夏休みでおうち時間が増え、また猛暑のおかげでなかなか外出も難しい…。そこで、新たな世界の扉を開け、知識を広げ思考を深めてくれる、スタディ漫画はいかが? 「勉強しなさい」「宿題は?」の口グセをちょっとやめて、親でもなかなかわが子にアプローチさせてあげられない世界を、スタディ漫画で楽しみながら気づきを得てもらえたら、今後、自分の力で考え、生きていく力を育めるのでは?
★ 【古文・古事記】複雑な人間関係は、漫画で攻略!
★ 【世界史・日本史・政治】知識/雑学は魅力的なキャラたちの力を借りてインストール
★ 【科学全般】に興味を持つきっかけの種まきを!
★ 親でも説明しにくい【性教育】こそ漫画が活躍!
★ 【美術】大人も知らない芸術の世界は漫画で広げる
★ 世の中を動かす【ビジネス・マネー・経済】も漫画なら分かりやすい
【算数・数学】ニガテ派に!スーッと入って面白さが分かる
『はじめアルゴリズム』数式の奥深さ美しさに気づけるきっかけに
推奨年齢:小学校中学年~
自然豊かな離島に住む、世の中を数式でとらえ、考え、解こうとする天才的な能力を持った小学5年生・関口ハジメ。その能力に、残りの数学人生をかける老数学者・内田豊に導かれ、親元を離れて成長する物語。主人公のハジメが楽しそうに数字を操り、周囲の人とは全く違う世界が見えていることに「こんな世界があるのか」とどんどん引き込まれます。数学に対するハジメのキラキラした意欲や純粋さに自然と魅了されながら、ハジメには世界がどんなふうに見えているのかを疑似体験できたら、数学が苦手な人、興味が薄い人にも、学校で習う算数や数学とは異なる奥深さやすばらしさ、数式の輝きを身近な素敵なものに感じられそう。
はじめアルゴリズム 三原和人/講談社
『数学ゴールデン』青春漫画のスタイルで数学オリンピックの世界を覗き見!
推奨年齢:小学校高学年~
主人公の春一は、第一志望の高校に落ち、進学先の高校の入学式で数学オリンピック日本代表を目指すことを宣言、それに感銘を受けた七瀬も加わり、高校生男女が紡ぐ青春ストーリー。さまざまな漫画で描れてきた高校生の青春は、とりわけスポ根の部活が多かったのですが、こちらは数学オリンピック…。一度は耳にしたことはあっても、どういうものかまでは知らない人も多いはず。読む前までは私も、「数学問題を解いて順位を競うもの」程度の認識でした。昨今、受験やテスト勉強対策でなく、数学オリンピック向けの塾などもあり、入賞すると大学の推薦入試にも生かせるんだそう。「数学」なだけで食わず嫌いはもったいない、青春漫画のスタイルでその世界を覗き見ることができるのはおすすめ。
数学ゴールデン 藏丸竜彦/白泉社
『数学と文系ちゃん ~役に立つ数学のススメ~』日常のできごとを数学的に論破してみたくなる!
推奨年齢:小学校高学年~
タイトルの「文系ちゃん」にひかれて手に取ると、学生時代にこういう漫画があれば、少しは数学苦手意識も薄い人生が送れたかもしれません。表紙の2人の通う高校を舞台に、日常のさまざまな問題を数学の知識を使って解説してくれる、軽快なストーリー。例えば、学食で因縁の相手とおごりをかけたじゃんけんで必勝するには、何を最初に出せば勝つ(負けない、あいこで回避する)確率が上がるか…。学生あるあるなおごりじゃんけん、当時知っていたかった。他にも、美人の顔の比の黄金律など、運任せやことわざ、思い込みなどで片づけてしまいがちな問題を、数学的に論破していくところにすっきり納得。「勉強」の数学は嫌いだけど、日常のちょっとした出来事を素敵に変えてくれる数学を、わかりやすく解説。小学校高学年くらいなら、日常生活に役立つ数学を楽しく読むことができそう。
数学と文系ちゃん ~役に立つ数学のススメ~ タテノ カズヒロ/少年画報社 ©︎タテノ カズヒロ/少年画報社
【古文・古事記】複雑な人間関係は、漫画で攻略!
