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NHKの女子アナのキャリアを手放し、職人となった理由とは?

40代ともなれば、仕事も人間関係も安定し、変化を望まない方が多いもの。でも、目まぐるしいスピードで変化するこの時代、これから先もずっと現状維持は叶うのでしょうか。今回は、今あるモノや状況を、思い切って捨て、新しい暮らしや生き方を手に入れた方々にお話を伺いました。

女子アナの仕事を捨てました

梶浦明日香さん(40歳・三重県四日市市在住) 伊勢根付職人

NHK名古屋放送局・津放送局キャスターとして活躍した梶浦明日香さん。取材を通じて伝統工芸の魅力と危機に触れ、転身を決意し、2010年に国際根付彫刻会前会長の伊勢根付職人の中川忠峰氏に弟子入りしました。「アナウンサーは、小学校の卒業文集に書いていたくらい憧れの仕事で、天職だと思って仕事をしていました。でも、女性アナウンサーとしてのキャリアは若さにも価値を見いだしているため、そう遠くない未来に一線から退くこと、どんなに努力をしても価値が衰退していくという価値観の中で生きることは幸せな未来なのかと考えたとき、私の生き方はこれじゃないなと思いました」。

東海地方各地の伝統工芸を番組でリポートしていたとき、三重県の伝統工芸品・伊勢根付に心奪われ、趣味程度に根付制作をしていました。しかし、どの取材先でも後継者不足に悩む声を聞き、梶浦さんも次第に伝統工芸存続の危機感を募らせ、伝統をなくしたくないという思いで、弟子入りしました。努力を続けていくうちに、2018年にはロンドンのアート展『DISCOVER THE ONE JAPANESEART IN LONDON』で大賞を受賞しました。

読者に向けて梶浦さんは言います。「何歳とかこだわらず挑戦してほしいです。できないこととかやれないことがたくさんあるけど、それは年齢のせいではないと思います。お子さんが小さいときはセーブして、ある程度手が離れたら頑張って、など、自分のペースでやってほしいです。私は、『職人は一生成長できる』という考え方の中で生きられるということは、特にこの年齢になっていい仕事だなと感じます。そのような夢中になれるものを皆さんも見つけてもらいたいと思います。今からでも全然遅くありません。私は、根付職人になってからは、頑張らなきゃというしがらみがとれ、そのままの今を生きたらいいんだなと思えるようになりました。そのままの、ありのままの自分で暮らせる幸せを感じています。これからの目標は職人として、一人前になれるよう精進するのは大前提ですが、そのうえで、職人仲間、とくに『凛九』のメンバーとともに、伝統工芸って、職人って、こんなに素敵なんだよと発信していきたいです」。

  • 瞑想から入り、神経を集中させて彫り始めます。「食事をとること も忘れ、気が付いたら何時間も時間がたっていることもありす」。
  • 師匠の中川忠峰氏と。「師匠の座右の銘が『自然体』。素敵な自分でいなくても、私の知らない人にとっての格好いい自分でいなくても、私にとってかっこいい生き方ができていればいいと思うようになりました」
  • 使い込んでいる彫刻刀。「根付の細かい柄を彫るための彫刻刀を自作することもあります」。
  • 『菊』。「一番彫るのが難しい根付です。少しのミスで1カ月の努力が無駄になることもあります」
  • 振ると音が出るカラクリ細工の『えだめ』。
  • 『猿蟹合戦』。柿を持った猿や、臼の横にはおにぎり、臼の底には蟹がいる、楽しい根付。
  • NHKアナウンサー時代の『ほっとイブニング』での写真。「ス タジオで原稿を読むというよりは、現場に出て感じたことを伝えたいというタイプでした」。
  • 2017年、東海地方の若手〝女子〟職人9人で『凛九』を結成。伝統工芸をたくさんの人に伝える活動や、ワーク ショップを各地で実施しています。

撮影/前川政明 取材/加藤景子 ※情報は2021年12月号掲載時のものです。

 

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