●中学受験を通して、親の視点から見た子どもの成長
もし父親がいたら、勉強をみてもらったり、もっと色々手助けしてもらうことがあったと思いますが、我が家にはそういう人がいませんでした。
4年生の夏の夏期講習から塾に通い始めましたが、少しずつ問題が難しくなる中で、ある日、長男は私をバッサリと見限ったんです(笑)
私も中学受験の経験があるので、どれどれと思って一緒に問題を解こうとしたのですが、分からなくて考え込んでいたら…「自分でやるからいいよ」という雰囲気になりました。それからは、息子は自分で解説を読んで勉強を進めるようになり、一切私に聞いてこなくなりました。
「誰も息子に手助けする人がいなかった」というのは、かえって良かったのかもしれません。本人のやる気にもつながっただろうし、自分で解決する力も身に付いたと思います。苦しい時もあったかと思いますが、「自力で頑張って取り組み達成する」ということが、本人の自信に繋がったと思います。たくましい子だなと思いました。
「分からないところは塾の先生に聞きなさい」としか私は言えませんでしたが、あまり質問をする子どもではなかったので、塾の先生にも気にかけていただくようにお願いをしてはいました。けれども、息子の様子を尋ねると、過去問を解く際に、難問に苦戦していても、最終的には自分で解説を読み、必ず自分で解決していくスタイルを貫いていたようです。
1人で考えることは、孤独な作業だと思います。でも、先生に聞くのは最終手段だと決め、四谷大塚の教材に付いている詳しい解説を自分で読み解いていく。その習慣を身に付けていくことで、「自学自習の力」がかなり付いていきました。
幸いにも我が家は、中学受験期はまだ反抗期に差し掛かっていなかったので、食事や睡眠、時間の管理をしっかりしてあげることでスムーズにいった方だと思います。「どっちが量を多く食べた」とか「どっちが早かった」とか、そういった兄弟喧嘩は日常的に絶えなかったですが…(笑)
ポイントは「褒めてあげることを忘れない」ことだと思います。頭を撫でてあげたり、丸つけを手伝ってあげたり、子どもを励まし続けること。
「中学受験は親子の受験」という言葉はまさにそうで、中学受験を通して、私は子どもと深い関わりを持つことができました。親は子どものスケジュールに合わせ、時間の管理術が得意になるし、子どもに併走して大変な思いを共有しながら、一緒に乗り越えていくことは、貴重な経験だったと思います。
そして、その先の中学・高校・大学へと進む際にも、子どもにとって必要な「勉強の習慣」を作り上げていくことができたことも、とても良かったと思います。
●その日一日の子どものがんばりを必ず褒めてあげる
本番の受験日を迎える日まで、とっても長い期間を要して取り組んでいく中学受験は、それぞれの家庭にさまざまなドラマがあると思います。お子さんが不安定になり泣き出したり、受験しないと言ったり、精神的にキツくなるお子さんもいらっしゃると思います。
お子さんがそういう感情を持ちながら、また気を取り直して乗り越えていく経験を味わい、毎日色々なことを感じながら、心の動きを微調整することを覚え、少しずつ心が強くなっていく…そうやって、受験勉強を通して「成長」していくのだと思います。
何よりも、日々の心のケアをしてあげることが大事だと思います。お子さまが寝る前に、その日一日のお子さまのがんばりを必ず褒めてあげてください。それは、子どもに充実感をもたらし、安心した気持ちで良質な睡眠を取ることでき、翌日の活力につながります。
全力疾走すると息切れしてしまうので、少しずつ負荷をかけて勉強の習慣を身に付けていく。目標が定まってきたら、その目標である受験日に勝負ができるよう、一番いい状態にタイミングを合わせて持っていく。まるで長距離マラソンのような受験勉強ですが、高校受験や大学受験では、これを本人がやり遂げていけるようになるのが、更なる「成長」です。
次回の連載も楽しみにしていただけたら嬉しいです。