ドラマを中心に様々な役柄で実力を発揮している小関裕太さんが、今回が日本初演となる韓国発の人気ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』に出演します。物語の舞台は、保守的な価値観が幅を利かせていた19世紀のロンドン。主人公アンナが社会と闘いながら、小説を書くことで“私”として生きる道を見つけ出す物語です。小関さんが演じるのは、祖母の遺言で探し出したアンナの率直な人柄に面食らいながらも、惹かれていく生真面目な新米弁護士ブラウン。役の衣裳もバッチリお似合いの小関さんに、作品の魅力や最近興味を持っていることなどを伺いました。
あえて休みを入れた方が、自然に力を出せる
――今回演じられるブラウンは、とにかく紳士らしくありたいと思っている生真面目な弁護士ですが、小関さんご自身は最近どんなことに興味を持っていらっしゃいますか?
最近、友達を訪ねて初めてマイアミ(米国フロリダ州)に行ったんですね。そしたらすごく素敵な場所で、自分は興味を持ったことがないけれども、自分にリンクする場所がもっとたくさんあるんだろうなと気付かされました。そういう場所に今後もたくさん出合ってみたいな、旅先の選択肢に入れていきたいなと思っています。
――マイアミのどんなところが一番印象に残っていますか?
直前まで真冬のニューヨークにいたことが大きかったと思うのですが、気温が氷点下で雪も積もっているニューヨークを飛び立って、40度のマイアミの空港に降り立った時、それだけでもう非言語的な感覚が湧いて来たんです。ビーチも綺麗だし、全く知らない世界が広がっていて、「うわ、すごい! 同じアメリカなのに!」って、テンションがものすごく上がって。
――確かに、真冬のニューヨークとは別世界ですよね。
そうなんです。野生のワニが見られる場所があるとか、アートウォールが立ち並んでいるエリアがあるとか、そういう簡単な下調べは一応していったのですが、飛行機が旋回する時に見えた砂漠とも違う土だらけのエリアも気になって、もっとマイアミのことを知りたいなと思いました。
実は、その時訪ねた友達というのは、ナオト・インティライミさんなんです。今回『レッドブック』でもご一緒する、小林香さんが演出されたミュージカル『DNA-SHARAKU』(2016年)をナオトさんとダブル主演でやらせてもらって以来、ずっと仲良くしてもらっているお兄ちゃんのような存在で。マイアミはラテンの音楽マーケットの中心地ということで、音楽を感じる場所にもいろいろ連れて行ってもらいました。
――楽しい旅だったのですね。普段の生活では、どういったことを心がけていらっしゃいますか?
月並みですが、“寝ること”を大切にするようになりました。というのも、自分はミュージカルもやっていきたいですし、ドラマや映画にも出続けていきたいと思っているのですが、舞台の仕事と映像の仕事では、タイムスケジュールがだいぶ違うんですね。稽古時間の組まれ方と、撮影時間の組まれ方では、朝起きる時間や昼ご飯のタイミング、寝る時間といった私生活も大きく違ってくるので、そんな中で体調や集中力を整えるには、やっぱり睡眠や食べ物が大事だなと感じていて。
――睡眠環境を整える工夫などもしているのですか?
そうですね。あと僕の場合、なかなか休めない人間で、どうしても作業をやり続けちゃうところがあったので、「もうちょっと作業を続けたいな」と思ったところであえて止めて、休みを入れるようにしました。ちゃんと休んで頭や身体や心を整えたほうが、自由にできるというか、自然にしっかり力を出せるんですよね。もちろん、そのための準備や用意も大事ですが、まずは自分のコンディションを整えることを心がけています。
最終的に目指したいのは、夜お酒を飲みながら靴を磨く、心と時間にゆとりのある人
――今年31歳になる小関さん。どんな俳優になっていきたいですか?
最終的には、夜、お酒を飲みながら、ゆっくり靴を磨けるような、心と時間に余裕がある男性、俳優になっていたいです。20代の頃は、その第一歩として、わざわざやらなくてもいいけど、そうすることで一つ余裕が生まれるようなことに目を向けて過ごしてきました。それでもやっぱり、予想できないことが起こったりするので、そのたびに振り回されて、ちょっと態勢を整えてということを繰り返しながら、なんとか走り抜けてきた感じです。30代もそんな感じで走っていくと思うのですが、最終的には、落ち着いていられる俳優さん、そして人間でありたいなと思います。
――余裕のある人になりたいと思い始めたきっかけは、何だったのでしょう?
はっきりしたきっかけはないんです。でも、もうずっとそう思い続けていますね。そもそも俳優は、オファーをいただかないことには成立しない仕事で、自分に合ったタイミングで作品や役に出合えるとは限らない。だからこそ、どんな時も自分のことだけでいっぱいいっぱいにはなりたくないなと。たぶん、今まで出会って影響を受けた方々、素敵だなと思った方々が、余裕を感じさせてくださる方たちだったから、そう思うようになったんだと思います。
――俳優のお仕事は、やはりずっと続けていきたいですか?
そうですね。お芝居だけじゃなく、歌とダンスも続けていきたいですし、趣味の範囲ではありますが、楽器の演奏や写真を撮ることも好きなので、そういう部分もより育てていきたいな、どんなふうに育っていくのかなと、自分自身も楽しみにしています。
――季刊の写真雑誌で、写真コラムの連載を続けていらっしゃる小関さん。普段からカメラを持ち歩いているのですか?
仕事やプライベートで旅をする時は、よく持ち歩いています。でも、俳優として役を演じている時の現場にカメラを持っていくのは、気が進まないことが多いです。そこは自分の中で結構切り替わっているというか、それぞれが違うジャンルだと思っていて。写真に関しては、連載を続けさせてもらうことで、強制的にカメラと向き合う時間、カメラが好きな自分と向き合う時間というのを作らせてもらっている部分もあるので、もはやライフワークみたいなものになっています。
――素敵です。最後に、改めてミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』への意気込みと読者の皆様へのメッセージをお願いします。
はい。この作品が日本で初演を迎えることの大変さを、いろんな方と接する中で感じてきたので、いい意味での重みとワクワク感をすごく感じています。小林香さんの演出のもと、この素晴らしい面々が本番にどんな花を咲かせるんだろうと、僕も楽しみにしています。その気合や熱量を、ぜひ劇場で感じて欲しいです。韓国で大ヒットして、再演を重ねているこのミュージカルは、ロマンチックで、コメディ要素もたくさんちりばめられています。その日本版の初演を皆様に心から楽しんでもらえるように、そして心に残る作品にできるように努めますので、ぜひ目撃しに来てください!
【公演情報】
ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』
保守的な価値観が色濃く残る19世紀のロンドン。豊かな想像力と快活で率直な性格を持ったアンナは、女性文学会『ローレライの丘』のメンバーと出会って小説を書き始めるが、心惹かれていた生真面目な弁護士ブラウンに拒絶されてしまう。アンナの小説は多くの読者を熱狂させる一方、反発も受け、ついに裁判にかけられ……。
脚本/ハン・ジョンソク 作曲/イ・ソニョン
演出・上演台本・訳詞/小林香 音楽監督/桑原まこ
出演/咲妃みゆ 小関裕太 花乃まりあ エハラマサヒロ 中桐聖弥 加藤大悟/田代万里生 ほか
2026年5月16日~31日/東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 大阪、愛知公演あり
https://redbookjp.com/
取材・文/岡﨑 香 撮影/古水 良



























