勉強するのに遅すぎるなんていうことはありません。学び直すことで、ひと足早く“新たな景色”や“違った自分”に出会えた方々を取材してきました。
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スザンヌさんが「もう一度、真剣に勉強してみよう!」と思ったきっかけとは?
いとうまい子さん(58歳・東京都在住) 女優・経営者・研究者
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程在籍
“恩返し”の気持ちが後押しした
新しい分野への一歩。
その先にあったのは、
想像もしていなかった未来
新しい分野への一歩。
その先にあったのは、
想像もしていなかった未来
18歳でアイドルデビュー、その後も女優・タレントとして活躍してこられた、いとうまい子さん。「長きにわたる芸能生活は決して順風満帆というわけではありませんでした。振り返り思うのは、どんな時も変わらず私を支え応援してくださった方たちのこと。彼らなしでは今の私はいませんでした」。
デビュー25年を過ぎた頃から改めて支えてくださった人たちへ恩返しをしたいと強く思うように。しかし、どうやって恩返しをすればいいのか……。そう思ったとき、以前番組で予防医学について学んだことを思い出したのです。
「病気になりにくい体作りを推進して健康を維持することを目的とする“予防医学”。この分野を学び、皆さんに情報発信すれば恩返しができるのではと考え、早稲田大学人間科学部eスクールの門を叩きました」。
日々の授業は全てオンライン。繰り返し見ることが可能なため、苦手科目を理解するうえで役立ったそう。しかし、仕事との両立はやはり難しい面も。「レポート提出と仕事が重なると、間に合わない場合の言い訳を考え始めてしまうことも。そんなときは、入学時の面接で、『あなたのような職業の人はすぐに辞めるから』と言われたことを思い出しました。途中で辞めたら、『やっぱりね』となってしまう。それは絶対良くないと思ったんです。また、〝恩返し〟という最初の目的にも立ち返り、自身を鼓舞しました」。
3年生になり信頼する予防医学の教授が退官。次のステップに悩むことに。「芸能界では自分を律し、流されないよう強い信念をもって歩んできました。逆に、大学では周囲の言葉を柔軟に取り込もうと思っていたんです。ロボット工学へ進むことを決めたのも、20歳の学生からの『ロボット工学の先生がいい』のアドバイスを素直に聞き入れることができたから。決断した途端、予防医学とロボットを組み合わせたら新しい何かが見つかる!? と、未知の世界にワクワクしました」。
博士課程を終え、研究生になられたいとうさん。大学進学だけが学び直しではなく、ネット上には学ぶための環境がたくさん転がっていると言います。「まずは恐れず一歩踏み出してみる。目の前に広がる新しい世界は、きっと自分では想像もしていなかった未来をもたらしてくれるはずです」。
取材/上原亜希子 ※情報は2023年2月号掲載時のものです。