなんだものを取り入れられた様々な色、デザインの装いになりますが、雅子さまがお召しになることで、装いの存在感が高まり洗練された雰囲気に。雅子さまだからこそできる着こなしが多くあったようにお見受けします」(つげさん、以下同)
どんなお色も雅子さまらしく、洗練された凛とした着こなしに
イギリスご訪問時の特別な装いは大きな話題となりました
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2024年6月、英国ご訪問時のバッキンガム宮殿晩餐会記念撮影にて。 写真提供/東京写真記者協会
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2024年6月、英国ご訪問時、バッキンガム宮殿晩餐会へ。 写真提供/日本雑誌協会
「イギリスではレースの装い尽くしだった雅子さま。18世紀後半にイギリスで産業革命が起きた頃、機械式の自動織機が誕生。これにより大量生産ができるようになったレース産業に変化が訪れたという歴史があります。そんな『機械式レース織機』の発祥の地であるイギリスに敬意を表し、レースのお召し物をご用意されたのではないでしょうか。
バッキンガム宮殿晩餐会では、海外のご公務の場で初めて着用したと思われる、菊の紋様の細工が繊細で美しい『皇后の第二ティアラ』を身に着けていらっしゃいました。これまで皇室と英王室の晩さん会では、皇后と女王(王妃も含む)はともに白のドレスをお召しになっていました。今回も前例に則って、白をお召しになったのでしょう」
宝飾類は、代々の皇后に受け継がれてきたミキモトの第二ティアラと、ダイヤモンドのイヤリング、2連のネックレスを。眩しいほどに光輝くダイヤモンドと、総レースの純白のイブニングドレス。その圧巻の麗しさに負けない、雅子さまの光輝く笑顔と存在感。ニュースでそのお姿を拝見し、国民として誇りに思った人も多かったのではないでしょうか?
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2024年6月、英国ご訪問時の歓迎式典にて。 写真提供/東京写真記者協会
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2024年6月、英国ご訪問時の歓迎式典にて。 写真提供/東京写真記者協会
「歓迎式典では、レースがあしらわれたお帽子とレースがあしらわれたスーツに、レースのコートをお召しになっていた雅子さま。馬車で移動される際は、馬アレルギーのためにマスクを着用されていましたが、マスクもレース仕様で、まさにレース尽くしでした。
イギリスご訪問はあくまでも天皇陛下が主役。オールホワイトの着こなしが多かったのは、儀礼的な側面だけでなく、控えめに天皇陛下に寄り添いたいという意味もあったのかもしれません」
裾のデザインまで繊細で美しい、花柄の総レースのアウターは、以前からご愛用のブローチで正面を留められています。総レースですとやや平坦な印象になりがちですが、計算されたブローチ使いでメリハリのある装いに。イギリスの歴史に敬意を示されたレースに、日本での生産が有名な真珠のネックレスとイヤリング、ブローチを合わせた、考え尽くされた国際親善ファッションです。
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2024年6月、英国ご訪問時、天皇陛下の母校オックスフォード大学マートン・コレッジ植樹式にて。 写真/宮内庁提供
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2024年6月、英国ご訪問時、天皇陛下の母校オックスフォード大学マートン・コレッジ植樹式にて。 写真提供/東京写真記者協会
「両陛下が留学されていた思い出深い場所、オックスフォード大学へ。この日も、白でまとめられていた雅子さま。美しいジャガード織りのジャケットに、同素材のワンピースのスーツをお召しになっています。
珍しく天皇陛下のネクタイの色とリンクしていないのですが、この日の天皇陛下のネクタイは学生時代に使用されていた、オックスフォード大学のもの。ものを大事にされる天皇陛下の誠実さ、また母校への懐かしい思いが強く感じられます」
一見シンプルなショールカラーのスーツですが、ボタンはお着物のような組み紐ボタンで合わせも和装風。イヤリング、ネックレス、ブローチも真珠で統一され日本を意識されています。胸元のブローチは大麦畑のある英国を想起させ、実りを意味する麦モチーフではないでしょうか? 品よく控えめでありながら、ファッションでも国際親善を意識された着こなしです。
教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん
テレビ東京系『皇室の窓』の放送作家。2001年の愛子さまご誕生以来、皇室番組の構成を担当し、皇室研究をライフワークとしている。ワイドショーから政治経済番組、ラジオまで様々な番組の構成を手掛け、現在は西武文理大学非常勤講師も務める。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)『素顔の雅子さま』『素顔の美智子さま』(ともに河出書房新社)などがある。