「立ち回りにダンスに歌…… 覚えることが多いので、必死についていっています。でも、難しいことを要求されると嬉しくて。絶対にできるようになるという確信があるから、本番でそれができている自分を思い描くと、ワクワクするんです」

笑顔でそう話す福士蒼汰さん。目下、舞台『神州無頼街』の稽古中です。コロナ禍による公演延期を経て、約2年越しで上演される劇団☆新感線の幕末伝奇活劇。富士の裾野に広がる無頼の街を舞台に、2人の青年が悪と自らの因縁に立ち向かうこの作品で、福士さんは博識な若き町医者の主人公、 秋津永流を演じます。

「永流は、医療についてはすごく詳しいのですが、世間のことをあまり知らない。人とも距離感があって、孤独な若者という印象です。けれども、陽気でお調子者の口出し屋・草臥と出会って世間を知り、色々な人と触れ合っていく中で温かな心が芽生えていく。公演が延期になった2年の間に、お芝居の面でも成長できたと思うので、しっかり演じたいです」

ちなみに、相棒の草臥役は、5年前に初舞台『髑髏城の七人～Season月』の稽古で出会い、すっかり仲良くなったという宮野真守さん。

「宮野さんのほうが10歳上ですが、僕がちょっかいを出すのをいつも受け入れてくれて、つっこんでくれるんです。歌もお芝居も本当にすばらしくて。最高のバディだなと感じています」

2011年に、劇団☆新感線の座付き作家・中島かずきさんが脚本を手掛けた特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」で初主演を務め、昨年デビュー10周年を迎えた福士さん。えくぼがチャーミングな28歳に、俳優という仕事の魅力を尋ねると、「何を勉強しても、どんな経験をしても、仕事に生かせるところ。そこがものすごくありがたいです」とのこと。

聞けば、「もともと学ぶことや教えることが好きで」、初舞台で早乙女太一さんと共演して以来、一緒に殺陣の稽古をしているのだそう。また、昨年からピアノを習い始めたといいます。

「前から何か楽器をやりたいと思っていたところに、ピアノの先生との出会いがあって、これはもう始めるしかないなと。この仕事をしていると、色々な分野で活躍されているプロフェッショナルの方に会う機会があって、そこも大きな魅力だなと感じています。人との繫がりに感謝です」

さらに毎日、中国語と英語も勉強しているというのですから、感心せずにはいられません。

「好きなことをしているので、勉強という感覚はあまりないんです。やっていれば、いずれは習得できるという気持ちで続けています。僕はこれから先、ボーダーレスに仕事をしたいと考えていて。仕事のジャンルはもちろん、言語や国境の壁も乗り越えて、色々な人たちと一緒に仕事ができたらなと思います」

忙しさを言い訳にすることも、ましてや努力を苦にすることもなく、日頃からたゆまず己を磨いている福士さん。

満を持して挑む『神州無頼街』では、その魅力が炸裂するに違いありません。「楽しみにお待ちいただければ嬉しいです」と話す爽やかな好青年に、乞うご期待！

福士さん：ジャケット￥140,800 シャツ￥156,200 パンツ￥81,400 シューズ￥74,800（すべてヨウジ ヤマモト）その他スタイリスト私物
撮影／横山翔平（ṫcube）　ヘア・メーク／高橋幸一（Ｎｅｓｔａｔｉｏｎ）　スタイリスト／小松嘉章（ｎｏｍａｄｉｃａ）　取材／岡﨑 香　　※情報は2022年4月号掲載時のものです。
　

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