★ 親の当番や父母会はありません。
そのほうが指導しやすいし、試合の時は全員に出場機会を与えます
<理不尽な負担はもういらない ―― そんなチームも増えてきました>
― 組織に属さない中学野球チーム「東京インディペンデンツ」 監督・加藤幹典さん
「単純に野球が好きな子に向けて、野球ができる環境で、選手ファーストのチームを!」と、昨年設立しました。〝チームが合わず試合に出してもらえなかった〟という子、〝監督に気に入られなかったから出られなかった〟という子は本当に多い。野球で楽しいのは、やっぱり「試合」です。それを奪われると、好きな野球から離れる。だから、ここでは、試合がある時には出場する機会を均等に与えます。
また、多くの中学野球のチームは、連盟の傘下にありますが、東京インディペンデンツは所属していません。組織の傘下にあると制約が多く、たとえばメジャーリーガーと同じグローブやバットなどの道具を使いたくても、公式戦では使用不可だったりします。その代わり、同じ志を持つチームと一緒に独立リーグを立ち上げました。
もちろん、親の役割や保護者の負担もなく、審判も選手が。ありがたいことに、ボランティアでお父さんたちが球拾いなどのお手伝いしてくださることもありますが、指導には口出さない。そのぶん監督やコーチの負担は増えますが、指導者のためのセミナーや研修を受けて、みんなで共有しています。保護者が完全に預けてくれることで、責任もありますから。
★ Jリーグの下部組織をはじめ、サッカークラブはシステマチックなところが多いので当番制も少なくなってきました
STORYモデル 小野千恵子さん
サッカー選手・小野伸二さんの妻で、2児の母。STORYモデルとしても活躍しながら、自らサッカー好きということもあり、少年サッカーチーム運営のお手伝いをしている。
遠征時に、親たちで少額を徴収し、お菓子やスポーツドリンクを購入し、コーチに渡すぐらいのことはありますが、それ以上に親の負担はなく、当番制もありません。地域のサッカーチームもお手伝いは少なそう。コーチに聞くと、10年以上前は親たちがおにぎりを監督に差し入れ、などの当番はあったようですが、結局、廃止になったとか。
サッカーチームは運営がしっかりしているところが多く、特にJリーグの下部組織は本当にシステマチックで、チーム内部のスタッフの方々が完全に管理します。うちのチームには、保護者の母たち向けの「ママサル」がありますが、これを体験すると、サッカーの大変さがわかって、結果的に口が出せなくなるんです(笑)。
保護者たちの「ママサル」の様子。実際に体験すると「子どものことはコーチに任せよう……」という気持ちに。
撮影/吉澤健太 取材/東 理恵 ※情報は2021年11月号掲載時のものです。