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「熱海に移住。二拠点生活を始め、熱海と関わりたいと思ったことがきっかけに」 能勢友歌さん【趣味キャリ生き方図鑑 vol.14】

人生100年時代。一つの仕事・肩書きだけで働くというモデルそのものが変わりつつあります。結婚や出産等がきっかけで、それまでとは全く違った仕事や働き方をスタートさせるケースも珍しくありません。STORY読者の間では“好き”を仕事にして、耳慣れない肩書きで活動している人が増えています。そんな人生のセカンドキャリアをスタートさせた方を取材。第14回目は、熱海に移住したことで熱海の林業の現状を知り、自分にできることを突き詰めたら週末は森でチェーンソーを扱う木こりになっていたという能勢友歌さんのお話です。

能勢さんのお仕事は…
‟週末”木こり

間伐材の可能性を最大限に考え、<熱海の森に新しい風を>をミッションとして週末に森林保全に取り組み中。NPO法人「熱海キコリーズ」を立ち上げ、活動を通して「持続可能な林業活動」や「地域復興の実現」を目指しています。パワー溢れる能勢さんの活動はTV「マツコ会議」や「ニュースキャスター」、雑誌「ソトコト」などのメディアでも紹介されました。

‟週末”木こり能勢友歌さん(38歳)
プロフィール
岐阜県飛騨高山市出身。大学時代は東京とLAで暮らし、その後東京で就職。結婚後、‘12年に働き方を変えるために熱海に家を購入し、東京にも拠点を持ち、二拠点生活をスタート。平日は東京の広告会社でコミュニケーションプランナーとして勤務、週末はNPO法人「熱海キコリーズ」としてパラレルキャリア続行中。森の再生化プランニング・実践を行う林業に従事。
熱海キコリーズInstagram: https://www.instagram.com/atami_kicollys
熱海キコリーズFacebook: https://www.facebook.com/atamikicollys

好きを仕事にしようと思ったきっかけis…

間伐材に付加価値をつけたいと思ったから。

熱海市民になったことがきっかけです。
熱海は海の印象が強いと思うのですが、実は森林率が63%。それまで林業のことは全く知らなかったのですが、熱海と関わりを持ちたいと思っていた5年前に熱海市が主催した「自伐型林業研修」に参加しました。幼い頃は飛騨高山の山々に囲まれた環境で育ち、いつも自然が側にある生活でしたので、ワクワクドキドキした研修でした。「チェーンソーが使える!」とアドレナリンが出まくったのを覚えています(笑)。

豊かな資源でありながら、熱海には放置林が多く存在する課題を抱えていました。自然に触れあいたい、熱海市民にとって良いことをしたい、地球に優しいことをしたいと、「自伐型林業研修」に参加したメンバーと「熱海キコリーズ」を結成。放置林となっているヒノキ中心の人工林を蘇らせる間伐活動で、森林の再生化を実施しています。

間伐材は伐りっぱなしにはせず、搬出し製材、乾燥、そして加工をして熱海市内に還元しています。またキコリーズの体験会、熱海マルシェなどの地域イベントでワークショップを開催。ホテルやカフェ、商業施設などとコラボをするなど、開けた林業を目指しています。

森林を整備していくことは私が考えている以上に人と繋がり、発展していきました。熱海には海以外にも歩いて「気持ちいい!」と感じる森がある、海を見ながら森で過ごす滞在型熱海もお勧めです。

林業は5年、10年、15年先を見据える産業だからこそ、仲間たちとは一生付き合いたいですね。これからもマイペースに欲張りに、林業スキルを磨きながらいろいろな可能性に挑戦していきたいです。

好きを仕事にするまでのスケジュール

2011年
結婚
2012年
熱海に移住
2016年
熱海市主催の林業研修に参加する
2017年
熱海キコリーズ誕生
2020年
NPO法人になる
2021年
熱海に“森林浴フィールドを作りたい”とクラウドファンディングを実施
現在に至る

1日のスケジュール

熱海は日が暮れるのが早いので、夜は早く寝て、朝は早く起きますね。海が見えるバルコニーで朝ヨガをしています。森での木こり活動の後には、ホテルなどと打ち合わせをする街での木こり活動もあります(笑)。ワークスベースで間伐材を使ってDIYをするなどのイベントの依頼もあります。帰宅後はまずお風呂に直行しますね。熱海ならではの源泉の温泉で一日の疲れを癒しています。

1週間のスケジュール

熱海に移住してからは、平日は東海道線で東京まで通勤する時間が、良い意味で切り替えられていたのですが、現在はほぼリモートです。熱海に移住してから、仕事中の性格も穏やかになったと言われます(笑)。

能勢さんに4つの質問!

所属している「NPO法人 熱海キコリーズ」はどんな集団?

メンバーは20代~70代の男女20名。女性6名、男性は14名で結成されたフォレストラバーズ集団。「森が好き・森を守りたい」という共通の意識を持った民間の有志が集まり、本業の傍らで週末木こりをしています。メンバーに入るには、林業の研修を受けることが条件。なぜなら共通言語を学ばないと森での業務が安全に遂行できないからです。
メンバーの本業は、公務員、エンジニア、大工、造園業など様々ですが、チームとして得意分野を生かし提案できることが問題の解決に繋がっています。共通の価値観を持った大人の仲間たちは、忖度なくお互いを尊重し合える関係。家庭でも職場でもないサードプレイスは、悩みも打ち明けられる心地よい居場所となっています。
林業は閉鎖的に思われがちですが、みんなに覚えてもらえるようロゴを作りました。ロゴ入りのお揃いのユニフォームを着ると自分たちの気持ちもアガります!
熱海キコリーズ (atami-kicollys.org)

間伐材を加工してどんなことに使っていますか?

間伐材はホテルの熱海市内の飲食店の店舗のテーブルやホテルの洗面台の建材、その他にカッティングボードや看板、クワサ、スマホスタンドなどお家で楽しめる木工雑貨として加工。オイルややすりなどを付けて、お家でご自身で仕上げを楽しんでいただけるようになっています。それらは熱海のマルシェなどで販売しています。ヒノキの木くずは天然素材のシューズドライにも。

木こりとしてどの作業がいちばん好きですか?

間伐ですね。50年前に小学生が植えた木が生い茂り、人工林となっているので、その50年間生きた木の重みを感じます。いつもそんなことを想いながら伐採しています。
切った後には倒れた木の上に寝転ぶこともあるんです。空を見上げると切った分の空が広がり、よく見えるようになるんですよね。そして間伐したことで、他の木たちが元気に育っていく…感慨深いですね。

現在手掛けているモノは何ですか?

「地産地消」の取り組みの一貫として、熱海市内の間伐活動で生まれた間伐材を搬出製材し、熱海の山間部に「海の見える森林浴ウッドデッキ」を作りたいと考えています。設置予定エリアは、姫の沢・自然郷の森の中間に位置する森林エリア。熱海の頼朝ライン沿いにあるレストランカフェ「Marie’s Kitchen & Live Studio」の脇から整備した階段を降りると、熱海の海や街を一望できる秘密基地のような森林浴フィールドです。
今回のクラウドファンディングでは、森林浴フィールドにウッドデッキスペースを整備するための資金を募らせていただきます。今年10月の完成に向けてがんばっていきます!

未来に続く森づくりへの挑戦!熱海に「海の見える森林浴フィールド」をつくりたい! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

撮影/BOCO 取材/孫 理奈

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