今年で結婚22年を迎えた狂言師の和泉元彌さん。22年経った今も妻の羽野晶紀さんを溺愛している愛妻家としてたびたび話題に。出会いから結婚までの秘話をお聞きしました。(全3回の第1回)
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★ 一度フラれてしまったものの、再度アタックして付き合うことに
★ 6つ歳が違うことは「守り干支」だとポジティブに感じています
★ 結婚して夫となったことで、誰よりも一番先に妻に駆け付けられるその状況に安堵しました
女優さんとは付き合わないと思っていたのに、いつの間にか妻に惹かれてしまいました
STORY編集部(以下同)ーー今年で結婚22年目ということですが、羽野晶紀さんとの出会いは?
ロミオとジュリエットという舞台で共演したのが出会いです。今だから言えますが、妻の第一印象は関西の方だし女優さんなので、僕の勝手なイメージで気が強い人なのかなと思っていました。もともと僕はヤキモチ妬きなので多くの方から羨望の眼差しを向けられる華やかな世界の女優さんとはお付き合いできないし、到底、結婚できるとは考えていませんでした。
一度フラれてしまったものの、再度アタックして付き合うことに
ーーそこからどうやって恋愛に?
舞台で1か月半ご一緒するといい部分も悪い部分もそのまま見えてきます。まして一生懸命みんなで一つのものを作っているといろんな面が見えてきますが、彼女は飾らない、すごくナチュラル人だということがわかりました。朝ごみ捨てをしてきたという話を他の女優さんと普通にしていて、「ごみ捨てするんですか」と聞いたら「だって誰もやってくれないから」と。女優さんだけど普通に生活をしている人だなと思いました。舞台のインタビューも一緒に受ける機会が多くて、僕は質問されている間に答えを考えて、すぐに答えるタイプなのですが、彼女は質問されると1分間くらいずっと考えて「わかりません」って。この人すごい人だなって思いました。不思議というか…(笑)。でも「女優でもあるけど一人の人間としても一つ一つの仕事を大切にしている」「悔いが残らないようにしている」という話もしていて、すごく堅実に生きていて、普通の生活も大事にしている人だと思いました。舞台が終ったら、もう会えないしお別れだなと思っていたのですが、カンパニー自体がすごくみんな仲が良くて、お互いの舞台を見に行ったりしていました。それから数か月経って、みんなバラバラになって、違うフィールドに戻った時に、この気持ちは“好き”なんだと気がついて告白しました。
ーー羽野さんからのお返事は?
妻からは「役柄も役柄だし舞台って特殊だから勘違いだと思うよ」「冷静になりなさい」とフラれましたね(笑)。その時は僕も「わかりました」となったのですが、それからまた数か月経って、気持ちが変わらなかったので「やっぱり勘違いじゃないと思います」と伝えて付き合うことになりました。
6つ歳が違うことは「守り干支」だとポジティブに感じています
ーー羽野さんは6つ年上ですが、歳の差を感じたことはありますか?
実は歳の差を感じたことはないんですよね。向い干支って知っていますか?十二支を円に並べたときに、自分の干支の向い側、対角線にくる干支で、昔は子どもに下駄を履かせる時に向かい干支の文字を書いて履かせていたんです。今でもシールで貼ったり、その文化は残っていますが、僕の干支は寅で妻が申で、向い干支なんですよ。向い干支は自分の干支とは正反対のパワーを与えてくれる「守り干支」とも言われていて、お互いにパワーを補い合っているのかなと思います。
結婚して夫となったことで、誰よりも一番先に妻に駆け付けられるその状況に安堵しました
ーーお付き合いしていた時から溺愛だったのですか?
僕はものすごくヤキモチ妬きなので、お付き合いしているときは不安定でした。結婚した時はホっとしていた気がします。それに家に帰ると好きな人がいるんですよ。どんなに忙しくても1日の最後に好きな人と会えるって、付き合っている時との一番の違いですよね。日本の法律だと夫という立場になれば一番に彼女のことに関われるじゃないですか。なにかあった時に一番に連絡がくる。自分が一番に助けに行ける。だから結婚した時が一番安定していたかもしれません。でも結婚してもまた妻のことが心配になったりはします(笑)。周りからは「元彌さんが心配することではないですよ」と言われますけど、奥さんは心が動かなくても周りの人の心はコントロールできないじゃないですか。僕は仕事場で妻と出会って素敵だなって思ったので、隣に座って彼女のことを好きにならない人はいないんじゃないかなって。妻は「大丈夫、もうおばさんで、ほとんどおじさんみたいなものだよ」って言いますけどね。僕は「おばさんには見えないよ、キレイな人はいつまでもキレイなんだから」って言いました。結婚してもずっと安心してはいないですね。
でもこのまえ二人で一緒にテレビを見ていて、1週間に一回恋人に会うのと、毎日恋人に会うのはどっちがいいみたいな番組をやっていて、妻がボソッと「毎日でしょ」って言っていたので、心の中で「よっしゃー」って思いました。僕に対していろいろ思うところはあると思いますが、22年この僕の隣にいてくれたというのが一番の意志表示かなと思っています。今はお昼に一緒にいる時間が多いので、ランチによく行っています。デートと言えばデートなのかな。ドキドキしていますよ。彼女は僕に対してヤキモチは妬かないし、言葉にしなくてもわかるでしょというタイプの人なので、僕のどこを好きになったのかは聞いたことはなくて。いつか一回ちゃんと聞いてみたいですね(笑)。
次回のインタビューは、結婚する時にマスコミに騒がれた嫁姑の本当の関係、親子関係についてです。
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撮影/沼尾翔平 ヘアメイク/Kamata Misaki 取材/山崎智子