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Lifestyle特集

小学生ママ必見! 今こそ必要な「読書力」を、親子で育む方法

物事を深く考える力や、人の心情を察し対話するコミュ力などが必要とされている時代。身の回りの出来事に対する「読解力」は、読書によって育まれる、とおっしゃる麻布中学・高校国語科教諭の中島克治先生に、読者の悩みに答えてもらう形で、読書をもっと親子で楽しめるコツをSTORYモデルの佐藤純さんが聞きました。(対談敬称略)

中島克治先生
麻布中学・高校卒業後、東京大学文学部、東京大学大学院人文科学研究科博士課程に進み、母校で現代文を担当。中2の子どもを持つ父。著書に『小学生の中島克治先生ための読解力をつける魔法の本棚』¥1,300(小学館)等多数。
佐藤 純さん
本誌モデル。小5の男児、小3の女児の母。「子どものお気に入りは恐竜が主人公のシリーズ本『おまえ うまそうだな』。息子は感動して泣きますが娘はケロッとしてます」

悩み1. そもそも本をあまり読まないんです…

佐藤
小さいころから読み聞かせをすると読書好きになるとよく聞きますよね。
中島
小5でも本人が嫌がらないなら、読み聞かせをするのはいいと思います。子どもにとって、寄り添ってもらうのは心地よい体験ですし、耳から聞くと心情が想像しやすくなります。
佐藤
小さいころ、読み聞かせをすると、息子は感情移入してよくぽろぽろ泣いていました。
中島
共鳴、共感ができるということですから、すごくいいことですね。
佐藤
でも、あまり本好きになってくれなかったんです。
中島
いやいや、大事なのはそういう体験をしたということ。お子さんの興味のあるもの、例えばスポーツ雑誌などから読むのもいいですよ。
佐藤
雑誌でもいいんですか? 息子はカーレースが好きで、その手の雑誌ならたくさん読んでいます。
中島
写真があって説明する文字や数字がある「本」という媒体に触れさせ、そこに信頼できる情報があることを知らせるのが重要なんです。
佐藤
そうなんですね。もともと私のほうがレース好きでよく家族で観戦に出かけるんです。今では、息子のほうが私より詳しいくらいで。
中島
子どもは親の興味関心のあるものに自然と惹かれるものです。親子が一冊の雑誌を挟んで「よく知ってるね」などと会話するのはすばらしいこと。雑誌をとっかかりにして次は、アイルトン・セナについての本を読んでみよう、その先は、ヨーロッパに関連する本を見てみよう、というように芋づる式に興味が広がるのではないでしょうか。
佐藤
マンガでもいいんですか?
中島
もちろん。むしろ、小・中学生にはマンガは〝マスト〟とも言えます。私の子どもの友人は『文豪ストレイドッグス』というマンガが好きですが、それがきっかけで、作家の小説を読んだりしているようです。また、麻布高校1、2年向けに「ブラック・ジャックを読み直す」という教養総合授業を行っています。これが意外に人気なんです。マンガが好きな者同士ならではの、濃い会話が交わされ、親密な人間関係が生まれ、コミュニティが形成されていくと、その中では、〝あれね〟で通じ合えることがたくさんあるんです。実はこのように言葉にしなくても通じ合えるものが非常に大切なんですよね。親はマンガを敵視しがちですが、大人だってマンガを読んでいる時代です。子どもたちからだけ取りのぞくことはありえない。私は子どもにも『ブラック・ジャック』を読んでほしくて薦めたんですが、読まない。でも今回、自分の授業のためにトイレに置いておいたら「私も読んだよ」と言っていました。目に触れるところに置き、親が楽しそうに読んでいたり、話題にしたりすると、子どもは影響を受けるんです。
佐藤
マンガでもいいというのは驚きです。ただ、妖怪ものなど怖いものばかりを子どもが好んで読むと、悪影響がないかと心配になるんですが。
中島
大丈夫です。大人と一緒でちゃんと現実とは区別できていますし、怖さを楽しんでいるんですよ。水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』も正義派ですし、夏目漱石も小説が面白くなる普遍的な要素の一つとして、怪奇的なものを挙げています。あえて避ける必要はありません。
佐藤
安心しました。

本を目に触れるところに置き、親が楽しそうに読むと自然と読むように


悩み2. 読解力は読書で伸びるんですか?

