「映像化は不可能――」。何度も打診をされながら首を縦にしなかった原作者の太田愛氏が、
「これならば」と今回GOを出した『犯罪者』。ついにPrime Videoで映像化が実現した。
物語は、白昼の駅前広場で起きた通り魔殺人事件を物語の入口に、被害者にして唯一の
生存者である青年と、事件を追うひとりの刑事が出会ったことで、警察・政治・巨大企業、
そしてマスコミが複雑に絡み合う群像劇が駆動し始めるクライム・ミステリー。
そんなヒリヒリする物語の中で、「ふっ」と思わず力の抜けた笑いのエッセンスをくれるのが、
高橋一生さん演じる落ちこぼれ刑事と、斎藤工さん演じるフリーライター、
それに水上恒司さん演じる生き残った青年といった3人のデコボコバディ。
4ヶ月の撮影の中で、ピッタリと息が合ったバディの中から、
斎藤さん、水上さんのお二人にお話しを聞いてみました!
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斎藤工さん(44歳)、僕は「アンチエイジング」という言葉がキライです
“若さ”を取り上げられたところからが、役者として本当の勝負
水上さん(以下敬省略) 4ヶ月間、オールロケでハードな撮影だったから、ゴハンを一緒に
行く暇もなかったですね。
斎藤さん(以下敬省略) 高橋一生さんと水上くん、僕、と3人で秘密会議といったシーンが
多かったけれど、その撮影合間に「過酷だった現場選手権」といった話をしたのが、
盛り上がった(笑)。今回は、修司二役の水上くんが、フィジカルの面で断然過酷だったよね。
水上 年末年始の撮影で、一生さんや斎藤さんが昨年内にロケを終える中、僕だけは
年を越しても、撮影がありました(笑)。とにかく、寒くてハードでしたね。
でも、僕にとっては、重ねた年齢が味となっている先輩のお二人の背中を、自ずと追っていた現場でした。
40代の半ばに入ったお二人が、最前線で活動を続けていらっしゃることが、とにかくすごいな、って。
斎藤 僕の場合は、ど真ん中じゃなくて、俳優としてはキワもキワだけどね(笑)。
水上 でも、今の時代、ど真ん中にいることだけが価値じゃないと思うんです。
配信やYouTubeなど、自分たちでクリエイティブを発信できるプラットフォームもできて、
活動できる場所も広がっています。そんな中で、“役者”という商品でもある僕たちが、
どれだけ需要があるか――それこそが価値だと思います。
最近は、男性も容姿に対してのこだわりが強くて、美容に熱心な方もいるけれど、
僕はやっぱり“若さ”を取り上げられたところからが、役者として本当の勝負なんじゃないかと思っています。
斎藤 水上くんが言うように、今メディアは飽和状態。そんな時代だからこそ、
制作スタッフや視聴者、観客の方たちに、俳優として「代わりがきかない」
そう思わせるのが俳優としての一つのゴールだと思う。
そう言った意味では、水上くんの世代で見ると、水上くんしかできない役があるよね。
水上くんは、どこか銀幕のスターの俳優のような面影がある。
一生さんもそうですが、水上くんも、日本の古き良き時代の役者としての風情がある
稀有な存在に感じます。
きっと、水上くんが年齢を重ねたら、勝新太郎さんみたいに深見のある役者になるんじゃないかな。
皆、弱さも矛盾も当然抱えながら、それを肥やしに――
水上 僕は、「いつも元気そうに見えるね」と言われるけれど、悩みだってあるし、
抱えているものだって、もちろんあります。皆、弱さがあって当然だと思うし、
惨めにみえたくないから、明るくしている部分もあるんです。
役者って、ちょっとくらい鬱になっていないと面白くないじゃないですか(笑)。
斎藤 僕なんか、めちゃくちゃ弱い(笑)。
俳優として、「これは参加しなくてもいいんじゃないか」って思った作品が、
すごく評価されていることに、勝手にモヤモヤしたり(笑)。
自分のものさしと世論とのギャップが、めちゃくちゃあるんですよ。
今流行っているものと自分との相性の悪さに、「言い訳に過ぎないんじゃないか」と思ってみたり……。
何だかすごく自己矛盾がありますね。
水上 矛盾といえば、僕たちは俳優として「映画」というカルチャーの発展を望んでいるけれど、
現状、様々なプラットフォームが登場する中で、「映画産業」も厳しい部分がありますよね。
斎藤 そんな中で、なぜか弁当から予算が削られる傾向にあるのから、「現場のロケ弁の質がスタッフ、
キャストのクリエイティブに直結する」とか、「7月、8月のロケは危険」だとか、
僕自身、映画制作現場の環境を改善するために設立された第三者機関「映適」
(一般社団法人 日本映画制作適正化機構)に参加して、声を挙げることをしているんです。
自分の現場では既に試みてはいますが、「現場に託児所があるといいんじゃないか」なども
企画書を提出して、プレゼンして。個人としては、皆さん賛同してくれるんですけれど、
組織になると実行には時間かかるなと感じていて……。
そのへんのジレンマはずっとありますね。
水上 難しい問題ですね……。
斎藤 なかなか変わらないけれど、水上くんたち若い世代が少しでも心地良く仕事を出来るように、
諦めずに自分の出来ることをしていくしかないかなって、中年世代としては思っています(笑)。
[斎藤さん]ジャケット ¥226,600、カットソー ¥49,500、パンツ ¥189,200(すべてヨウジヤマモト プールオム/ヨウジヤマモト プレスルーム☎︎03-5463-1500)、シューズ スタイリスト私物
[水上さん]ジャケット¥1,078,000タンクトップ 参考商品 パンツ¥190,300シューズ¥214,500ボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン☎0120-60-1966)
主な出演作に映画『シン・ウルトラマン』、『新幹線大爆破』、『THIS IS I』、『マジカル・シークレット・ツアー』ドラマに「極悪女王」、「誘拐の日」など。公開待機作に、『キングダム 魂の決戦』(7月17日)初長編監督作『blank13』は国内外の映画祭で8冠を獲得。企画・プロデューサーを務めるドキュメンタリー映画『大きな家』は第34回、日本映画批評家大賞ドキュメンタリー賞を受賞。永尾柚乃初監督作品『LITA』でもプロデュースを務める。また、全国の被災地等での移動映画館「Cinéma Bird」主宰、「Mini Theater Park」、白黒写真家など、活動は多岐にわたる。
Prime Originalドラマシリーズ「犯罪者」
出演:高橋一生、斎藤工、水上恒司 ほか
監督:松永大司
警察、政治、巨大企業、そして過去が複雑に絡み合う群像劇と時 系列が交錯する重層的な構造、さらには圧倒的なスケールで描かれるスペクタクルな展開から“映像化困難”と言われ続 けてきたクライム・ミステリー。白昼の駅前広場で起きた通り魔事件を物語の入口に、被害者にして唯一の生存者である 青年と、事件を追うひとりの刑事とが出会ったことで、警察組織、政界、巨大企業、そしてマスコミが複雑に絡み合う群像 劇が駆動し始める。7月17日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信
撮影/鏑木 穣(SIGNO) スタイリスト/三田真一<斎藤さん>、能城匠<水上さん>
ヘアメーク/くどうあき<斎藤さん>、Kohey<水上さん> 取材・構成/河合由樹





















