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中村獅童さん、充実した40代の終わりに披露する「超歌舞伎」とは

『超歌舞伎2022』に出演する中村獅童さんのインタビューをお届けします。

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◯ 中村獅童さん(49歳)

僕ら自身も、後から舞台映像を観て
こんなにすごいことになっていたんだ!
と驚くことが多いんです

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも活躍中の人気歌舞伎俳優・中村獅童さんが、バーチャルシンガーの初音ミクと共演する舞台が、東京に初お目見得します。歌舞伎と最新の映像通信技術が融合した〝超歌舞伎〟が、2016年に幕張メッセでニコニコ超会議の一環として初上演されてから7年目の今年、全国4都市の劇場で上演されるのです。

「最初はやっぱり、不安もありました。初音ミクさんのファンの人たちに、どう受け入れられるだろう? と。でも、自分のロックな部分を出して、みんな騒ごうぜ! と煽ったら、爆発的に盛り上がってくれて。幕が閉まった時は、僕らも涙、お客さんも涙、という状況でした」

大評判を呼んだ初演のステージを、そう振り返る獅童さん。以来、公演を重ね、年に伝統と格式ある京都・南座での公演が実現した際は、花柳界や名店の女将といった着物姿の観客が、超歌舞伎ファンと一緒になってペンライトを振る光景に、胸が熱くなったといいます。

今回の『超歌舞伎2022』では、超歌舞伎の楽しみ方を紹介する「超歌舞伎のみかた」、舞踊「萬代春歌舞伎踊」に続いて、歌舞伎の名作「妹背山婦女庭訓」の世界をもとにした最新作「永遠花誉功」を披露。立ち廻りや踊りのほか、最新技術を駆使した相撲の場面もあるそう。

「新作であっても、古典の枠組みや歌舞伎の約束事は破らないというのが、僕のこだわり。各所に歌舞伎ならではのものを盛り込みつつ、ファンタジックな部分を最新技術で具現化しているので、幅広い方に楽しんでいただけると思います。実は僕ら自身も、後から舞台映像を観て、こんなにすごいことになっていたんだ! と驚くことが多いんですよ(笑)。回を重ねるごとに、デジタルチームと僕らアナログチームの相互理解と友情も深まっていて、初音ミクさんのファンの皆さんに育てていただいたものが一つの形になりつつあるのかなと思うと、とても感慨深いです。ぜひ劇場にお越しいただき、ペンライト片手に存分に楽しんでいただけたら」

ちなみに東京公演の「永遠花誉功」には、獅童さんの4歳の長男・陽喜くんも出演。今春、幕張メッセで上演された同作品の映像を毎日観ては、公演を楽しみにしているそうです。

「ただ、僕も陽喜もお互いにライバル意識があるので、時々喧嘩になるんです。僕もなかなか大人になり切れないから、ついムキになっちゃって(苦笑)。できたら、次男の夏幹には別の職に就いてもらいたいなと思いますね。ライバルがもう一人増えると大変なので(笑)」

9月の京都公演中に50歳を迎える獅童さん。コワモテな印象もありますが、「こうして家族を持つこともできて、充実した40代だったなと思います。大きな病気も2度やりましたが、それこそ、超歌舞伎ファンの皆さんから『必ずまた帰ってきてください』というメッセージをたくさんいただいて、大きな力をもらいました」と話す瞳は、まっすぐで優しく輝いています。

「このところ、ご一緒したいと思っていた監督さんから立て続けにオファーをいただいたり、超歌舞伎が7年目を迎えられたり。仕事にも恵まれて、本当にありがたいことです。今までの経験を糧に、50代も〝伝統を守りつつ、革新を追求する〟というスタンスを崩すことなく、一つ一つの作品に全身全霊で向き合い、形にしていきたいと思います。家族で過ごす時間もより大切にして、できたらキャンピングカーで日本一周してみたいですね」

なかむらしどう 1972年東京都出身。’81年に歌舞伎座「妹背山婦女庭訓」で二代目中村獅童を名乗り、初舞台。2002年公開の映画『ピンポン』で数多くの新人賞を受賞。歌舞伎以外の舞台や、映像作品でも活躍し、また『あらしのよるに』『超歌舞伎』といった新作歌舞伎にも積極的に取り組んでいる。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に梶原景時役で出演。11月には松竹特別巡業で全国9会場をまわる予定。

◯ 『超歌舞伎2022 Powered by NTT』

8月21日~9月3日 新橋演舞場 演目:「超歌舞伎のみかた」「萬代春歌舞伎踊」「永遠花誉功」 脚本/松岡 亮 演出・振付/藤間勘十郎 出演/中村獅童、初音ミク、小川陽喜、中村蝶紫、澤村國矢 福岡・博多座、愛知・御園座、京都・南座公演もあり。https://chokabuki.jp/2022theatre/

カーディガン¥28,600パンツ¥27,500靴¥41,800(すべてSOPH https://www.soph.net)シャツ(スタイリスト私物)
撮影/嶋野 旭 ヘア・メーク/masato at B.I.G.S.(marr) スタイリスト/長瀬哲朗 取材/岡﨑 香 ※情報は2022年9月号掲載時のものです。

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