『あさきゆめみし』日本最高級のロマンは漫画で堪能♡
推奨年齢:中高生以上~
平安時代中期に紫式部によって書かれた『源氏物語』。主人公光源氏の恋愛物語をとおして当時の栄光と没落の貴族社会に触れられます。高校の古典の単元にもなっていて、STORY世代の皆さんもこの漫画に救われた人が多いのではないでしょうか?登場人物が多くて何がなんだか分からなくなってくるというお悩みも、漫画の華やかな絵とセットでインプットすれば怖くありません!純粋に、麗しい貴族の恋愛物語としても楽しめるので母世代は日常の息抜きに読んでいるんだとか。創刊30周年を記念して新装版全7巻が登場しています。
あさきゆめみし 新装版 大和和紀/講談社
『新編 本日もいとをかし‼ 枕草子』著者に共感!で古文の苦手意識も払拭
推奨年齢:小学高学年~
紫式部よりも少しだけ早く藤原家に仕えていたのが、「春はあけぼの」で有名な清少納言。そんな彼女の、他の作品がエッセイとして分かりやすく読むことができます。現代にも通じる“あるある”を清少納言のするどい観察眼で捉え、現代人も共感できることが満載です。例えば、【失敗したこと】「悪口を言っている相手が、真後ろにいたとき」「みんなが泣いているのに自分だけ泣けないとき」などなど。著者に共感して読めるなら、古文への苦手意識も払拭できるかも。当時の藤原家の相関図や、『枕草子』の原文もついていてテストにも役立ちそう!
新編 本日もいとをかし!! 枕草子 小迎裕美子・著 赤間恵都子・監修/KADOKAWA
『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記 』日本人なら知っておきたい神々の話が本当によくわかる!
推奨年齢:小学校高学年~
日本で最古の物語と言われている『古事記』。世界の始まりから神々の出現、雄略天皇(日本の第21代天皇)の即位まで、古事記の流れと要点が詰まった漫画です。日本に住んでいるとアマテラス、ツクヨミ、スサノオなど、重要な神々の名前は耳にしたことがあると思うのですが、それら多様な神々をドラマチックなエピソードや印象的なビジュアル、相関図で抑えられます。読み方が難しい漢字には読みがなが振られているのも嬉しいポイント!今までなかなか興味を持てなかった神社や関連場所への旅行も楽しめるようになりそう。
マンガ 面白いほどよくわかる!古事記 かゆみ歴史編集部/西東社
【世界史・日本史・政治】知識/雑学は魅力的なキャラたちの力を借りてインストール
『ヘタリアWorld☆Stars』あなたの推しの国は?国の擬人キャラクターなら各国事情も頭に入る!
推奨年齢:小学校高学年~
この本の登場人物は、各国の擬人化。世界の国々の特徴を抑えた登場人物たちの絡みのなかで、面白おかしく、各国の伝統料理やその国の国民性、国の成り立ちを知ることができます。例えば、イタリアという国を擬人化したらどんな人をイメージしますか?こちらの漫画では、オシャレな服と靴に目がなく、自分の身に着けているそれらをチラチラ見せて好感度をあげながら、身振り手ぶりで何かを訴えてくるひょうきんな男の子“イタリア”が出てきます。イタリアは、自分の家の料理が世界でいちばん美味しいと思っているので、実家でお代わりを要求すると喜ぶという設定です。このように、ドイツ、オランダ、フランス、イギリス、米国、日本などなど世界の国々の特徴を楽しみながら覚えられるので、地理や世界史に役立つこと間違いなし!
ヘタリアWorld☆Stars 日丸屋 秀和/集英社
©日丸屋秀和/集英社
『へうげもの』上司は織田信長、趣味の師匠は千利休という世界線で、歴史と文化を両得!
推奨年齢:中高生~
この漫画の主人公は下剋上の戦国時代に、織田信長に使えた家臣の古田左介という武士。「へうげる(ひょうげる)」とは、「ふざける」「おどける」という意味で、激しい戦乱の時代に、茶の湯の世界に心奪われ、出世と物、2つの欲に葛藤しながら生きた男の生きざまを表しています。武士の物語でありながらも、芸術に焦点が当てられているところに新鮮さを感じました。歴史を学びながら茶道や、茶器、美術や建築などの日本文化に触れられるところが見どころです。
へうげもの 山田芳裕/講談社 ※電子書籍で刊行中
『恋と国会』政治の世界が急に気になってしまうこと間違いなし
推奨年齢:小学校高学年~
元総理大臣の孫で、幼いときから政治家になるのが当然として育てられたいけすかないイケメン世襲議員と、日本をちょっとはマシな国にしたいと思って政界にはいった元地下アイドルのふたり。そんなタイプの違う2人が国会で切磋琢磨して“真の政治家”を目指す物語です。政治の闇に痛快に突っ込んでいく元地下アイドルの快進撃と、政界の清濁をあわせのんだ上で彼女をフォローする世襲議員のふたりの関係性が見どころです。公職選挙法や、立法の流れ、国会議事堂の見取り図なども展開され、自然に政治に興味が持てるような内容でした子どもたちにもぜひ読んでほしい漫画です!少々難しい話もラブコメで包んでいる分、楽しんで読めること間違いナシです。
恋と国会 Ⓒ西炯子/小学館
【科学全般】に興味を持つきっかけの種まきを!
