女性としてこれからのキャリアについて悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。個人として評価され活躍される女性リーダーの方々には、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、2020年8月にカルティエ ジャパン日本人女性初のCEOに就任された宮地純さん。彼女のこれまでとこれからのSTORYをご紹介します。(全2回の1回目)
宮地 純さん
カルティエ ジャパン プレジデント&CEO
京都大学法学部卒業後、外資系証券会社に入社。フランスのビジネススクールINSEADでMBA取得後、ラグジュアリー業界でのキャリアをスタート。2017年リシュモン ジャパンに入社し、カルティエ ジャパン マーケティング&コミュニケーション本部長に就任。’20年8月から現職、日本人女性がCEOに就任するのはカルティエ ジャパン初。
なぜ自分が?自分に何ができるのか?自問自答を繰り返す中、宮地さんの心を前に向かせてくれた人、そして言葉とは
STORY編集部(以下同)――カルティエ ジャパンではマーケティング&コミュニケーション本部長を経て、プレジデント&CEO となられた宮地さんですが、大学卒業後の就職先として外資系証券会社を選択されていたことに驚きました。その理由とは?
実は大学時代、モノづくりに憧れてメーカーを目指していました。それもあって、現在のパナソニックやTDKでインターンシップを行いました。その期間中、物を製造するためにはお金が必要で、その流れであったり数字や数値でビジネスを理解することの重要性を教えていただいたんです。実は数字はそんなに得意ではないのですが……あえて苦手なものを先に学び、経験を積んでみようと考え、外資系証券会社を選択しました。
――外資系証券会社での日々は宮地さんにとってどんなものでしたか?
証券アナリスト・プログラムは3年ということで、「石の上にも三年」ではないですが、物事の面白さを知るには3年ないしは5年というような区切りをつけて頑張る必要があるという自分自身の考えとマッチしていました。それに、大学卒業後は社会人になるにあたって、がむしゃらに働きたい! という気持ちが私の中にあったので、その思い通り、証券会社では忙しく、まさに“がむしゃら“に働きました。
――証券会社にて実務経験を通して数字を学び、その後、経営を学ぶためにINSEAD(欧州経営大学院)に留学され、MBAを取得されています。このような流れはすでにご自身の頭の中にあったのでしょうか?
何かとても計画性があるようにみえますが、自分の好奇心や直感に逆らわずにきている気がします。ただ、その直感の中にも私なりの流れというか形があり、知りたい・知らない景色を見てみたいという気持ちがまず先にきて、それを深めるために学びがあり、実践する場として仕事があると考えています。
――現在のお仕事につながるような出会いとは、どのタイミングなのでしょうか?
フランスの大学院に留学した際、ラグジュアリーブランドのビジネスと出合いました。その後、いくつかの会社を経てリシュモンジャパンに入社しました。カルティエCEOを務めるシリル・ヴィニュロンとは面識があり、日本文化だけでなく、芸術や音楽、哲学など幅広い分野に造詣が深い方であることは存じていました。私が入社する一年ほど前に、現職に就任され、こういう方がグローバルヘッドになることでブランドにはいい意味で大きな変化がもたらされるのではないかとワクワクしました。私も一緒にそれを体感してみたいと思ったのを覚えています。
――その想いが現実となり、カルティエ ジャパンマーケティング&コミュニケーション本部長というお立場で入社され、その後、現職に就かれた宮地さん。その時の心境を教えてください。
内示を受けてから「なぜ私なのか?」と悶々としました。同時に一体自分には何ができるのか? ということも考え続けました。最終的には、ローカル(日本)の人間として、自分が出来ることを全うするのみだと腹をくくりました。
そして、2020年8月、カルティエ ジャパン日本人女性初のCEOが誕生したのです。
(明日配信の後編に続く)
撮影/BOCO 取材/上原亜希子