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【本日開幕!パルコ・プロデュース2022 『セールスマンの死』】出演の林遣都さんインタビュー

○ 舞台『セールスマンの死』に出演する 林遣都さん(31歳)

30代からは
自分でどこまで色々なことを学んで
たくさんのことを感じて
時間をどれだけ大切にできるかが勝負

今年1月期の連続ドラマ「愛しい嘘〜優しい闇〜」で演じた、まったくタイプの違う二役も好評だった林遣都さんが、4月から舞台に出演します。作品は、近代演劇の金字塔と言われるアーサー・ミラーの『セールスマンの死』。過酷な競争社会を背景に、過去の幻影と現実の間で煩悶する男とその家族の姿を描いた名作です。英国の気鋭演出家ショーン・ホームズ氏が、演出を手掛けます。

「ショーンさんは、相手の目をしっかり見て話をされる方。言葉が直接通じない分、必死に伝え合おうとする熱が稽古場にはあって、おかげで僕もまったく物怖じすることなく、稽古に向き合えています。物語の舞台は1950年頃のニューヨークなんですが、すごく普遍的なものがあって、ストーリーに引き込まれます。描かれている出来事は、どれも心にずしっとくるんですけれども、苦悩を抱えた家族がぶつかったり、助けを求めたり、支え合ったりしながら必死に生きている姿に愛しさを感じて、この作品が持っている力というものを、改めて実感する毎日です」

世界の名だたる俳優たちが演じてきた主人公ウィリーに挑むのは、段田安則さん。敏腕セールスマンだった過去にとらわれ、仕事が上手くいかない自分や、息子たちの現状を受け入れられない63歳という役柄です。献身的な妻リンダ役は、本格的な舞台出演は25年ぶりとなる鈴木保奈美さん。30歳を過ぎても自立できない2人の息子のうち、高校時代はフットボールの花形選手だった長男ビフを福士誠治さん、次男のハッピーを林さんが演じます。

「僕自身も次男坊なんです。ハッピーは兄よりも器用に生きているように見えますが、心の奥には兄への劣等感といった長年の思いがあるんだろうなと感じています。稽古中の段田さんは、すでにウィリーそのもので、見入ってしまいます。盗めるところは盗みたいですし、稽古の間にショーンさんや共演の皆さんと作品や役について色々な話をして、公演初日を充実した状態で迎えられるようにしたいです」

6年前に初舞台を経験して「自分を向上させるためにも、舞台をやっていくべき」と実感したという林さん。以来、コンスタントに舞台に出演していますが、実はいまだに稽古初日は「自分に足りないものや、ダメな部分をさらけ出すことになるので、怖くてドキドキしますし、憂鬱にもなる」のだそう。

それでも挑み続けているのは、「自分が新しいものを手に入れて、どんどん充実していくような感覚がある」から。その背景には、20代後半くらいから感じていた、「運とか感性だけでやっていける仕事ではない。色々な面で意識を変えていかなくては」という危機感があったと言います。そんな林さんも31歳。

「30代からは、自分でどこまで色々なことを学んで、たくさんのことを感じて、時間をどれだけ大切にできるかが勝負。そう思って、自分の中でいろんな決意をして30歳を迎えてから、1年ちょっと経ちました。今は、1日1日をすごく大事に過ごせているなと感じます。この状態を継続して、成長していけたら」

その真っすぐな眼差しや言葉には、誠実な人柄と内面の充実ぶりがにじみます。『セールスマンの死』ではどんな顔を見せてくれるのか、ますます楽しみです!

はやしけんと 1990年滋賀県出身。2007 年に映画『バッテリー』の主演で俳優デビュー。同作品で、その年の多くの新人賞を受賞する。以降、映画、ドラマなどで活躍。’16 年には『家族の基礎~大道寺家の人々~』で初舞台を踏む。主演を務める「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」の「不眠症」が4月19日にNHK-BS4K・BS プレミアムで放送予定。

○ 4月4日開幕! パルコ・プロデュース2022 『セールスマンの死』

疲れ果てて帰宅した63 歳の元敏腕セールスマン、ウィリー・ローマン。妻のリンダは彼に献身的だが、思うように活躍してくれない息子2人の存在が、仕事が上手くいかない彼をさらに追い詰め……。

作/アーサー・ミラー 翻訳/広田敦郎 演出/ショーン・ホームズ 出演/段田安則、鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋
克実ほか 

4 月4 日~ 29 日/ PARCO劇場 5 月に地方公演あり。
 
https://stage.parco.jp/program/salesman/

 
撮影/嶋野旭 ヘア・メーク/竹井温(&’smanagement) スタイリスト/菊池陽之介 取材/岡﨑香 ※情報は2022年5月号掲載時のものです。
 

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