「一家の大黒柱」と聞くと男性を思い浮かべるのは一昔前。今は、時と場合によって「大黒柱」が変わる時代です。男女関係なく一家を支えていくことは大変なこと。仕事と家事、育児の両立に悩みながら、パートナーと共に支え合い、それぞれの幸せの形や新しい家族の在り方を見つけた方々をご紹介します。
中尾美穂さん 52歳・東京都在住
生島企画室所属・フリーアナウンサー
私がすべきこと、やりたいことは
夫が輝ける場所を作り続けること
夫が輝ける場所を作り続けること
「彼の歌声を愛し、もっと世に出てほしい! そんな思いから妻兼マネージャーとして彼をサポートしている私。胸を張って大黒柱妻と言えます」。そう話すのは、フリーアナウンサーの中尾美穂さん。夫の黒木じゅんさんは、昭和の人気歌手、黒木憲さんの長男です。’91年に華々しくデビューし、第33回日本レコード大賞最優秀新人賞はじめ新人賞13タイトルを獲得。しかし、それ以降なかなかヒット曲に恵まれず……。
「父の130万枚の大ヒット曲『霧にむせぶ夜』のような代表曲はなく、知名度も高いとは決して言えない。ただ、彼の歌を最初に聴いた時、彼自身の持つ優しさとお父様から譲り受けた素晴らしいDNAを歌声から感じたんです。現状のまま進むのはもったいない、私がなんとかしなきゃ! と、やる気スイッチならず、なんとかしなきゃスイッチが押されてしまったんです」。
’09年に結婚されて以降、中尾さんの仕事の9割は付き人として黒木さんに同行しサポートすること。業務は細かいことが多いうえ、すべて中尾さん一人でこなすため、本番1週間前は寝る間もないくらいの忙しさだそう。また、自身の経験を活かし、ラジオ生放送が未経験の黒木さんのサポートも。「私は家でラジオの生放送をチェックし、自分の経験を踏まえ感想やアドバイスを伝えます。夫は嫌がることなく耳を傾けてくれます。年齢を重ねると人の意見を聞くのが難しくなるけれど、その素直さと謙虚な姿勢は夫の最大の武器。また、亡くなったお父様との『歌い続ける』という約束を何があっても守り続けるという意志を強く感じます」。
アナウンサーとは違うことの多いサポートの仕事。その中でも大変だったことは、立ち位置。裏方としてどこまで出ていいのか度合いを計ることが難しかったそう。そんな中で、自身が天職と語るアナウンサーの仕事。裏方ではなく自分が表に出ていける場所を持ち続けていられたことは、自分の存在意義を保つのに重要だったと言います。
「私がすべきこと、それは夫であり歌手である黒木じゅんが輝ける場所を作ること。その一心でこれまで走ってきました。大変なこともあったけど、知らなかったことやご縁のなかった方たちとの出会いなど、学びが沢山ありました。結婚して14年目、それらの学びを自分自身にも活かし前進していきたいという気持ちが芽生えています。もちろん、サポートは継続しつつです! だって、私ばかりが稼いだら、彼が輝ける場所がなくなってしまいます。夫に気持ちよく働いてもらうために、様々な面でリードしていく。それも家計に結局反映されるわけですよね。やはり私は大黒柱妻なんですよね」。
撮影/BOCO 取材/上原亜希子 ※情報は2023年9月号掲載時のものです。