40代でADHDと診断されたエッセイストの小島慶子さん。幼少期から大人になるまで、普通であることへの疑問や生きづらさと向き合ってきました。その経験をふまえ、まわりからどう声をかけてほしかったか、また母の立場から子どもに何を伝えたいのかを伺いました。
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幼少期「普通にできなかった」私だからこそ、今の子どもたちに伝えたい〝本当に大事なこと〟
小島慶子さん
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。40歳を過ぎてから、軽度のADHD(注意欠如多動症)の診断を受ける。エッセイや講演、メディア出演で、自らの経験や、発達障害への理解促進について積極的に発信している。アップルクロス:https://www.applecross.jp/
◆「普通に」ができなかった子ども時代。 もっと面白がって肯定してほしかった
私の子ども時代は、発達障害という言葉が知られていなかった時代です。だから私は、いわゆる“育てにくい子ども”だったと思います。
親や先生はいつも「なんで普通にできないの?」と。授業中も退屈になると動いたりおしゃべりしてしまう。普通に、普通にと言われて「私は他の子のようにできないダメな子なんだ」って、劣等感や自己嫌悪が強かったですね。
今となって思うのは、変わったところのある私をもっと面白がってくれていたらなぁと。そうしたら私も少しは自分を肯定できていたのかもしれないと思います。
そんな子ども時代だったので、長男出産後、育児が怖い時期がありました。幸い次男を出産する時に通院した病院でカウンセリングを受けることができ、子どもとの接し方への不安が減ったんです。息子たちは自分とは違う。「あなたはこういう人で、こうあるべき!」と自分の考えで決めつけず、あくまでも他者として尊重して接してきました。
◆ 困っている人がいたら助けること。伝えないのはわが子に対して不親切
息子から発達が気になる友だちに対しての質問を受けたことがあります。その時は「ママもそういうところがあったんだよね。お友だちはもっと上手にやりたいって思っているんじゃないかなぁ。君ができることがあれば助けてあげて」と話しました。
親御さんの中には、わが子と発達が気になる友だちとの関係に不安を感じ、避けたいと思うことがあるかもしれません。でもそれはわが子に対してとても不親切なこと。子どもたちは大人になればいろんな人と出会い、その中には発達障害のある方や、自分と合わない人も当然います。その時、わが子が混乱したり、偏見や差別を口にしたりするようになってしまったらどうでしょう?
だから子どもに正しい知識と、誰にでも親切に接することを教えるのは親として本当に大事なこと。自分とは違う他者を理解し、助け合いながら一緒に生きていくのは大切なことなのだと伝えていけたらいいですね。
◆ 発達が気になるわが子には……
理想の子ども像、家族像をわが子に求めるのではなくて、「そうか慶子ってこういうことが苦手なんだね。全然いいんだよ。じゃあ慶子は何したいの? 何したら楽しいの?」って言ってくれていたら嬉しかった――。
◆ 友だちが特性を持つわが子には……
友だちが発達障害であろうがなかろうが困っている人には親切にする、何か変わっている人がいたらどんな事情があるのかなって想像してみる、それができることが何よりも大事。
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撮影/横山翔平(t.cube) ヘア・メーク/中台朱美 スタイリスト/大碕ちほ 取材/田路暢子 企画監修/LITALICO ※情報は2023年1月号掲載時のものです。