――違う視点というのは、たとえば監督といった作り手にまわるということでしょうか?
極端にいえば、そういうことになります。でも、そこにこだわっているわけではないし、実際、自分はプレイヤーが好きなので、結局はお芝居がしたいということになるとは思うのですが(笑)。ただ、何かもうちょっと色々なことに挑戦してもいいよなとは思っていて。10年ごとの一つの大きな区切りではあるので、40歳になったら、家族も含めて今後の展望みたいなものをちょっと考えようかなと思います。
――具体的に挑戦してみたいことはありますか?
そう聞かれると、意外とないです(笑)。この仕事でも、かなり色々挑戦させてもらってきたので。作品ごとに様々なキャラクターをやらせていただいていて、毎回、自分なりに挑戦しているところが多々ありますし、ドラマや映画や舞台のPRでバラエティ番組に呼んでもらったりして、お芝居じゃない仕事もたくさんやらせてもらっているから、意外と「やったことがないこれを、やってみたい!」みたいなことがないです。もちろん、「面白そうですね、この作品」というワクワクはあるのですが、結構満たされてしまっていて。それだったら、ヒッチハイクしながら一人で海外を放浪してみたいなとか、そういったことのほうが出てきます。絶対やらないと思いますが(笑)。
――プレイヤーであることが好きという圭さんが、俳優をやっていてよかったと感じるのは、どんな時ですか?
基本いつも思っています。いちばん感じるのは、作品を観てくださった方が喜んでくれた時ですかね。「○○、すごく好きです」とか「面白かったです」とか言われると、本当に嬉しいです。撮影の時は、だいたいとても大変で。でも、何ヶ月もかけて撮ったものが、1時間とか2時間の面白い作品として出来上がったものを観ると、それが全部報われる。面白い作品ができてよかった! と思える瞬間は、やっぱりかけがえのない喜びです。
――今回の『夏の砂の上』では、どんな圭さんが見られそうでしょう?
どうですかね。僕自身もまだ、この役できるのかな? と思っているところがあるので(笑)。ただ、作品としてはすごく面白いと思います。その面白さというのは、今の若い子たちがイメージする面白さとは全然違っている気がします。今はどんどん新しい情報が入ってきて、どんどん流行りも変わっていって、その時キャッチしたものやヒットしたものが、すぐになくなっていくような感じじゃないですか。この舞台には、普遍的な面白さというか、人間としての面白さみたいなものが凝縮されているので、特に若い人たちには、今まで感じたことのない面白さを感じてもらえるのではないかと。そんなことを言いながら、きっとお客さんの割合としては、舞台をたくさん観て来た人たちのほうが多いんだろうなとは思いますが(笑)。