男の子は自分と性別が違うからわからない……と感じているSTORYママに向けて、「男の子の教育で気をつけるべきことは何か」について、ともに2人の男児を育てている専門家が語り合います。
【男の子の育て方対談連載vol.19】例えば韓国ドラマ。フィクションの世界でも理想的なロールモデルを描くようになってきたのは良いことです!
LINEグループがどんどん増えて、なんとなく疎遠になるということが少なくなってきた
ライター東 うちの双子の子どもたちも中学生になり、スマホを持ち始めたのですが、娘より息子のほうがスマホ利用が早かったんです。中学生になる少し前に、「友達とLINEで繋がりたいから持たせて! 誕生日プレゼントと入学祝いが同じでいいから!」とねだってきました。それで、先に息子にスマホをプレゼントしたのですが、「どうしてそんなに早くほしいの?」と聞いたら、仲の良い友達と別々の中学校に通うことになったので、繋がりが絶たれると思ったみたいです。
そこでお聞きしたいのですが、男の子のほうが、絆を重視するようなところはあるんでしょうか? 太田さんと田中さんの息子さんたちはどうですか?
田中 うちの子はまだ小なので、わからないですね…。男の子だから、女の子だから、と区別して群れることはないです。毎朝、一緒に女の子と学校に行っていますし…。
太田 仲間に入りたい、という気持ちはとてもありますが、性差はわからないですね。
東 息子はゲームの「フォートナイト」でオンラインチャットをしているのですが、仲間と協力しあって相手を倒すのが楽しいようで、そこでも女子とは違う絆の深さが見えたような気がしました。
太田 うちの息子も「フォートナイト」でチャットをしています。確かに横で見ていると、あれはひとつのコミュニケーションなんだと思います。視力や姿勢には気を付けてほしいのですけれど、特に制限はしていないです。リアルなコミュニケーションと同じで、チャット内で意地悪が起きることもあれば、優しく助け合うようなこともありますね。
編集・川原田 やはり周りでも、スマホを持つのは男の子のほうが早かったりするのですか?
東 女の子は機能があることで持たされる場合が多いようですが、やっぱり男の子のほうが早いうちからスマホを持っている率は高かったです。しかもSNSの利用が多いですね。友達グループをたくさん作っていたり、「集まって、ここに行こうぜ!」といった相談などもしていたりします。
スマホ自体が小さいので、親としてはiPadのように何を見ているのかがわかりにくいんですよね…。ひとりで何か見ているのだけど、何を見ているのかがわからない。不安になってしまいます。
田中 SNSでは、誰とどのように繋がっているか、わからないですからね。これまでは、学校が別れてしまうと、仲が良かった友達と連絡が取りづらくなっていました。それを考えると今はスマホで繋がりを保つことができるので良いのですが、それ以外の使い方を同時に規制できないところが気になります。ですから、携帯やスマホを渡す年齢は難しい問題だと思います。前回、YouTubeでアダルト広告を見ていた息子の話しをしましたが、スマホの場合は、なおさら目にしてしまう危険性があると思います。
東 誰かから聞いたのですが、田中さんがおっしゃるとおり、子どもたちはSNSを交換するとずっと繋がっているんですってね。連絡先がスマホに残っているので繋がりは切れることがなく、別れが少ないとか。
太田 それはわかりますね。なんとなく疎遠になる、ということが少なくなりました。人生を重ねるごとに、LINEグループがどんどん増えていきますよね。
田中 おそらく可視化されているだけなのかもしれませんが…。
太田 LINEグループから抜ける時も、いちいち「抜けます」とご丁寧に意思表明をするようになっていますしね……。自然消滅とかフェードアウトがしづらくなっています。
東 田中さんのお子さんは小学校の低学年ですが、携帯は持たせていますか? 習い事や塾などで帰りが遅くなる子どもに持たせている方も多いです。最近はスマホデビューも低年齢化しているとか…。
田中 うちはまだ持たせてはいませんが、セキュリティ的には、そろそろ子どもたちに持たせたいところです。
取材/東 理恵
弁護士。中2と小5男児の母。離婚問題や相続問題、セクハラ・パワハラ事件などに多く関わる。数々の経験を基にした、ジェンダーにまつわる投稿が反響を呼ぶ。昨年、SNSの投稿をきっかけに出版した『これからの男の子たちへ』が話題に。
田中俊之
社会学者。大妻女子大学 人間関係学部 人間関係学科准教授。専門は男性学。『男子が10代のうちに考えておきたいこと』など著書多数。男性学の視点から男女とも生きやすい世の中を研究。私生活では7歳と3歳男児の父。