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杏さん「50歳を迎えたとき、子どもたちに尊敬される余地のある人でいたい」|スペシャルインタビュー

本誌カバーに初登場の杏さん。120万人が登録するYouTubeも大人気。’22年より3人のお子さんと始めた、フランス・パリと東京での2拠点生活も2年近くが経ちました。フランスでの子育てや、杏さんのママOFFなど気になることを聞いてみました。

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目次 ★ 杏さん、「なんとなく前を向いてく」私の第2章


杏さん、「なんとなく前を向いてく」私の第2章

杏〈あん〉さん

2005年以降パリ・コレクションなどで活躍し、2006年には「Newsweek」誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。女優業を中心にナレーターや声優、モデルとしても活躍する他、2022年には国連WFP親善大使に就任。2022年よりフランスと日本の二拠点生活を始める。「今の自分だからこそ、演じることができる」と思い、主演を決めた映画『かくしごと』が6月7日(金)より公開。脚本・監督は『生きてるだけで、愛。』で鮮烈な長編監督デビューを飾った映像クリエイター、関根光才。待望の長編2作目。原作はミステリー作家・北國浩二による『嘘』。

◇ 50歳を迎えたとき、子どもたちに尊敬される余地のある人でいたい

— 渡仏されて2年弱、フランスでの生活に慣れ、日々のリズムはできましたか?

やっとスタートラインに立てたような気がしています。胸を張って「フランス在住です」とは言えないけど「暮らし始めました」と言えるくらいに。朝、子どもたちを送り届けたら、原稿を書いたり、上がってきた原稿のチェックなど、デスクワークに時間を充てています。日本とリモートの打合わせやインタビュー、ナレーションの収録などを行うことも。抱えている仕事がないときは犬の散歩に出かけています。

— 日本とフランス、子育てをしてみて大きな違いを感じるところは?

まずは学校が週休3日というところ。2日頑張ったらお休みがあり、「よし、頑張るぞ!」と思えるリセットのタイミングが多い。この1日の余白があるだけで、モチベーションが違ってくるし、子どもたちにとって居心地のいい制度なのかなと思います。学校へは必ず大人が送迎をするので、対話をする時間が増え、より密に子どもと関わりを持てる貴重な時間だなと思います。あとは子どもを〝一個人〟として考えているところ。私自身も、子育てをする際に、対子どもというよりは、人格を持った一個人として、大人と同じように接するように心がけています。

— 以前のインタビューで、日本のママに頑張りすぎないで、というメッセージをいただきました。今、言葉を贈るなら?

日本では結婚して子どもを持つと、女性のほうが変化を求められることがまだまだ多いような気がします。ドイツでは時間と心の余裕を持つため、お料理をするのは週末のみという「カルテスエッセン」が平日は主流。これは、食事のために手間と時間をかけるよりは自分や家族との時間にプライオリティを置くためのもので、切ったハムやチーズやパンを並べるだけの頑張りすぎない食卓術。そんな考えが根付いているから、私も渡仏してからは、スーパーでレバノンのお惣菜を買うこともありますし、そこまで手をかけずに食事を楽しんでいます。

朝食もかごに個包装のパンや朝食用ビスケット、ヨーグルトなどを出して、好きなものをチョイスするスタイルに。朝からちゃんと作らなきゃ!と、義務に思うことはないと思うんです。やっぱり、頑張りすぎないでいきましょう、と伝えたいです。

◇ 手を抜けるところは抜いて、頑張りすぎないで

— 杏さんにとって「ママOFF」とは?

子どもたちも小学生になり、私もいつか子離れをしなくてはならないと思うので、最近は子どもたちに「お母さんは」ではなく、「私は」と言うようにしています。以前、「名前をなくした女神」というドラマに出演させていただいたのですが、日本では〇〇ちゃんママという呼び方が多いですが、普段から自分自身を大事にする、存在させるという気持ちを持つことが大切で、それこそが「ママOFF」だと思います。フランスは大人の習い事も充実していて、私はデッサンを習っています。普段はアトリエで行いますが、たまに閉館後の美術館でデッサンすることもあり、楽しいですね。

— 最後に、6月7日より公開される映画『かくしごと』の見どころを。

子どもが出てきて、母性とか親子のストーリーかなと思うけど、ミステリー性があり、特に最後は恐怖すら感じる。今の年齢だからこそ、チャレンジできるかもしれないと思って演じた役です。愛とか温かな感情だけでなく、ゾクッとするところが随所にあるので、ぜひ劇場で観ていただけると嬉しいです。

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撮影/鏑木 穣(SIGNO) モデル/杏 ヘア・メーク/平元敬一 スタイリスト/石毛のりえ 取材/小花有紀 ※情報は2024年7月号掲載時のものです。

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