ドラマを中心に様々な役柄で実力を発揮している小関裕太さんが、今回が日本初演となる韓国発の人気ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』に出演します。物語の舞台は、保守的な価値観が幅を利かせていた19世紀のロンドン。主人公アンナが社会と闘いながら、小説を書くことで“私”として生きる道を見つけ出す物語です。小関さんが演じるのは、祖母の遺言で探し出したアンナの率直な人柄に面食らいながらも、惹かれていく生真面目な新米弁護士ブラウン。役の衣裳もバッチリお似合いの小関さんに、作品の魅力や最近興味を持っていることなどを伺いました。
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僕自身の紳士度に関しては、あんまりハードルを上げないで欲しいです(笑)
――役の衣裳がとてもお似合いの小関さん。少女漫画から抜け出てきたかのようです。
ありがとうございます(照笑)。物語の舞台がヴィクトリア時代のロンドンなので、衣裳プランもそれに合わせたものになっています。僕はネクタイを集めるのが好きなのですが、こういう大きなタイはあまりしたことがなかったので、似合うと言っていただけて嬉しいです。
――今回演じられる新米弁護士のブラウンは、どんなキャラクターなのでしょう?
常に紳士であることが彼のテーマで、それが正義であり、全てだと思っている生真面目な人です。でもアンナと出会ったことで、彼の人生に思いもしなかった価値観が飛び込んできて、すっかりペースが崩されてしまう。それでも紳士らしくあろうともがく中で、「自分が思っている正しさは、絶対的なものではないんだな」と気付き始めるところが、とてもチャーミングだなと感じています。この物語にとっても、そこは大事な部分なので、しっかり演じたいです。
――小関さんご本人も紳士的な方だと感じますが、ご自身ではどう思われますか?
どうでしょう……ただ、自分で意識的に「紳士でいよう」としていた時期はありました。20歳前後の頃ですかね。「周りの人に気持ちよく過ごしてもらうには、どうしたらいいんだろう?」と考えたりして。でも「そういうことは、頑張ってやるものじゃないな」と気が付いて、それからは意識しなくなりました。
――なるほど。小関さんのルックスで紳士的な気配りができたら、さぞモテるのでは?
中身は結構隙だらけの人間なので、逆に「あれっ?」って期待外れになることのほうが多いみたいです(苦笑)。最初の印象であんまりハードルを上げないで欲しいなって思います(笑)。
視線や呼吸感、エネルギーを直に味わえるのが舞台の魅力
――『レッドブック~私は私を語るひと~』は韓国発の人気ミュージカルですが、小関さんはご覧になっていますか?
去年の秋頃に、韓国で観てきました。女性が自分を自由に表現できない時代に、主人公の女性が小説で自分の思いを伝えるという物語なのですが、実際に舞台を観てみたら、主人公以外のキャラクターもそれぞれとても丁寧に描かれていて。僕が演じるブラウンにしても、紳士らしさ=自分らしさだと信じて生きてきたのに、紳士という価値感自体が覆されるのですが、その先には選択肢が広がっている。そういういったキャラクター性や“自分らしく生きていいんだよ”というメッセージに、とても惹かれました。
――楽曲にはどんな印象が?
すごく魅力的です。メロディラインももちろん素敵ですし、ヴィクトリア時代でありながら、バロック調の音楽が使われていたり、曲の途中で転調していったり。今の人からすると聴き馴染みのない音がたくさん広がっていて、お客様も新鮮に感じられると思います。その分、歌う側にとってはトリッキーで難しかったりするのですが、キャラクターの感情や時代背景を感じ取って楽しんでもらえたらなと。楽曲は音楽配信サイトで聴けますし、日本版のPVや製作発表会で僕たちが歌っている動画もアップされているので、ぜひ聴いてみて欲しいなと思います。
――アンナ役の咲妃みゆさんをはじめとする共演者の皆さんには、どんな印象をお持ちですか?
咲妃さんとは、以前ドラマでご一緒したことがあって(2025年『波うららかに、めおと日和』)、とても真っすぐな方という印象があります。すごくチャーミングでありながら、自分をしっかり持っていて芯が強いところが、アンナのキャラクターとリンクしていると思うので、ブラウンとして舞台で共演することがすごく楽しみです。
咲妃さん以外の方とは今回が初共演です。製作発表の日に「初めまして」という方が大半だったのですが、皆さん、明るくて積極的にコミュニケーションを取ってくださる方だったので、稽古の間にあっという間に距離が縮まっていきそうで嬉しいです。
――製作発表といえば、アンナが参加する女性文学会『ローレライの丘』を創設した女装男性ローレライ役の田代万里生さんも、衣裳とメークがお似合いでした。
僕は会見前日のリハーサルで初めて田代さんにお会いしたのですが、会見では、その時の私服の印象とはまた違う、ローレライの優雅で上品な佇まいに一気に変わっていて、びっくりしました。公演本番が楽しみです。
――映像作品でも幅広くご活躍の小関さんですが、舞台の魅力をどういうところにお感じですか?
演じる側としては、役や作品と向き会える時間が映像よりも圧倒的に長いところです。お芝居を丁寧に作って、それを崩して構築し直す余裕があるなんて、すごく贅沢な時間を過ごせているなと感じますし、自分の俳優生活の中でとても大切な時間になっています。観る側としては、生身の人間がキャラクターとしてすぐそこに存在していて、視線や呼吸感、エネルギーを直に味わえるところ。そのライブ感が、やっぱり映像とは絶対的に違う良さであり、何よりの魅力だなと思います。
インタビュー後編に続きます。
【公演情報】
ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』
保守的な価値観が色濃く残る19世紀のロンドン。豊かな想像力と快活で率直な性格を持ったアンナは、女性文学会『ローレライの丘』のメンバーと出会って小説を書き始めるが、心惹かれていた生真面目な弁護士ブラウンに拒絶されてしまう。アンナの小説は多くの読者を熱狂させる一方、反発も受け、ついに裁判にかけられ……。
脚本/ハン・ジョンソク 作曲/イ・ソニョン
演出・上演台本・訳詞/小林香 音楽監督/桑原まこ
出演/咲妃みゆ 小関裕太 花乃まりあ エハラマサヒロ 中桐聖弥 加藤大悟/田代万里生 ほか
2026年5月16日~31日/東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 大阪、愛知公演あり
https://redbookjp.com/
取材・文/岡﨑 香 撮影/古水 良



