『はたらく細胞』人間のからだの仕組みといえば、やっぱりこの漫画!
推奨年齢:小学生低学年~
ヒトの心臓が動く、呼吸をする、生活をするということがどういう動きで成り立つのかが分かり、自分も含め、人間がどのような仕組みで動いているのかを詳しく理解する一助に。漫画で理解した内容が、ニュースなどで病気や薬品について報道されると、この漫画で得た知識がリンクして子どもはわかるようになったり。ちなみに最近、ニキビケアについて息子にあれこれ原因とお手入れの仕方をアドバイスしたら、「それ知ってる。なんでできるのか、はたらく細胞に説明されていたよ」とのこと。親があれこれうるさく、チクチク言うよりも、漫画に解説してもらうほうが子どもにすんなり伝わっていいこともありますね。
はたらく細胞 清水 茜/講談社
『薬屋のひとりごと』理科の授業で出てくるワードや知識が散りばめられてて◎
推奨年齢:小学校中学年~
古代中国に似たオリエンタルな雰囲気漂う架空の国で、薬師として働く少女・猫猫(マオマオ)が、後宮を舞台に繰り広げられる世継ぎや后の問題など、権力争いによって起こった不可解な事件を、毒や野草など薬学の豊富な専門知識を用いて紐解いていくミステリー作品。中に登場する難病や謎の症状の解明と治療、薬の知識や現代ではない医療技術が織り交ぜられており、持ち前の知識や好奇心を用いて調査したり依頼をこなしたり、宮廷内の闘争などとも絡めたストーリー展開にどんどんひきこまれていきます。医学、化学、物理学……など、理科の授業で出てくるワードや知識がちりばめられ、小学生ならばかわいらしい主人公と一緒に謎解き感覚で楽しく読破できるはず。最近ではアニメ化されてさらに人気に。
薬屋のひとりごと 日向夏・ねこクラゲ・七緒一騎/スクウェア・エニックス
©2023 Natsu Hyuuga/Imagica Infos Co.,Ltd.
©Nekokurage/SQUARE ENIX
©Itsuki Nanao/SQUARE ENIX
『 決してマネしないでください。』くだらないことでも真剣に追及しようとする姿勢はマネさせてください。
推奨年齢:小学校高学年~
女子がほぼいない理系の大学(きっと国立の某有名工業大学)を舞台に、最高の頭脳を持った学生や教授たちが、いたって普通にまじめに、でも読者からしてみたら、最高におバカでくだらない実験の数々までもを、専門的で高価な実験道具や機械を使って繰り広げます。凡人ではとてもマネなんかできない、しようとも思わない本格的な内容で、例えば、「スタントマンが燃えても平気な理由を検証する」「切れた蛍光灯をともす」「フライドチキンで骨格標本を作る」など、くだらないことを真剣に追究するウィットさに、科学の歴史はこういうことを真剣に解明しようとしてきた積み重ねだと感じます。単に事象を科学的に説明するだけでなく、それを発見した科学者の裏話までも描かれていて、小学生からでも楽しめる。
決してマネしないでください。 蛇蔵/講談社
親でも説明しにくい【性教育】こそ漫画が活躍!
