ある日、わが子が学校に行かなくなってしまった。コロナ休校以降、 右肩上がりに増え続ける「学校に行かない子どもたち」。でも見方を変えてみれば、〝学び場を選択する子どもたち〟なのかも……。いま、私たちは問われています。 子どもがいちばん幸せな時間を送るための選択肢とは?
自身も不登校の経験のある、作家・金原ひとみさんにお話を伺いました。
小学年生の頃から
ほとんど学校に行ってません。
でも自分にはしっかりとした
心の居場所がありました
ほとんど学校に行ってません。
でも自分にはしっかりとした
心の居場所がありました
◯ 不登校は 克服できます。――INTERVIEW 作家・金原ひとみさん
〝子どもなのに、子どもが嫌いでした〟。 幼稚園の頃から休みがちで、小学4年の時には全く学校に行かなくなりました。いじめられていたわけでもなく、友達もいましたが、毎日同じ時間に同じ場所に行き、同じ人間と一緒にいることが苦しかったんですね。
今でもそうですが、ずっと同じグループの中にいることが苦手なんです。特に集団的な子どもらしさや無邪気さは、自分の性に合わず、息苦しさしかなくて……。そこに居場所は感じられませんでした。
母は私が登校しないことに激怒してましたね。引きずられて登校させられることもありましたが、私もあの手この手で応戦。その頃は今以上に不登校に対しての理解が乏しい時代。不登校は自分が母から勝ち取った勲章であり成功体験でもありました。
小学6年の時、父の仕事の都合でサンフランシスコに移住。日本語を忘れないように、と父から買い与えられた村上龍さんや山田詠美さん、宮部みゆきさんに原田宗典さん。現地でもほぼ学校には通わなかったので、毎日小説を読み漁り、いつしか自分でも物語を書くように。
1年で帰国し中学に入学するも不登校は変わらず。父は私に何か熱中するものを残したかったのでしょう。中2の頃、担当する小説創作ゼミに私を参加させました。本格的に小説を書き始めたのはこの頃です。
幼い頃からずっと生きづらさを感じていて、社会生活の中で居場所を見つけることは簡単ではありませんでした。ただ、私は今までいろんな本や小説を読んできて、その作家や作品の中の住人たちと対話をすることによって、その中で生きてきたというか、本との関係性の中に精神的な居場所を持つことができました。
実際私が書く本の中にも、生きづらさを感じる登場人物が多いので、同じような感覚の人が読んで、少しでも気持ちが楽になってくれたらいいと思っています。
何かに夢中になること。別に小説でも音楽でも漫画やアニメでもなんでもいいと思います。学校に行けなくて悩んでいる子、自分の居場所がなくて苦しい思いをしている子。物理的な場所でなく、夢中になることによって、自分の心の居場所を作ってみてほしい。
そして、解消できないことが心にある時には、自分の言葉で気持ちを書いてみることもオススメ。私自身、書くことが命を繋ぎ止めたと言っても過言ではありません。表現することで見えてくるものが必ずあると思います。
◯ 学校生活よりも、本の中に居心地よさを感じた金原さん
父の小説創作ゼミに参加していたときに、友人に勧められて読んだ本です。ショッキングな内容で、今になっても読んだときの衝撃が忘れられません。
中1の時に出合った本。読んだ後、放心状態に陥るほどの衝撃を受けました。こんな世界があるものなのか?と。小説にできることを再確認した本です。
〝死にたい超絶美キャバ嬢×恋愛未経験の推し活腐女子〟。出会うはずのない真逆の2人がぶつかった先に生まれる、新たな愛の形とは? 金原ひとみさんが描く現代の恋愛の新境地。
撮影/吉澤健太 取材/竹永久美子 ※情報は2022年5月号掲載時のものです。
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