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「行きたくない」これは不登校の前兆でしょうか?【尾木ママ連載vol.4】

第4回目は、学校や習い事に「行きたくない」と言い出した子どもに、親としてどう対処したらいいのか、尾木ママに伺いました。

連載第3回はこちら

【INDEX】 ★ 学校に行きたくない問題
★ 尾木ママ’sAnswer

学校に行きたくない問題

K.Yさん(42歳)の悩み 小学校5年生の息子は「お腹が痛いから学校に行きたくない」とか、何かしら理由をつけて休もうとします。学校に限らず、習い事でも、友達に嫌なことを言われたとか、先生が怖いとかで休もうとするのですが、親としては、実際に熱があるわけではないですし、嫌なことから逃げて欲しくないという気持ちで無理にでも行かせます。子供の「行きたくない」という言葉にどう対応するのが良いのでしょうか。

尾木ママ’sAnswer

不登校にはなっていないけれど、前段階にいる子どもがとても増えているんですよね。心配になる親御さんの気持ち、よくわかります。

文部科学省が公表している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、令和2年度は小・中学校における不登校児童生徒数は約19万6,000人にもなり、8年連続で増加しているの。
日本財団の「不登校傾向にある子どもの実態調査」では、不登校ではないけれど、その一歩手前の、いわゆる「行き渋り」という状態の中学生が約33万人に上るという調査結果も出ています。この膨大な数はとても深刻ですよね。

もちろんコロナ禍も背景の一つにはあるけれど、そこには「画一的、一斉主義の学校文化」が大きく関係しているんです。世の中も、子どもたちも多様化し、「個」を大切にする社会に変わりつつあるにも関わらず、日本の学校の多くは依然として画一的。授業は学年の統一されたカリキュラムに沿って進め、45分ごとのチャイムと同時に一斉に行動する。多数の子どもが在籍する集団の中ではそうせざるを得ない面もあるけれど、個ではなく、一律というところに不登校を生む一因があるのではないかしら。

例えばパラリンピックでは、身体的な違いがあってもそれぞれに力を発揮できるように、個人の努力や挑戦を大切にする体制ができていますよね。
人も社会も多様化し、家庭の考え方も変わっていく中で、相変わらず一斉主義を貫く学校教育は今、そのあり方が問われる時だと思います。

では、いざ「不登校の前兆」に直面した時の親としての対処法についてお話しします。
子どもが抱えている悩みが、この方のお悩みにあるように、先生が怖いとか、いじめを受けているとか、原因がわかっている場合。その時は親が解決法を一緒に考えたり、介入することで行きたくない原因を取り除けるかもしれません。それと同時に、わが子が嫌だと感じること、苦手だと思うことの傾向など、親が今まで気づかなかった、わが子の「本来持っている性質」が見えてくることもあるの。
これに関連して、何が行きたくない気持ちの原因なのかがはっきりと見出せないこともありますよね。理由がわからないと、親は嫌なことから逃げてほしくない、たくましく育ってほしいという思いから、つい「頑張って行きなさい!」なんて言ってしまうのよね。でも、「そんなことくらいで」と親が否定から入ってしまうと、子どもは二度と悩みを話さなくなってしまいますよ。時には突き放す強い姿勢が必要なこともあるけれど、とくに思春期に不登校の前兆が見えた時には、「共感」が心理的な対処法としては有効です。まずは、子どもの気持ちに寄り添って、しっかり話を聞いてあげましょう。実際には内科的な疾患がなくても、その精神的なつらさを親がわかってくれたというだけで、子どもの心に元気がみなぎり、休もうと思っていたのに「1時間遅れで行こうかな」と前向きな気分になることもあるんですよ。

90年代頭ころ、不登校の生徒を学校に戻す「登校刺激」は良くないとされ、不登校になった背景に関わらず、一律に登校刺激を控えるのが学校現場での共通認識となった時期がありました。その結果、外部からの登校を促すアプローチがなくなったことで、不登校の子どもが学校に戻りにくくなってしまうという問題も出てきてしまったんです。
戻れる場所を残し所属感を持たせることはとても大切。学校からの配布物を届けてもらい、席替えをしたら伝えてもらう。先生と定期的に電話でコミュニケーションをとり、お子さん自身に「居場所がある」という実感を持たせる。そうすることで、学校にいつ戻っても大丈夫という安心感につながるんですよね。

子どもの「行きたくない」はどこの家庭にもあること。
習い事が続かず、すぐにやめてしまうと、そのマイナスな面にばかり目がいきがちだけれど、その子にもその時々に、好きなことや夢中になることが何かしらあると思うの。例えば料理の手伝いをすることが好きだったり、工作に凝っていたり。その「好き」を伸ばすことで結果的に、人間力も、学力も、生活力も伸びていくと思います。

地球温暖化の予測モデルを開発した業績でノーベル物理学賞を受賞した眞鍋淑郎さんは「私は気候変動の研究をとても楽しくやっていました。好奇心が研究活動すべての原動力です。」と述べられていました。好きなこと、得意な分野を大切にし、コツコツと伸ばすことで、自分に自信が持てるようになり、嫌なことから逃げずに挑戦する忍耐力もついてくるのではないかしら。
お子さんの弱いところ、苦手なところを軌道修正することに頭を悩ますのではなく、その子自身が自分の良いところに誇りを持って、自己肯定感を高めていくにはどうすればいいのかということに親として力を注いでほしい。不登校の前兆かもと不安に思う時期こそ、わが子の中にある長所を伸ばすことをぜひ、大切にしてくださいね。

取材/小仲志帆

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