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介護と育児、ダブルケアの大変さとは。「独りで抱え込まずに助けを求めて」

高齢化に伴って介護を必要とする人の数は急速に増え、家族介護者数は、2001年の470万人から、2016年には 699万人に増加しています。そこで、介護にあたるうえでの心構えや、上手に負担を軽減する方法を体験者の方に語っていただきました。

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植木美子さん(50歳・神奈川県在住) 一般社団法人「ダブルケアサポート」理事、特定非営利活動法人「てとてと陽だまり」代表

独りで抱え込まずに「助けて」と
声を上げてほしい。罪悪感を持たずに
サービスを使い、自分を大切にして

植木美子さんは、2011年に神奈川県横浜市に「芹が谷コミュニティてとてと」を立ち上げました。「てとてと」は地域の親子の居場所づくりを中心とし、食で地域をつなぐ場づくりとなっています。

「2015年に、ダブルケアサポート横浜を立ち上げました。これは、ダブルケア当事者の抱える孤独を感じ、ダブルケアラーが抱える多岐にわたる課題に対してどのような支援が必要か、当事者の声を聞きながら、具体的な支援策を考えていくことが必要であったためです」。

植木さんご自身もダブルケアの経験者でした。「息子が4歳の時に義母が入院しました。一日おきに息子を連れて、義母の入院していた病院にお見舞いに行っていました。週末には義父のいる施設へ面会や必要なものを届けることが多く、家族で遊びに行くことができませんでした。4年ほど続きましたが、今振り返ると、いつも頭に義両親のことがあり、心の休まる時がなく余裕がありませんでした。終わりが見えず、いつまで続くかわからないことが本当に不安でした」。

その頃の植木さんの心の支えになったのは、ご主人が協力的であったことと、息子さんの無邪気さだったそうです。また、話を聞いてくれる友人にも助けてもらったそうです。

現在、コロナ禍でダブルケアラーの孤立が進んでいるように感じると話す植木さん。「コロナ禍になってからは、皆さんオンラインでダブルケアカフェに参加しています。出かけることが難しい人が多いので、オンラインがすごくよかったと思います。その反面、実際に会って、人の温度というものを感じられないという部分と、全国になると地域特性がなくなっていきます。『この地域だったらこういうのがある』という情報の交換が、リアルで小さなコミュニティの中でないと難しいということがあります」。

植木さんは『我慢しなくていい』と話します。「ダブルケア当事者は、どうにか両方をこなそうとしてキャパオーバーになることもあります。介護も子育ても余裕がなくてはできないものです。まずなにしろ、罪悪感を持たないで、サービスを使ってほしい。介護サービスでも、保育サービスでも自分へのサービスもそうです。家事代行など、どんどん使って、助けてと誰かに遠慮なく言ってほしい。そして自分でいられる場所、仕事じゃなくてもいいです、趣味でもいいです、自分の名前で呼ばれる場所を持っていてもらいたいなと思います。介護しているから何かを我慢しなくてはいけないということはありませんから」。

  • スタッフが2人以上常駐の「陽だまり」。
  • 「マルシェや親子カフェなどを開催しています。地域の誰もが集える居場所を作りたいという思いからスタートしました」。
  • ダブルケアの入門書のようなハッピーケアノート。
  • 「当事者に、『ダブルケアになった時に、どのようなものがあったらいいか』を聞いて作りました。『今のあなたが大変なことは、こういうことすればクリアできるよ』というようなヒント集です」。
  • ダブルケアしていた頃の植木さん。

「当事者がよくおっしゃるのは、『介護の話ができる相手がいない』。そんな時は陽だまりに来て、気が済むまでおしゃべりしてほしいです」(植木さん)

<編集後記>突然の介護のために前知識は必要 この取材でダブルケアは、幼児の子育てと介護だけではないと知りました。親だけでなく、兄弟や親戚を介護する場合もあります。自分がダブルケアラーになった時に慌てないように、前知識が必要だと感じました。そして、当事者になった時には、自分だけで解決しようとせず、まわりの力を借りていきたいなと思いました。(ライター・加藤景子)

撮影/BOCO  取材/加藤景子 ※情報は2022年10月号掲載時のものです。

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