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友達を褒めることに息子が敏感です【尾木ママ連載vol.23】

第23回は息子の友達を褒めたらイヤな顔をされたママのお悩みです。

前回は孫の成績を気にする義母と反発する息子の板挟みになっている方のお悩みです。

N.Hさん(44歳)11歳男の子 夏休みに入って数日たってから、息子の友達親子と遊んだのですが、その際に、友達はすでに夏休みの宿題のひとつを完全に終わらせていたので、「さすが、えらいなぁ」と息子の友達を褒めたら、息子がその瞬間、すごくイヤな顔をして、とても冷めた目で私を見て、「俺だって、毎日少しずつ進めてるし。」と言ったのです。後になって、「ママって僕のことは全然褒めないのに、友達のことはすごい褒めるよね。」と指摘されました。でも、友達の前で自分の息子のことを褒めるのもどうかなと思うのと、つい、笑いのネタ的に息子の失敗した話をしてその場を盛り上げてしまう部分は確かにあるのですが。友達の頑張りを褒めることで、息子のやる気にもなるかなと思ったのですが、逆効果なのでしょうか。誰かと比較されることを息子はとても嫌がります。「人は人ってママ、いつも言ってるくせに」と言われました。でもスポーツにおいても勉強においても、ある程度、競うという感覚は必要だし、男の子だから、特に「負けたくない」という気持ちを持って欲しいという思いもあるのですが、私の感覚はずれているのでしょうか。

尾木ママ’s Answer

今回は、3つの観点からお話ししてみようと思います。
まず1つめに、このお子さんの11歳という年齢は、プレ思春期といって、思春期が始まるあたりの年齢です。もちろん個人差はありますが、思春期には男子と女子それぞれに特徴があります。女の子の思春期でしたら、お母さん達も自分自身が通ってきたことなので、理解しやすいかもしれませんが、男の子の思春期となると、理解できず戸惑うことが多いのも当然かもしれませんね。そもそも大前提として理解していただきたいのは、男の子って“プライドの塊”だということ。プレ思春期はそのプライドが固まりつつある年齢であり、プライドを尊重する必要があるとお母さんがきちんと理解することが大切です。
男の子は特に、お母さんに悲しい姿や弱さを見せたくないものです。例えば、学校でいじめられていたとしても、それをお母さんには知られたくないという心情から、自分からなかなか話そうとしないことが多く、お母さんも気づかないといったことがよくあります。一方で、女の子は同性であるお母さんに比較的何でも話しやすい傾向もあります。もちろん個人差は大きいですが、この違いをわかっていると対応がしやすいかもしれませんね。

2つめに、人前で自分の子どもを褒める文化が日本の子育て文化にあまりないという背景です。日本には昔から「謙遜」の文化があり、自分や身内を人前でほめることをあまり良しとしない風潮があります。「うちのバカ息子が」とか「愚息が」という言い方まであるくらいで、子どもが誰かに褒められた時にも、「いやいや、全くすごくないんですよ」などとよく謙遜したりしますよね。欧米では、それとは逆に、人前でこそ、「うちの子、すごいでしょう」と自分の子どもを褒めることが当たり前です。たとえ成績が悪くても、自慢の我が子なのです。褒められ、認められれば、「僕はすごいんだ」「自分は愛されている」と実感し、自己肯定感も高まるものです。
また、人前で笑いのネタ的に話すというのも、よくないですね。思春期世代は人からどう見られるかに対して非常に敏感です。友達や友達のお母さんに笑われたら、息子さんはきっと傷ついてしまうでしょう。
一方で、このお子さんは母親が自身の口癖である「人は人」を実践できていないということを的確に指摘していますよね。感心します。矛盾に満ちた親や大人の理不尽さを強く感じるのも思春期の特徴です。

3つめに、「競う」ということについて考えたいと思います。特に男の子は将来、社会に出て他者と競い、生き抜いていかなければならないから、「競争心」は大切だと多くの親御さんたちが考えているのではないでしょうか。息子には逞しく育ってほしい、競争心をもってほしい。そう願う親の気持ち自体は間違ってはいないと思います。ただ、親がわが子を他の子と比較をして考えないことが大切ではないでしょうか。
競争心が自発的なものならいいのです。「徒競走であの子より速く走ってみたい」「あの子とのレギュラー争いに勝って試合に出たい」と自主トレをしたり、YouTubeで走り方を研究したりと、本人の意思で闘おうと思うなら素晴らしいことです。しかし、他者に勝つことを親が期待して、けしかけたりするのは良くないように思います。
親の立場からは、他人との競争ではなく、比べる相手は「自分の過去」だということを意識できるような声掛けができるといいですね。「半年前のあなたと比べたら、ずいぶん上達したんじゃないの?」-こんな比較をしてあげてください。

このお悩みの方以外でも、息子さんがいる前で息子さんのお友達のことを「すごいね」と軽く褒めただけでも、息子さんが不快感を示したなどという話はよく聞きます。親が思っている以上に子どもは友達と、特に同性の友達と比較されることに敏感に反応するのです。「ママの愛情を取られた」という感覚にもなってしまうのでしょう。また、お母さんがどんな風に自分のことを他の人に話しているのかということを子どもはすごく気にするものですので、お母さん自身もそのことを意識する必要があるのかもしれませんね。

思春期の男の子のデリケートな心をわかってあげられるといいですね。

取材/小仲志帆

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