海外移住を機に、夫婦の役割が大きく変化。夫が主夫として家族の生活を担い、私が主に働く側になりました。その“逆転”を経験したことで初めて見えてきたのは、お互いが背負っているものの重さでした。家のことを手放す難しさ、働く責任、そして理解し合えたこと…家族4人で選んだ新しい形を語っていただきました。
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夫が主夫になる決断をしてくれたから、移住ができました
これまでも夫は、私の仕事に対して「頑張れ」と応援してくれる存在ではありました。ただ、実際に家族の生活を支える側に回るということはなくて。今回の移住で、そこが大きく変わったんです。家族のために、キャリアを中断し自分が裏方に回るという決断をしてくれました。
ハワイに来てからは、子どもたちの送迎をして、ご飯を作って、洗濯をして。いわゆる主夫として、日々の生活を回してくれています。日本にいた頃も分担はしていたのですが、実際には私が司令塔のような役割で、「この時間に送ってほしい」とか「今日はこれをお願い」とか、全部段取りを組んでいたんですよね。それが今は、私が手を離して、完全に夫に任せる形になりました。最初はかなり大変だったと思います。でも途中で口を出してしまうと意味がないなと思って、全部お願いすると決めて、あえて見ないようにしました。気になることがあっても、言わない。家のことを手放すって、思っている以上に勇気がいることでした。
自分が稼ぎ頭になることで、夫の今までのプレッシャーに気づきました
実際に自分が外で働く側になってみて、感じ方も大きく変わりました。今までは共働きで、私も働いているという意識はあったのですが、どこかで自分の仕事は夫のプラスアルファの感覚だったんです。生活のベースがあって、その上に乗っているもの、というか。でも今は違っていて、私のビザがあって、この生活が成り立っている。もし私が仕事を辞めたら、家族の生活自体が止まってしまう。そのプレッシャーはやっぱり大きいなと感じています。家族の生活を支えるというのは、こういう重さなんだなと、初めて実感しました。自分がやっていたことの大変さも、相手が背負っているものの重さも、頭で理解するのではなく、体感として分かったというか。どちらが大変かではなく、それぞれに違う負荷がある。そのことを、ようやく同じ目線で見られるようになった気がしています。役割が変わったからこそ見えたこの感覚を、これからも忘れずにいたいと思いますね。
この形がずっと続くとも限らないなとどこかで思っています
環境が大きく変わったことで、夫が体調を崩してしまうんじゃないかという不安もありました。生活も役割も一気に変わるので、正直、少し心配していたんです。でも半年経ってみて、生活は少しずつ落ち着いてきて、夫も日々のことを粛々とこなしてくれています。
ご飯も、最初の頃は品数も少なくて、すごくシンプルで(笑)。子どもたちの第一声が「え、これだけ?」だったんです。でもそこから少しずつ変わってきて、最近はレパートリーも増えて、味もちゃんと美味しくなってきています(笑)。
面白いなと思うのが、「今日のご飯どうかな?」って、夫が感想を聞くようになったこと。子どもたちが答えると、「ママが作っていたときは何も感想を言ってなかったじゃん」って、ボソッと言っていたりして。だから私も、「美味しい!これリピート確定だね!」って、少し大げさに伝えるようにしています。ただ、思春期の子どもたちにはそれもなかなか難しいみたいで(笑)。その空気も含めて、今の我が家らしいなと感じています。
ただ、見ていて思うのは、夫自身がこのままずっと“裏方”でいたいわけではないのかもしれない、ということです。本人は多くを語りませんが、これまで外で仕事をしてきた人なので、その気持ちがゼロではないはずで。だからこそ、この形がずっと続くとも思っていません。そのときどきで、家族4人にとって何がベストなのかを見ながら、また変わっていくものなんだろうなと感じています。どちらか一人の決断に家族が従うのではなく、4人それぞれのバランスの中で選んでいく。それが今の私たちの家族の形なのかなと思います。
撮影/堺優史(MOUSTACHE)取材/小出真梨子 ※衣装は本人私物













