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東村アキコさん、長男が18歳に!「育児は地獄だったんですけど、今は彼氏みたいに」

『東京タラレバ娘』や『偽装不倫』など、大ヒット作を世に送り出してきた漫画家の東村アキコさんが、初めて“全部活字”のエッセイ集『もしもし、アッコちゃん? 漫画と電話とチキン南蛮』を上梓。テーマは自らの子ども時代。成長してゆく息子さんに青春時代を重ねて見るところもあるそう。伝説的育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』で圧倒的な存在を示していた愛息、“ごっちゃん”。かつてママをテンパらせていた彼も高校3年生になりました。“まるで彼氏みたいなごっちゃん”の近況から、子育てにまつわるお話を伺いました!

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Profile 漫画家。1975年生まれ、宮崎県出身。1999年、「フルーツこうもり」でデビュー。『ママはテンパリスト』が100万部を超えるヒットとなる。自身の半生を描いた『かくかくしかじか』は漫画家を目指す人のバイブルに。映画化された『海月姫』をはじめ『東京タラレバ娘』・『偽装不倫』などメディア化作品も多く、同年代の女性の強い共感を得ている。先駆的な活動で日本の漫画界を牽引するのみならず、韓国、米国、フランスなど海外でも広く読者に支持されている。
【INDEX】 ごっちゃん(息子)も無事18歳になりました
電話一族で電話とともに生きた私でも思う…スマホは社会問題!
レコメンドシステムの外からの情報が重要
子育てに疲れたときには

ごっちゃん(息子)も無事18歳になりました

エッセイにも同級生男子の爆笑エピソードはたくさん書きましたが、すでに発売されている『少年ジャンプ』のページを「絶対秘密な」と言って真剣な面持ちで見せてきたり、小さい頃から男ってほんとしょうもないな…って思っていて(笑)。私はそのおかげで小学生のときに、「男の人に頼って生きていくのは私には向かないな…」と悟ったんです。

とはいえ、息子は、いま18歳ですが、私の男版みたいに、社交的でグレることもなく人を楽しくさせる会話もできる。いい感じに育ってくれました。

あんなに豚まんみたいだったのに、やせてスラッとした男の子になりました。 親友でもあり相棒でもあり、カラオケ・映画・ライブや韓国旅行も一緒に行くので、機能的には…完全に彼氏ですね(笑)。育児は地獄だったんですけどね、ここ3年くらいでやっと実ったなー。

あと少ししたら、家を出てしまうかもしれないから束の間のゴールデンタイムですよね。

電話一族で電話とともに生きた私でも思う…スマホは社会問題!

私は電話局ファミリーで育ったので、いつも身近に電話があり電話とともに育ったと言っても過言ではありません。電話エピソードはエッセイにたくさん書きましたが、それにしてもここまで電話が進化するとは!

スマホ・タブレットは、社会問題ですよね。子供とスマホの距離感に悩むSTORY世代は多いと思います。自分だってTiktokを3時間とか観ているのに、子供にうるさく言えないですよ。

うちは中学からスマホを渡し、ゲームにハマりまして。あるとき、タブレットでゲームをするのが止まらないことがあったんですよ。もう、どげんもならん!と、私のタブレットでしたけど、取り上げて風呂の残り湯の中に沈めました。

数秒間、画面がついたまま、スーーーっと沈んでね。ゆっくり死んでいくように、途中ジジッ、ジジッというの。まるで『ターミネーター2』のあの場面みたいな様子に、「こわっ 逆襲で恨まれるかもしれん!」と震えました。息子はというと、「ママ…、ありがとう。オレはこの機械に囚われていた…」って、『エヴァンゲリオン』の最終回みたいに、笑ったように泣いていました。

もったいないけどね、捨てりゃいいんですよ。キィーってなるんじゃなくて。子どもって、キィキィ親が言うの嫌がりますもん。

レコメンドシステムの外からの情報が重要

コロナが始まったくらいからでしょうか、ステイホームの風潮も相まって、「名作映画の会」を息子と2人で週1くらいで開催しています。

昔って、テレビで子どもは観たくもない映画を親がつけていたりしませんでした?時代劇とか大人っぽい映画もあったように思います。今は動画配信のレコメンドシステムで自分好みの映像しか流れなくなってきました。親が見ている『男はつらいよ』の寅さんを横目で見ながら「なんだよ、これ」って思いながらもだんだんとはまっていく…なんてことはなくなってきちゃったんですよね。自分のフィルターにかかっているもの以外から吸収してきたものがどれだけ大きかったことか! 我々世代もモノを知らない世代ではあるけれど、まだ、テレビで補完できていたんじゃないかと思います。

ものがわかるようになっただろうと高校生になった息子と、最初は『七人の侍』からスタートして、『楢山節考』や『砂の器』も。一通り名作と呼ばれるものは観せています。息子は「面白い!」って。情報の入り方が、今の子は昔と違うと感じます。知っていることは恐ろしいほど知っているのに、知らないことは全然知らない。昔を知る、という意味では、『鬼滅の刃』はありがたかったですね。炭焼き小屋とか、着物の柄とか。漫画にはまだ、そういうことを教える力がありますよね。

特に危機感を覚えたのが、息子が中学生のとき。ちょっといい和食屋さんに2人で行ったことがあるんです。茶道もやっているし、それなりに色々と教えてきたつもりだったけれど、コースの最初の刺身も、マグロ以外は魚がわからない。本わさびの根茎も鮫皮のおろし器も驚愕の対象となっている息子の様子を見て、「意識的に知識を入れていかないと、我が子が食べ物も知らない無知な若者になってしまう!」と焦りました(笑)。

情報の偏りがないように子育てをしないとと思っています。

子育てに疲れたときには

今でこそ、最高の相棒と言える息子ですが、うちは当初からワンオペ、シングルマザーでもあったので育児は大変でした。

皆さんのお子さんはちょうど思春期・反抗期でしょうか?持論ですが、ママは優しくしていればいいと思います。いつも味方でね、最後のセーフティーネットみたいな存在であればなと。教育上よくないかもしれないけれど、嫌われたくないし、私はあまりうるさく言わなかったですね。

子育てがままならず、疲れたなと思う時には、どうか、ご自身の子どもの頃を思い出してみてください。子どもに「しっかりしろ!」なんて強く言えなくなるエピソード…あるかもしれませんよ?私もかつてはままならない子どもでした。このエッセイを書きながら、今でこそ大爆笑ネタですが、当時を考えると…親は苦労しただろうな…って。

“ちょっと一息入れたい”“昔を懐かしみたい”そんなときは私のエッセイを読んでお腹抱えて笑ってください!

撮影/松蔭浩之 取材・文/竹永久美子

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