舞台『笑の大学』に出演する瀬戸康史さん(34歳)
1996年に初演され、絶賛を浴びた三谷幸喜さんの傑作二人芝居『笑の大学』。1998年の再演以来、映画化や海外での翻訳上演はあったものの、国内では上演されていなかった本作品が、PARCO劇場で25年ぶりに甦ります。「託したい俳優に出会うまで再演はしないと決めていた」という三谷さんのお眼鏡にかなったのは、内野聖陽さんと瀬戸康史さん。三谷作品への出演が相次ぐ瀬戸さんに、稽古や2月からの公演に向けた意気込みなどを伺いました!
《前編》
――戦時色が強まる昭和15年の警視庁の取調室を舞台に、喜劇を上演させまいと無茶な要求をする検閲係の向坂(さきさか)と、台本を書き直し、なんとか上演許可をもらおうとする劇作家・椿の攻防を描く二人芝居『笑の大学』。どんな第一印象を持たれたでしょう?
この向坂と椿を内野さんと僕でやったら、どういう感じになるんだろう? と思いました。映画と舞台のDVDを観て、演じる役者によってこんなにも印象が違うのかと感じたんです。そこがこの『笑の大学』という二人芝居の魅力の一つなんだろうなと。初めての二人芝居で、内野さんとも今回が「はじめまして」なので、ドキドキしているところもあるんですが、とにかく早く稽古がしたいですね。見た目は圧倒的に内野さんの向坂のほうが強そうだけど、その強そうなところをくすぐると、もしかしたら僕が優勢になる瞬間もあるんじゃないか? とか、色々想像するとワクワクします。
――内野さんとのセリフの応酬が楽しみです。
僕らがどれだけ真面目に必死にやるかが大事になってくるだろうなと思います。観ている人が、なんでそんなことでそこまで必死になるの? と突っ込みたくなるくらいに。性格も考え方も育った環境も全然違う二人が「あれ!? 俺らの面白ポイント、ここ一緒かも」と思う瞬間が出てきたり、自分達も気付かないうちに7日間で信頼関係みたいなものができていくところも、この作品のすごく面白いところだと思うので、内野さんと稽古で大事に作っていきたいです。作家と検閲係の話なので、もちろん時代背景というものが大きくあるんですが、背景をよく知らなかったとしても楽しめるんじゃないでしょうか。
――ご自身が演じる、劇団「笑の大学」の座付き作家・椿という役については、どんな印象をお持ちですか?
演劇というものに対して、とても熱い人という印象です。自分が書くものには自信があるんだけれども、それを自分が演じてもあまり面白くないと思っていて、でも面白いものは書けるんです、みたいな、自信と自信のなさの絶妙なバランスが面白い人だと感じました。