世界最大の不妊治療大国であるという日本。仕事と子育てのライフバランスに悩み、出産が高齢化することで、多くの方が不妊に苦しむという免れられない実情も。でも選択肢のひとつとして「卵子凍結」を知っておけば、自分のため、次世代の子どもたちのために役立つかもしれない。最新の「卵子凍結」事情を伺いました。
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日本は世界最大の不妊治療大国
STORY編集部(以下同)——最近、よく耳にするようになった「卵子凍結」ですが、実際にされる方は増えてらっしゃるのでしょうか。
はい。年々増えております。日本は、残念ながら世界最大の不妊治療大国と言われています。晩婚、共働きの増加から、妊活のスタートが遅れ、まずは自然治療→その後不妊治療へと進むため、必然的に出産が高齢化します。年間の出生数が70万人台に対し、
妊娠・出産が難しくなる要因としては、
「卵子凍結」を行うなら35歳までが理想
——「STORY世代」といわれる30代後半以降の自然妊娠の確率はやはり低いのでしょうか?
もちろん個人差はあるのですが、あくまでデータ的に言いますと、例えば2人お子さんを持ちたいと思った場合、34歳から妊活を始めた場合の成功率が75%と言われています。30歳までの1回の生理周期の自然妊娠率は約30%、35歳だと18%、40歳になると5%にまで下がります。ちょうど働き盛りである30代半ばから、「妊よう性」は急速に低下すると言われています。
——とてもシビアな数字ですね。妊娠って本当に奇跡なんですね。
妊娠の鍵となるのは卵子の量と質で、
——もしかしたら実際に使わないかもしれませんが、卵子凍結しておくことで保険というか、精神的に安定が生まれますよね。採卵はどのように行われるのでしょうか?
まずは卵巣や子宮の状態をチェックし病気がないかなどを確認します。その後、生理後に排卵誘発剤を使い卵子を育て採卵、その中から成熟卵のみを凍結し、専用のタンクで保管します。弊社の保管システムでは、
東京都で卵子凍結の助成金がスタート。企業の福利厚生にも
——確かに働き盛りの30代前半ですと産休&育休に踏み切れない方が多かったり、第二子が欲しくても一度職場復帰することで、また産休育休を取りづらくなってしまいつい先延ばしに……。そんな話もよく聞きます。
最近では福利厚生の一部として卵子凍結の費用を負担する企業も増えてきています。例えば、
——具体的に卵子凍結に関する費用的にはどのくらいを目安に考えればよいのでしょうか。
初診、検査、採卵凍結まででおよそ40万円。その後、弊社グレイスバンクでの保管費用が年額3.85万円※
※2024年4月〜の「グレイスバンク」新料金。
——今、娘さんが中高生なんていうSTORY世代の方は、子どもの将来の選択肢として大いにありえることですよね。親世代も次世代も背景と現状をしっかりと理解しておくことが大切ですね。
実際に弊社が行っているセミナーに母娘で参加される方もいらっしゃいます。ライフプランや仕事など、この先の人生を自分で決めていくために、なるべく本人が納得のいく選択を……。そのためには「卵子凍結」という選択肢もある。というような親御さんからのメッセージになってもらえたら嬉しいです。
撮影/光文社写真室 取材/石川 恵