『夫のトリセツ』という新書が50万部を突破し、読者にアンケートをとれば、ダンナにイラつくエピソードがわんさと出てきて……。そう、皆を悩ませるのは、一番身近な存在にもかかわらず、相容れないダンナとのコミュニケーション。でも、それも当然。男と女、脳のしくみが違うのですから。この先長い夫婦の時間に途方に暮れるAround45歳からは、男の脳を知りダンナをどう扱うかで人生が断然変わるはずです!『夫のトリセツ』著者・黒川伊保子先生が読者のモヤモヤにお答えします。
人工知能研究者。脳機能論の立場から世界初の語感分析法を開発した感性分析の第一人者。『妻のトリセツ』、『夫のトリセツ』はともに累計50万部以上の大ベストセラーに。
黒川先生の答えは…
どうしてもできない人に対して、「どうしてできないの!」と責めて暮らしていると疲弊してしまいますよ。家庭内は、ルールを作るなどシステムを変え、リスクを最小限にして暮らすと、ストレスが少なくてすみます。例えば、脱ぎっぱなしの洋服は、「専用のかごに入れる」とルール決めするんです。男性が行きつけの床屋さんをなかなか変えないのは、"いつもの"美容室や床屋、レストランといった定番に安心するんですね。だから、定番をルールづけするんです。男性は狩りをして進化してきたためゴール思考で、仕事など目的を決めたらそれ以外のものが見えないように脳がふわっとフィルターをかけてしまいます。だから、散らかった服もビールの缶も見えない(笑)。女性は半径3mを潰すように歩いているから、落ちているものを全部拾うことができる。それに対して男性は、200m先に鹿がいたら、手前にダイヤモンドが落ちていても目的の鹿しか見えていないんです。
黒川先生の答えは…
母性とは子どもを無事に育て上げるための本能。母は自分の資源(意識的、手間、時間)のすべてを子どもに捧げようとします。夫に捧げる気は潔くゼロに。このため、変わらずに妻の資源を奪う夫にひたすら腹が立ちます。次に子供が自分の足で歩くようになり成長すると、脳は本来もっと魅力的な"次の生殖相手"を探す気満々になります。しかし、女性脳の場合、浮気心としては表には出ずに"直近の生殖相手"に腹が立ち、イライラしてしまうんです。にもかかわらず、夫は子供に便乗して甘えられると思っている。子供を産む前だったら「ティッシュ取ってー」なんて甘えて頼んでいたのに、今は傍らでぼんやりしている夫に、目から火が出るほど腹が立ってしまうんです。命懸けで子供を育てている妻からしたら、夫はもはや戦友。そんな夫が許せないのは、当然の生理なんです。
2020年4月号掲載