――この作品の魅力をどう感じていらっしゃいますか?
やっぱり、表面からだとわからないものが、裏にたくさん流れ続けているところが魅力です。セリフの言葉だけ追っていたら、わからないことがたくさんあって。それでいて、伏線になっていたセリフが後で回収されたりもするので、言葉の面白さもあるところがすごいなと思います。登場人物の過去や関係性について一切説明されていないので、すべての登場人物について想像するしかないところも面白いです。それこそ、戯曲を読むことや演劇が好きな方は、何度も観たくなるような作品じゃないかと思うし、すごくやりがいを感じます。ただ、やるのは難しい。たぶん、この作品の完成度みたいなものは何段階もあって、ゴールは何個もある気がします。一段階目で終わったとしても、出来が悪いことにはならないだろうけど、このメンバーならもっと上まで行ける気がするので、全員で一歩ずつ進んでいきたいです。
――作品ごとに様々な役柄を演じていらっしゃる圭さんが、役を演じる時に大切にされていることは何ですか?
うーん……どの役にも共通しているのは、「なるべく嘘をつかない」ということですかね。もちろん、芝居=すごく上手に嘘をつくことでもあるので、捉え方や役者のタイプによっては「完璧に嘘をつくこと」と答える人もいるとは思いますが。たとえばセリフを言う時も、演者は台本を読んでいるので、次に相手が何を言って、自分が何と答えるか知っています。でも本当の会話では、そんなことは知らないわけで、そこを知っているふうにしたら嘘になる。だから、常になるべく新鮮に、その場その場でちゃんと反応していくようにしています。そもそも僕自身、嘘をつくのがすごく苦手で、すぐバレてしまうタイプ。なので、その役としてちゃんとそこに存在することを心がけています。
――生身で観客の前に立つ舞台では、余計に嘘がバレやすい気がします。そんな舞台の面白さをどう感じていらっしゃいますか?
基本的なお芝居は映像も舞台も変わらないので、どちらも面白いのですが、やっぱり環境は違います。舞台はカットがかからないので、2時間なら2時間という一つの時間を、みんなでその世界で生き続けることができる。それに、一つの台本を、本番も入れると数カ月かけてみんなで掘り下げられるところが面白いです。俳優としては、すごく贅沢な仕事だなと思います。あと、ハプニングというか、毎公演、その回に来てくれたお客さんと一緒に空気を作るところも、やっぱり舞台ならではの魅力だと思います。
《後編に続く》
『夏の砂の上』
舞台は、ある地方都市の坂の上に建つ家。ある夏の日、造船所の職を失った小浦治のもとに、家を出た妻・恵子が4歳で亡くなった息子の位牌を引き取りに訪れる。そこに、東京で暮らしていた治の妹・阿佐子が16歳の娘・優子を連れてやって来て……。
作/松田正隆 演出/栗山民也 出演/田中 圭、西田尚美、山田杏奈、尾上寛之、松岡依都美、粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬 11月3日~20日/世田谷パブリックシアター 兵庫、宮崎、愛知、長野公演あり。
次回は、田中さんがこれから挑戦していきたいこと、俳優をやっている時に感じることなどなど……。田中さんのさらなる魅力に迫ります!
2022年11月2日17:00~2022年11月23日23:59
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撮影/古水 良 ヘア・メーク/大橋 覚 スタイリスト/山本隆司(style³) 取材/岡﨑 香
衣装クレジット/シャツ ¥132,000パンツ ¥118,000シューズ ¥125,000(すべてBottega Veneta)
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