全国にはたくさんの学校があり、進路を決めるのは親も子も悩みのひとつ。そんな中、最近は都内に住んでいても、子供をあえて寮のある学校に入れる家庭が増えているようです。とは言ってもまだ身近ではなく、いろいろ気になる寮生活事情。実際に子供を寮生活させている方にリアルな話を伺いました。
★ 中1から九州にある中高一貫男子校に入学したケース
★ 中3から海外にある日系附属校に入学したケース
★ 高1から首都圏にある大学附属校へ入学したしたケース
小1から首都圏にある体験型学校に入学したケース
- 東京都出身
- 小1から首都圏の寮がある私立小学校へ
- 寮は複数人の共同部屋(通いの学生もいます)
- 週末と学期ごとの休みに帰省
1)学校を選んだきっかけ
この学校について紹介している番組を観て共感し、息子が年長の夏になった頃から入学に向けて考えるようになりました。私自身が通ってみたいと思えた学校だったのと、縦割りの授業が多く、一人っ子の息子も兄弟がいるように育つのが良いなと思いました。本やドリルの勉強よりも、実際に作ったり調べたりする活動が重視されていて、具体的な課題を子ども同士が話し合うことで、考える力や幅広い知識・技術も身につくのではないかと思いました。海外に行ったり、クラスによってアスレチックつくったり、豚や鶏を育てたり、全国のうどんを調べたりと、テーマに沿ってそれぞれのクラスが体験していく感じが他の学校にはなく、とても魅力的でした。
2)寮生活をして良かったこと、苦労していること
とにかく自立しました。親は親、子は子の人生を歩むことができているので、精神的に大人です。誕生日会や夜更かし会、映画の日などあったりと、いろんな体験ができて心が豊かになっていると思います。学年を超えた友達ができたり、私たち親を客観的に見れています。思春期の難しい時期でもガミガミ言うことがないし、自分の時間がお互いにでき、自立したのでいいことしかありません。
3)寮生活をする上でのアドバイス
寮ではいろんなことがあると思うので、家ではダラダラしていても広い心で見る、家を居心地いいものにすることかなと思います。
中1から九州にある中高一貫男子校に入学したケース
- 東京都出身
- 都内公立小→九州の中高一貫男子校
- 寮は1、2、3年生との8人部屋
- 各学期の休みに帰省
1)学校を選んだきっかけ
息子は小2の終わりから進学塾に通い始め、コロナ前に30校以上の学校に親子で見学に行きました。でも、気になる学校は家から片道1時間以上かかる距離で「こんなに学校が遠いのに、終わってからまた塾通いするのは無理」と子供から言われ…。中学受験は確実に終わるけど、勉強はこの先も続くから、誰とどこでどのように勉強したいかで学校を決めなさい、と親からはアドバイスしていました。
もう学校に合わせて引っ越しするしかないかな、と思っていた時に、塾から学校のパンフレットを持って帰ってきて「俺ここに行きたい!」と言い出したんです。パンフレットを見て改めて、学校の理念も実績も素晴しいと思いました。息子は元々人見知りを全くしない性格なので、この子にとって寮なんて最高じゃない、自分に合う学校を良く見つけてきたね!偉い!って思いました。
2)寮生活をさせて良かったこと、苦労してることなど
寮に入れて良かったことは、毎日凄く充実していて、生活リズムも整っていること。
スマホもテレビもパソコンもゲームもないけれど、その分友達が毎日一緒だから必要ありません。休みの日に一人で籠ることもなく、切磋琢磨して色々厳しい中にも一緒に楽しみを見つけているようです。雨の中泥だらけでサッカーをして寮に帰っても誰も怒らないですしね(笑)。自分で生活しているので、お金の価値が良くわかるようになったと思います。日用品は先輩や友達と一番安いところを調べて買いに行ったりしているし、毎月お小遣いを引き出すときも「毎月いつもありがとう。大切に使うね」と言ってくれます。家にいたら絶対に聞けなかった言葉だと思います(笑)。
寂しくない?と他のママ友に聞かれることもあるけれど、寂しいというよりは逆にいい距離感です。親離れ子離れがきちんとできます。
3)寮生活をする上でのアドバイス
自分は寮になんて入りたくなかった、というお子さんは苦労しているようです。親の思惑だけで寮には絶対入れない方がいいと思います。本人の強い希望か、しっかりした納得が必要だと感じました。たった12歳で親元を離れるなんて、自分の意思がなければ辛いです。
