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Lifestyle大特集「インナービューティ」

更年期での睡眠を改善する方法とは?ホットフラッシュ、生理前…深部体温を調整すれば『いい眠り』が手に入る!

夜中に何度も起きてしまう…。朝からぼーっとしてスッキリしない…。美と健康に欠かせないものだとわかっているからこそ、しっかり睡眠できなかったことで、QOLも気分もダウンしがち。そこで、40代女性の睡眠の悩みについて、特に女性の睡眠に関する研究を行う有竹清夏先生に伺いました。

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有竹清夏先生
有竹清夏先生
埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科准教授 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所、早稲田大学スポーツ科学学術院 助教などを経て現職。女性における睡眠と放熱の関連、運動による効果をはじめ、主に睡眠中の生理機能(脳波、脳画像、心電図、体温、代謝、 概日リズムなど)に関する研究を行う。
INDEX プレ更年期から増加、更年期では約6割の女性に不眠の傾向が!
睡眠中のホットフラッシュで深い睡眠が細切れに
女性ホルモンと体温リズム、睡眠には大きな関係があった
日中の運動や温熱刺激で、中途覚醒のない良質な睡眠をサポート

プレ更年期から増加、更年期では約6割の女性に不眠の傾向が!

STORY世代の女性から、「夜、何度も起きてしまう」という悩みをよく聞きますが、国内外の研究からも、更年期(45歳前後~)女性の約60%にも不眠症状の自覚があり、熟眠感、休養感が損なわれているようです。また、その前段階のプレ更年期においても、睡眠に関しての悩みが増え始めるようです。よりよい眠りは、心身の健康や日々の活力の源になる大切なもの。厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針2014」
を策定するなど、より良い睡眠を取ることの重要性を啓発しています(現在改定中)。では、なぜ、40代女性には睡眠悩み、特に何度も目が覚める中途覚醒が多いのでしょう?その原因や対処法について紹介します。
■「良い睡眠で、からだもこころも健康に。」特設Webコンテンツ

睡眠が不安定になると、「今日は眠ったな」という熟睡感、休養感(睡眠で休養が取れている感覚)に悪影響をもたらします。どのくらいの長さ眠れたか、という睡眠時間の確保の問題だけではなく、休養感や熟睡感といった睡眠の質も左右するのです。睡眠の質を確保するためには、寝つきが良く、入眠後に出現する、深いノンレム睡眠や、その後にくるレム睡眠をしっかり取れることも大切です。

睡眠中のホットフラッシュで深い睡眠が細切れに

更年期の代表的な症状であるホットフラッシュ。時と場所を選ばず、顔や首がほてったり、頭部がのぼせたり、発汗したり…。女性ホルモンのエストロゲンの減少により、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れることによって、体温調整がうまくできなくなるためにホットフラッシュ症状が出る、といわれています。突然の発汗や寝汗で目が覚めるなども同様です。

実はこのホットフラッシュが多い人ほど、不眠を自覚する人が多いのだとか。更年期の血管運動神経の症状で体温調整機能がうまく働かないために、放熱がうまくいかず、深部体温が下がらずに、眠り始めの深い睡眠(深いノンレム睡眠)のサイクルが短く分断されてしまうことも中途覚醒の原因や、翌朝に疲労感や倦怠感を感じる原因ではないかと考えられています。

ちなみに、放熱とは、例えば赤ちゃんがウトウト眠くなってくると、手足がぽかぽかしている状態で、手のひらや足の裏で放熱し、深部体温を下げて休息モードに入っています。冷え性で手足が冷たいという人は、放熱がうまく機能しないために、寝つきがわるい、眠りが浅いなどの睡眠不調に陥りやすい傾向に。深い睡眠を増やし、良質な睡眠を保つためにも、しっかりと放熱して、深部体温を下げることが重要なのです。

女性ホルモンと体温リズム、睡眠には大きな関係があった

女性には、一生の間にそれぞれのライフステージに応じてホルモンの影響を受け、「思春期」「性成熟期」「更年期」「高齢期」を経験します。思春期から性成熟期は、規則的な月経周期がありますが、その月経周期に伴い体温リズムが変動することは下図のとおり、見慣れていることでしょう。

この月経周期のうち、特に黄体期は、プロゲステロンの影響で熱放散(放熱)が阻害され、 体温のメリハリが失われやすかったり、夜間の十分な体温低下が起こりにくいのです。このため、円滑な入眠と良い睡眠の維持にために不可欠な、深部体温低下が行われず、 入眠困難、中途覚醒の増加、レム睡眠やノンレム睡眠の減少などが低下することも。毎月の月経周期に伴う睡眠問題は、女性が日常生活や社会活動を健やかに送る上では、月経前症候群(PMS)など深刻な問題になっています。このように、性成熟期でさえも睡眠トラブルを抱えやすい女性の体のしくみなのに、プレ更年期や更年期にさしかかり、女性ホルモンの分泌低下によって、輪をかけて体温調整機能が働きにくくなり、およそ6割もの女性が睡眠への不満を抱えているのです。

日中の運動や温熱刺激で、中途覚醒のない良質な睡眠をサポート

こうした女性ホルモン、月経周期や体温と睡眠障害に関して、有竹先生の研究では、運動や温熱刺激による有効作用が分かっています。

特に、日中の中強度運動で体温を上げ、しっかり放熱を促し、夜間睡眠中の深いノンレム睡眠が増加、翌朝の熟睡感が強まるそうです。ストレッチ、スクワット、自重トレーニングやフィットネスバイクなど、有酸素運動や筋肉に軽い負荷をかける運動は、卵胞期はもとより、体温にメリハリのない黄体期、ホットフラッシュなど血管運動神経症状があっても、放熱を促進し、夜間の深いノンレム睡眠を増加させる可能性が期待されるのだとか。

また、温熱刺激に関しても、入浴や40℃程度の半身浴で汗をかくのもおすすめ。足浴、手浴でしっかり体温を上げることが、その後の放熱に効いてきます。これら局所温熱でも効果があるそうで、湯たんぽや市販のアイマスク、靴下など、体温を上げてその後の放熱を促し、入眠にスムーズに入れるようなアイテムも試してみてもいいそうです。熟睡できないストレスを、お気に入りのルーティンなどを取り入れて、美と健康の源になる睡眠から整えましょう。

めぐりズム 蒸気でホットアイマスク 無香料 12枚入 ¥1,188(花王
まるでお風呂のような約40℃の上記で目の周りを温め、1日の疲れもときほぐす。

ナイトミン 耳ほぐタイム(5回分) ¥767(小林製薬
40℃で約20分、発熱体つきでじんわり温める耳せん。遮音効果でやすらかな入眠へいざないます。

靴下サプリ まるでこたつ おやすみスイッチ ¥3,500(岡本
つま先を開けておくことで熱が放散され、深部体温を下げる効果が期待できるレッグウェア。冷え性で寝つきが悪い人にも◎

出典:(Parry et al.,1989; Shibui et al. 2000; Shechter et al.,2010; Aritake et al.,2019; Brown et al., 2020; Nappi et al. 2021 etc.)(香坂,2015 etc.)

取材/羽生田由香

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