『性教育120%』ちょっと過激か?と思うほどの迫真
推奨年齢:中高生~
現代の性教育に疑問を持つ保健体育教師・辻先生は、赴任先の女子高で大胆な性教育を試みます。最近では以前より性教育の必要性が語られるようになってきたものの、その内容はまだまだ、読者世代が保健体育で習った内容が多少増えた程度で、教科書でもサラッとスルーする内容。性教育だけでなく、ジェンダー、性的同意やルッキズム、BLなどの同性間の恋愛なども扱っていて、ギャグ要素、ポップな要素もありつつ、多少、お子さんの年齢によっては過激に捉えてしまう箇所もあるかもしれませんが…。保体の辻先生が生徒たちに熱く教える姿に、明るく性教育を語れる大人の大切さを感じながら、漫画で代弁してもらいつつ親が補足説明し、子どもとの会話のきっかけにするのもいいと思いました。
性教育120% 田滝ききき・ほとむら/KADOKAWA
『子宮の中の人たち リアルタイム妊娠まんが』妊婦の体内変化は子宮の中の擬人化で考えると分かりやすかった!
推奨年齢:中高生~
妊娠したら、どんなことが体内で起こっているのか―。保健体育の教科書のような「精子と卵子が受精して子宮に着床」という堅苦しく、いまいちわかりにくい表現も、そのしくみが細かく擬人化されているので、子宮という『工場』で働くようなちっちゃな人々の動きによって、楽しく分かりやすく理解できます。大切なことだけど、恥ずかしいとか言いにくいとか、まだまだ試行錯誤の性教育ですが、中高生では授業で妊婦体験をする学校もあるそうなので、擬人化されこんなにもコミカルで詳しく解説されたものを一度は読んでもいいかもしれません。妊娠出産の感動エッセイや指南書・育児書ではなく、ひとりの妊婦の日常を切り取ったエッセイ漫画を、リビングなどに積んでおけば、お子さんも目を通してくれるかも。
子宮の中の人たち リアルタイム妊娠まんが(C)EMI /KADOKAWA
『マンガでわかるLGBTQ+』まずは知って、感じて、考えるために
推奨年齢:中高生~
「男性は女性を好きになり、女性は男性を好きになるという前提」があるこの社会において、もっと自分らしく生きたいという人がいるということを、19の体験談を含む22のシチュエーションで、「LGBTQ+」を知って、感じて、考えるアクションに。読みすすめると、そもそも自分の性のあり方を深く考えたことはあっただろうか、男女という枠組みが当たり前な社会に対して自分も無意識ではないか、と気づくきっかけになるはず。保健体育の教科書にも「LGBTQ+」の文言は載っているものの、学校のクラスや、職場や、仲良くなった友人がセクシャルマイノリティだったら、無知によって知らないうちにその人たちを苦しめているかもしれないこともあるなど、まずは知ることに役立つ1冊。
マンガでわかるLGBTQ+ パレットーク (著), ケイカ /講談社
【美術】大人も知らない芸術の世界は漫画で広げる
『最後の秘境 東京藝大 : 天才たちのカオスな日常 』芸術家の日常ってこんな感じなんだ!という発見だらけ
推奨年齢:小学校高学年~
謎に満ちた“芸術界の東大”のカオスな日常を描いた漫画です。めったに知ることができない芸術家の日常ですが、こちらの漫画ではそのような読んでへぇ~となるようなエピソードが盛り沢山!純粋に知らない世界のこと、芸術家の頭の中が垣間見れるという面白さもありながら、どんな科があって、どんな試験をして、どんな人たちが通っているのかがリアルに分かります。読んでいるうちに美術や音楽に触れるときの見方が養われてくるような感覚があり、芸術との接し方も今後変わってきそうです。
最後の秘境 東京藝大 1: 天才たちのカオスな日常 土岐蔦子 (イラスト), 二宮敦人 (原著)/新潮社
『マンガでわかる「西洋絵画」』美術館に行く前に読みたい!