中3から海外にある日系附属校に入学したケース
- 東京都出身
- 都内私立小中→中3からアメリカの共学制日系大学附属校
- 寮は同じ学年の生徒と2人部屋
- 年に1〜2回帰省
1)学校を選んだきっかけ
こちらの学校に子供を入れている友人から話を聞いて、海外の学校に自分の娘を通わせるのもひとつの選択肢と考えていました。ただ、娘は小学校から都内の別の私立付属校へ通っていたため、今の学校を退学させてまで通わせるべきかの判断が最初はつきませんでした。私自身も日本在住で現地校の情報がなく、通わせるなら日系の学校が良いと思っていたのですが、娘の意思を確認したかったので、小学校卒業の春休みに卒業旅行を兼ね、娘とアメリカ旅行を計画。その旅行に学校のオープンキャンパス訪問を組み込み、娘と学校見学をしました。最終的には娘が受験したいと言ったので、それに向けての準備をはじめました。
2)寮生活をして良かったこと、苦労していることなど
すごく自立しました。寮生活を通じて、家族のような友人関係を築けています。
子供にとっては、週末や夜のフリータイムも学校(寮)の規則があるので、プライベートな時間を満喫しきれていない不満はあるようですが、親としては、安心ではあります。
3)寮生活をする上でのアドバイス
寮生活を楽しめるかどうかはお子様の性格、嗜好次第だと思います。
寮生活の不満は友人関係や寮で出される食事内容についての不満が多いように思います。
高1から首都圏にある大学附属校へ入学したしたケース
- 神奈川県出身
- 海外の日本人学校→首都圏にある大学附属校
- 寮は1人部屋
- 学期ごとの休みと、月に1回くらいの帰省
1)学校を選んだきっかけ
娘が小6の時に主人の海外転勤が決まり、中学受験をやめて連れて行くことにしました。会社からは5年の駐在と言われていたので、始めは娘が高2になるまで海外で一緒に暮らそうと思っていたのですが、高校卒業まで駐在できないお子さんは、中3で先行帰国する子が多いと先輩ママから聞き、急遽高校受験を考えるようになりました(高校で編入させるのは大変という理由)。海外にいると、周りにもお子さんを寮に入れる方が多いので、私も自然と寮のある学校を探しました。娘が大学受験はしたくないと言っていたので、学生寮がある大学附属校で、大学は自宅から通える所となると学校も限られ、結果的にこちらの学校を選びました。結局コロナの影響で私と下の娘は海外に戻ることができず日本にいたのですが、娘の学校まで2時間半ほどかかる距離だったので、上の娘は予定通り寮生活をしました。
2)寮生活をして良かったこと、苦労していること
娘はとにかく朝起きるのが苦手で、ちゃんと1人で起きれるか不安でしたが、誰も起こしてくれない状況だと自分で起きるしかないため、遅刻せずに起きれるようになったのが良かったです(遅刻ギリギリは何度もあったようですが)。買い物や病院、洗濯や部屋の掃除も自分でやらないといけないので、とにかくしっかりしたと思います。また、勉強していなかったり、ダラダラしている所を見ると、私もイライラしていろいろ言ってしまいそうですが、離れていたのでそういうストレスもありませんでした。たまに帰って来た時は、会えるのが嬉しくて喧嘩もありませんでした。ただ、娘はコロナ禍に高校生活がスタートしたので、あまり寮生同士の交流ができなかったのが可哀想でした。コロナ禍で規制も厳しくて、最初は窮屈で苦労もしたと思います。そんな中でも、同じクラスで同じ部活のお友達がいて、お互い助け合いながら寮生活を楽しめたのは良かったです。
寮のご飯の時間が決まっているので、朝ごはんを寝坊して食べれなかったり、夜ご飯を食べ損ねたと聞くと心配になりました。自分の責任ではあるのですが…。
3)寮生活をする上でのアドバイス
娘は一人部屋の寮を選びましたが、相部屋の寮も結構あるので、その子の性格によってきちんと選んだ方が良いと思います。子供と離れるのは寂しいと思う方も多いと思いますが、我が家は週末にビデオ通話をする日時を決めて、家族で毎週顔を見ながら会話ができていたので、あまり寂しくはなかったです。過干渉にならず、子供の事を信じて接することができたので、寮生活は親子にとっても良い経験になりました。
取材/沢亜希子