更年期は平均して45歳から55歳までの10年間と言いますが、今回登場の真琴つばささんのように長期間同じような症状を感じている人もいるようです。そんな真琴さんにお話を伺いました。
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◯ 真琴つばささん( 57歳・歌手、女優)
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目立った更年期の自覚症状はないのですが、思い返せば宝塚時代からずっとヤル気レスで物忘れ(*1)もひどく冷えも重症。1年くらい前なんて平均体温が35°C台という低体温(*2)で舞台のときは携帯カイロは必須。
よく手足もむくみますが、これも小学校の頃からの症状。だからもしかしたら若年性更年期が続いているのかもしれません。5~6年前に婦人科で血液検査をしたら案の定、女性ホルモンの値がかなり低く、ホルモン補充治療をしますかと聞かれたんですが、ちゃんと調べてからにしようと思ってそのまま経過。
その後、とくに症状が悪化することもないのでこのまま収束するのかなと思っています。
—— 真琴つばささんは、宝塚の男役トップスター時代を経て女優に転身後も演劇界で活躍。57歳になられた今、スタイリッシュな美貌にますます磨きがかかっています。そんな彼女は「若い頃から更年期症状に似たものがあったから、もしかしたら気づかなかっただけで、ずっと若年性更年期だったのかもしれません」と微笑みます。
最近感じるのは集中力の低下。以前は明け方までトップギアのまま行けたけれど、今は夜中の2時くらいになるとプッツンと気力の糸が切れます。でも昔の自分と張り合って無理しすぎるのはやめようと思って、限界を感じて眠いと思ったら寝てしまうように心がけるようになりました。
寝付きは昔から悪いのですが、1度寝たら起きないほう。更年期にありがちな中途覚醒の症状はありませんが50代になると体と心のメンテナンスに配慮するのは必要です。
まず第一には食べ物。その人に合ったものがあると思うので各自研究していただきたいのですが、私の場合、元気を与えてくれるのがニンニクと玉ねぎ。ガーリックをたくさん入れたカレーなどもよく作ります。
パンが大好きなので朝食は95%は美味しいトーストがメイン。そこにワカモレなどのアボカドディップを乗せたり、葉っぱ物で作るサラダを一緒に食べたり。
いま凝ってるのがケールのサラダ。ケールはスムージーやコールドプレスジュースに欠かせないスーパー野菜としていまや不動の人気を誇っている栄養価の高い野菜。βカロチン、ルテイン、ビタミンCやE、カルシウム、マグネシウム、話題の葉緑素や食物繊維などが豊富。また手軽に買えるベイビーリーフもβカロチン、カルシウム、また ここ数年細胞の生産や再生を助ける栄養素として注目されている葉 、鉄分を含んでいるということでお気に入り。
親戚が手作りしてくれているらっきょうも欠かせません。らっきょうはその栄養価の高さから「畑の薬」とも呼ばれているそうで血行促進や疲労回復、免疫力を高めコレステロール値を下げてくれたりもしますし、アンチエイジング効果もあるとか。それこそむくみを予防してくれるということで毎日少しずつ摂るようにしています。
こう言うと健康志向のストイック派に思われるかもしれませんが、甘いものやパンも大好き。コロナ禍のステイホーム期間はバナナパウンドケーキ作りにハマって、ちょっと自慢の一品になりました。
—— 華奢なスタイルのどこに甘いものが入っていくのか不思議ですが、もちろんそのぶん、体を酷使するお仕事でカロリーを消費しているので需要と供給のバランスが保たれているのかもしれません。
体のメンテナンスはマッサージガンでも行います。電動式マッサージ器具は筋肉ほぐしと筋膜リリースに有効だと大人気ですが、実は共演した女優さんが持っていた小型のものを真似して買ったらさらに小さなハンディタイプが来ちゃいまして(笑)。でもそれはそれで使い勝手がとてもよく、私は足の親指と人差し指の間に二股に分かれているアタッチメントを取り付けてほぐしています。
また、ストレス軽減も大事。そのために私が最も大切だと思うのは、不調の症状を語り合える友人。「最近なんだか疲れっぽいんだよね」「私 もそうなんだ」と共感し合える相手がいるだけで心がすっと安らぎます。
また、外で美しい景色を見たり、それまで見たことのない広々とした空間に自分を置くことも大事だと思います。最近はおうちの中でも外でもスマホばかり見がちになっていますよね。外に出ると視界が広がって呼吸も深くなりますから広い景色の中で自分の気分を解放してください。空気がすうっと通った先にあるものを見て、五感でいろいろなものを感じると体も心も風通しが良くなってほぐれていきます。
—— 確かに毎日スマホばかり見ていたら、死ぬときに思い出すのはスマホの中の光景ばかり、なんてこともあり得る現代。外の景色、自然や街の素晴らしい光景を見て心身を解き放つ習慣は健やかな毎日に必要だということには納得です。
よく、「更年期を乗り切るためにはいろんなものに好奇心のアンテナを張って好きなことに打ち込むこと」だと言いますが、私も仕事以外は無趣味な人間ですから「好きなものなんてそんなに簡単に見つからないのよ」という方の気持ちもわかります。
そこで思うのが無理して好きなものを探さなくても、少女のようなピュアな気持ちを忘れないでいること、つまり「少女がえり」みたいな状況を楽しむことでいいのではないでしょうか。
黒柳徹子さんを引き合いに出させていただくのも恐縮なのですが、以前エレベーターでご一緒したときに黒柳さんがどのボタンを押せばいいかわからずに「あれ?」っていうお顔で困っていらしたのを見たんです。そのお顔は、大人が困っているのではなく、素敵な少女の笑顔で、わからないこと、知らないということを繕わずに出せる純粋さに感動しました。それぐらい、何事にも柔らかな感受性をもって接することで毎日が生き生き過ごせるのではないでしょうか。
後半になって思うのですが、自分はまだ子供。こんなことでいいんだろうかとへこみかけますが、「いやもう、私子供じゃん」と思ってもよろしい!そうやって自分を認める時間をもってあげることが大切なのではないでしょうか。
好きなことと言われると体に良いことや人生の良いことと思って構えてしまうかもしれませんが、もっと自由に素直に自分を認めていいんだと思います。本能にまっすぐに向き合ってありのままで「~するべき」という固定概念や常識といったものに縛られすぎず、小さい我慢をためないことです。
と言いながら、これ全部自分に言い聞かせています。3年後の自分は今作られていると聞いたことがあるので、不安もありますが(笑)。
いまも7月のジャズライブで歌う全編英語のセットリストに四苦八苦していますが、どうもがいてもコンサートは日が来たら初日を迎えます。それまで練習して練習して作り込んでガチガチに固めて、その後、破るのが私流なので破れるまで完璧に固めたい。今も日々あがいているけど60代はもっとあがいて、自分らしくありのまま、ときには少女のようにピュアに生きていきたいと思っています。
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/田中エミ スタイリスト/(有)花子 取材/柏崎恵理 ※情報は2022年8月号掲載時のものです。