女優として確固たる地位を築き、そのおおらかでチャーミングな人柄を武器にバラエティでも新たな一面を魅せ、私たちの心を摑んで離さない木村佳乃さん。画面越しに溢れる、最高にハッピーなオーラ。年齢という枠を軽やかに飛び越えるオンリーワンになるための秘訣を聞きました。
Question for <Life>

気持ちをスイッチするのが誰よりも早くて、極端な話一歩歩いたらもう忘れています。いいことも悪いこともすぐ忘れる、だから思い出も少ないのかも(笑)。気分転換は他力本願じゃなく自分で変えにいく。負の気持ちが対人なら、しっかり話し合いをして向き合う。話し合ったうえで自分が間違っていればきちんと謝る、相いれないと思えば縁がなかったと諦めます。お互い真剣であればあるほど、ぶつかることもあると思いますが、きちんと向き合うことが大事だと思います。
ストレスって悪いものと捉えられがちですが、ぐっと負荷がかかると「よし、乗り越えよう!」とか、この状況を奪回しようと思う気持ちが湧くのは人として成長の過程。ストレスを悪いものと捉えず、逆にチャンスと思うくらいの発想の転換が必要なのかもしれません。
日本人の国民性は生真面目で周りの空気を読んで人目を気にする。謙遜が美徳とされているからか、自己肯定感がアメリカ人に比べ低い気がします。アメリカ人はいい意味で自信家だし人目を気にしない。そして些細なことも気に留めないから、機嫌も保ちやすいのかもしれません(笑)。
お料理はそんなに得意なほうではないのですが自分の好きな唐揚げだけは自信があります。特に手羽中が大好きなのでお醬油、酒、みりんにすりおろした生姜、にんにくを入れてよく揉んで。ごくごく普通なレシピですが子どもたちもよく食べてくれます。でも私が一番食べているかも(笑)。
ダークなテーマなのに引き込まれてしまって、もう何回も見ています。まだご遺族もいらっしゃるので賛否両論あるドラマですが、それをテーマにドラマを制作する勇気もすごいなと思いました。
最後に泣いたのはいつだろう・・・・・・。私、涙もろくないんです。とにかく人前で泣くのが恥ずかしくて。両親も涙もろくなかったし。あっ、先月7年飼っていた文鳥が死んだとき泣いていました。最後頑張っている姿を見たら自然と涙が溢れ出ました。
私たちは人気商売だから浮き沈みは当然あります。コンスタントに細く長く今の仕事を続けていけたらいいなと思っています。
2022年を振り返ると、大きな事件がたくさんありましたね。月並みですが、何だかんだ「平和と健康」がいちばんです。あとは新型コロナウイルスが収束してマスクが取れるといいですね。子どもたちの思い出が、すべてマスクの写真というのも悲しいので……。
Question for <Fashion>

馬グッズを集めていて、中学生のときに買ってもらった馬のモチーフのイギリス製のセーターが大好きすぎて引出しの1軍にずっとおります。余りに好きすぎて実際着て劣化するのが嫌で着ることはほとんどなく、ただただ愛でています。
1年頑張った自分へのご褒美とばかりに「ビヨンセのしていた、あれ可愛かったな」など雑誌で目にしたあれやこれやに思いを馳せ、吟味し、無意味な言い訳をし、こっそり隠れて買います。バレないよう、しばらく寝かせます(笑)。
お洋服も好きだけどアクセサリーも大好きだからひとつに絞るのが難しい、難問ですね(笑)。以前は”ファッション イズ エブリシング”でオシャレ見えがすべてでしたが、50歳も近くなり最近は暖かくて軽いものに惹かれる傾向が。そういった意味では昨年自分で初めて買ったロロ・ピアーナのシンプルでオーソドックスなネイビーのクルーネックカシミア! 何しろ暖かいのに羽のような軽さで至極の肌触り。年月を経ても変わらぬ価値が宿る一生ものにふさわしいニットです。
Question for <Beauty>
日焼け止めは塗りますが普段はノーメークが基本です。仕事でメークをしても極力きちんとメークを落としてから帰宅します。最大のこだわりは保湿。今46歳ですが実年齢より若く見せることより健康に見えることに重きを置いています。若さに固執することなく年相応の大人の女性のたおやかさを大切にしたいです。
大好きなジャスミンの精油をベッドルームでたいています。ジャスミンって明け方から早朝が最も芳香とされているから、花の収穫は朝手摘みなんですって。しかも確か100kgから120gくらいしか精油が採れないから希少性が高く高価ですが本当にいい香り。リラックス効果もあってホルモンバランスも整えてくれるみたいなので今気に入っています。
Question for <Work>

それまでは大人向けの作品ばかりに出演させていただいていたので、姪っ子ができたとき子どもからの認知度があまりないことに気づかされました。考えてみると子どもの頃テレビが大好きで、毎週好きな番組を心待ちにし、そこから多大な影響を受けたことを思い出したんです。だから私も子どもに向けた番組に、もっと出てみたいと思ったのがきっかけです。お子さん世代に向けて出演したのですが、結果、親御さんに思いのほか反響をいただいて正直私が驚きました。最初に出演した頃は、私自身の子どもはまだ小さかったのですが、子どもは正直なので、その反応は大切にしたいです。
今回の原作は高級高齢者施設が舞台になった作品で、その発想や人間観察が素晴らしいです。林先生の作品に出てくる女性は、ちょっと悪いところがあってドロドロしていたりする部分が描かれていて、リアルにいるなこういう人と思わせてくれる。キレイ事だけじゃないところに共感できますね。林先生の作品は『小説8050』も好きです。
高岡早紀さんや堀内敬子さん、皆さんお子さんがいらっしゃるので、ほとんど子どもと健康の話で楽しく盛り上がっています。ずっとご一緒したかった演出の平山秀幸さんとご一緒できたのもうれしいですね。毎日ほぼすっぴんで、介護制服を着てオシャレとは無縁ですが(笑)、とても楽しい現場です!
無理して取ろうとしなくていいと思います。無理して取ろうとして逆にギスギスしてしまうこともあると思うから。世の女性は忙しいし、必死なんです。私自身も仕事から帰宅すると子どもたちはもう寝ているし、朝も寝ている間に家を出てしまうこともありますから、1日せめて30時間くらいあったら、もう少しコミュニケーション取れるのにと日々思っています。圧倒的に時間は足りないし、帰宅すると自分も泥のように疲れているし。子どもが安心するのはお母さんの笑顔だと私は思うんですよね。だからどんなに忙しくても、1日に最低でも数度笑顔を見せられるよう工夫をしています。
Question for <Life>:ニット¥83,600スカート¥136,400(ともにマックスマーラ/マックスマーラ ジャパン)時計「プルミエール オリジナル エディション」¥858,000、リング「ココ クラッシュ」¥566,500〈YG〉、イヤリング「ココ クラッシュ」¥836,000〈YG〉(すべてシャネル/シャネル カスタマーケア)Question for <Fashion>、 Question for <Beauty>:ボーダーセーター¥159,500パンツ¥159,500ローファー¥154,000(すべてボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)時計「タンクマスト」¥814,000(カルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)Question for <Work>:コート¥489,500トップス¥231,000パンツ¥181,500バッグ「グッチ ホースビット 1955」¥346,500靴¥115,500ピアス¥181,500(すべてグッチ/グッチ ジャパン)
撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) モデル/木村佳乃 ヘア・メーク/平元敬一 スタイリスト/佐伯敦子 取材/小花有紀 ※情報は2023年3月号掲載時のものです。