佐藤
読書で読解力が養われるとよく言いますけれど、読解力とはどういう力のことなのでしょうか。
中島
非常に難しい質問ですが、私が考える読解力とは「経験できないことを本の中で追体験することで得られる、周囲の人や物事とのコミュニケーション能力」であり、さらに発展させて「世界全体を見渡したときに、その成り立ちや自分との距離感を知る手がかりとなるもの」であり、また、「自分自身の内面を掘り下げるスコップのような役割をしてくれるもの」です。周囲と世界、そして、自分を知るための力とも言うことができます。
佐藤
深い! 生きていくうえで必要な力が読書によって得られるということなんですね。でも、飛ばし読みや流し読みをしていると読解力がつかないということはありますか?
中島
面白い本は飛ばし読みできないですよ。だから飛ばしてしまうのは本との相性の問題かもしれません。また、同じ著者の本をたくさん読んでいると、飛ばし読みしても自然と伝わってきますよね。1冊を丁寧に読むのもよいのですが、多読する楽しみもあっていいし、読解力はつきますよ。それより、気になるのは、今の子たちが忙しすぎるということです。することが何もないという心理的飢餓感や、みんなが読んでいるのに自分だけが読んでいないという危機感が、本を手に取らせる動機になるのですが、今の子は余裕がなさすぎる気がします。

読解力とは、周囲とのコミュニケーション力です。また、世界や自分を知る手がかりでもあります


悩み3.読書感想文の家での指導が大変

佐藤
長期休暇で必ず宿題に出される読書感想文も本当に困るんです。
中島
わかります。正直、私も大嫌いでした(笑)。褒めなきゃいけないのが嫌でした。つまらなかったら正直にそう書いていいと言われていたら、少し違ったと思います。
佐藤
それは意外です。
中島
でも、自分とどこが合わなかったのかを見つめ、そこを書いていくと、逆に、筆者のモチーフに気づくきっかけが生まれたりするのです。
佐藤
それはさらに高度。そこまでできたらすごい。でも、私は、本選びの段階から苦労してしまうんです。
中島
推薦図書は幅広くあるので、まずは本人の気に入ったものから選ばせるといいですよ。
佐藤
本人に選ばせると、表紙を見て〝ジャケ買い〟をしてしまい、中身が難しくて結局読まないことも。
中島
ジャケ買いするということは、表紙の絵柄なのか、厚さなのか、作家なのか何かシンクロした部分があるということですよね。もし、最後まで読めなかったなら、親が読んでみて、何に躓いたのかをリサーチしてあげるといいですよ。この作家は好きそうだなと思ったら、同じ作家の別の本を薦めてみるとか。よく、〇年生向けといったカテゴリー分けがありますが、精神的成長はまちまちなので、少し対象年齢の低いものにしてみると、とっつきやすいということもありますね。
佐藤
名作も読んでほしいのですが、名作=勉強というイメージがあるようで、余計に嫌がります。
中島
本は本来、逃避じゃないですか。勉強しなきゃいけないときに、急に読みたくなるもの。マンガがいい例ですよね。そもそも太宰治なんて、昔は破廉恥で読んではいけないと言われていたのに、いつの間にか「名作」と呼ばれ、権威化されてしまった。子どもたちは、「名作」という評価が決まったものには惹かれないんです。大人が知らないYouTubeのような評価がないものに価値がある。だから、〝名作だから読みなさい〟と押し付けず、面白そうで、共感できそうなものの一つと認識させるほうがいいんです。
佐藤
あえて名作だと知らせないということですね。それは目から鱗!
中島
子どもはある日突然急に伸びます。教え子に、学業とは別の場面で非常に成長して急に読み方が鋭くなった生徒や、3日前までは小林秀雄の文章を全く理解していなかったのに突然理解して、100年前からわかっているような顔をしている生徒がいます。必ずそういうときが来ますから、見守る大人は、我慢し、信頼することが必要です。言い換えれば、「必要最低限」以上は放置しておくことも大事ということです。
佐藤
本を身近なところに置き、親が自分の興味のある本を読んでいれば、大丈夫ということですか?
中島
そうです。映画を一緒に観て、ノベライズされたものを身近に置いておくとか、テレビのドキュメンタリーなど、社会に目を向けるような番組を一緒に観て、興味のありそうなテーマを振ってみるくらいで十分です。本を読み始めるのに手遅れはありません。ぜひ、お母さんも一緒にたくさん本に触れてほしいと思います。

つまらなかったら、正直にそう書いてみる。なぜ面白くなかったのかを一緒に探ってあげてください

必ず伸びる日が来ます。ある程度助け舟を出したら、あとは信頼し、放っておくことも必要です

撮影/久保田育男(OWL) モデル/佐藤 純 ヘア・メーク/陶山恵実(ROI) 取材/秋元恵美
※2020年2月号掲載
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