推奨年齢:高校生~
ダ・ヴインチや、モネ、ルノアール、ゴッホ。西洋絵画で有名な画家たちですが、どこをどう観たらいいのかよく分からないという大人も多いはず。こちらの漫画は、本のような解説箇所も交えつつ、巨匠たちの人生や信条、人間関係、絵が描かれた当時の時代背景が丁寧に記載され、読み応え十分!作品もカラーで載っており、注目すべきモチーフや見方などが分かります。子どもたちのみならず、これから絵画の美術館に行く!という方にはぜひともオススメしたい一冊。美術史と世界史は関係も密接なので、世界史を学んでいる高校生以上からだともっと楽しめそうです。
マンガでわかる「西洋絵画」: 美術展がもっと愉しくなる!の見かた 池上英洋/誠文堂新光社
『ブルーピリオド』思春期の子どもたちに勇気をくれる1冊
推奨年齢:小学生高学年~
アニメ化され、ネットフリックスでも配信された超人気漫画、『ブルーピリオド』。美術技法についても知ることができますが、この漫画の魅力は、なんといっても美術を通して主人公の矢口八虎が自分と向き合おうとする姿勢。自分の本当に思っていることを言うよりは、相手が望む言葉を言う方がいい。なんでも要領よくできるけどどこか虚無感を抱いていた彼が、美術を通して初めて、“人と会話できた気がした”と感じたシーンから始まります。思春期の子どもが抱えている葛藤に寄り添いながらも、将来を自分の意志で切り開こうとする主人公の姿勢に勇気づけられる一冊です。
ブルーピリオド 山口つばさ/講談社
世の中を動かす【ビジネス・マネー・経済】も漫画なら分かりやすい
『トリリオンゲーム』ベンチャー企業ってこういう感じ?が想像できる!
推奨年齢:小学校高学年~
今季ドラマ化で話題の、お金儲けして成り上がる、性格の異なる2人の男のストーリー。話の展開がとても面白く、テンポ良く進むのですが、それもそのはず、原作は『Dr.STONE』の稲垣理一郎氏。起業し、どう資金を調達して、どうコネを作って、どこに投資して…という、ビジネスの世界での立ち回りや、さまざまな拡大や成長につなげる駆け引きのうまさなど、稲垣理一郎氏の作品のファンなら、ぜひ1度読んでみてほしい1冊。すぐにハマるはず!
トリリオンゲーム ©︎稲垣理一郎・池上遼一/小学館
『マンガでわかる ジェフ・ベゾスの起業と経営』仕事には欠かせない大事な「仕組み」の話を
推奨年齢:小学校高学年~
いつでもどこでもすぐに何でも手に入り、翌日には届く。デジタルネイティブな子どもたちにとって、それは物心ついた時から当たり前のこと。そんな便利な社会インフラともいえる、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスの半生を描いた漫画。この数十年で飛躍的に成長したAmazonの成功哲学、それを支える体制、仕組みなど企業と経営など、偉人漫画としても、ビジネス書とも読み応えのある1冊。中高生には、仕事を起こしてどう組織化、マネタイズするかなども興味深く、とても読みやすいはず。我々が子どもの頃は、外国の偉人のマンガなんて「キュリー夫人」とか「エジソン」とかしかなかったが、日常生活に溶け込んだサービスをどのようなスピード感や組織で作り上げたのか、好奇心旺盛で成功も失敗もその都度選択をしてきた、そのブレない身上とワクワク感を学んでもらえたら。
マンガでわかる ジェフ・ベゾスの起業と経営 谷敏行/ルーブスプロダクション
『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』我が子がカモられないように!
推奨年齢:中高生~
主人公の経済学者・加茂教授は、生徒からも自分自身の評価も「変人」だけれど、お金に困った経済社会における弱者のために、経済学、行動経済学を駆使して、最後には悪を成敗するという、痛快な勧善懲悪ストーリー。不正受給、ねずみ講、カルト宗教、マインドコントロールなど、最近では10代の学生も巻き込まれることも多く、親としても注意が難しい複雑なワナが仕組まれていることも。新聞やニュースを見て、聞いた事有る詐欺の手口を漫画で、その解決法や成敗法にスッキリと気持ちよさを感じながらも、この世の中にはびこるさまざまな詐欺手口の怖さを間接的に漫画で楽しく身につけておくことで、この複雑な社会を正しく怖がることにもつながるかも。
カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 甲斐谷忍・夏原武/集英社 ©︎甲斐谷忍プロダクツ・夏原武/集英社
スタディ漫画企画には何度か携わってきましたが、ここ数年、さまざまな内容が漫画で学べるようになった、選択肢が増えたと思います。勉強という狭義ではなく、広く学びと捉えると、さまざまなものが学びになり、知識になり、それが後々どんどん蓄積されて、考えるチカラになればとひそかに願って(企んで)います。思春期の子を持つ筆者からしてみれば「これどう?読んでみたら?」とリビングテーブルや本棚にスタディ漫画を積んでおくと、子どもたちも手に取って読み始めることが多いかも…(やった!成功)。ついつい「勉強は?」などと口うるさくなると年頃の子は相応の反発もあるので、「母さんも読んだけどあなたはどう?」なんて会話に発展させるのにもおすすめです。
取材/羽生田由香