特別にエレガントでありたいオケージョン、華やかに装いたいパーティー。忙しくても素敵でありたい毎日にも。STORY世代の日常を彩ってきた、「FOXEY」。この春、新しいクリエイティブディレクターに就任した前田華子さんにインタビュー。1980年から続くブランドを継承するにあたっての心境、今後のビジョンをお聞きしました。
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ブランド継承はプレッシャーを感じつつもワクワクする気持ちに変換
ーFOXEYは華子さんのご両親によって創業されたブランドですが、継承にあたりどのようなお話があったのでしょうか?
普段通りの朝ごはんの食卓で、母から“あなたがFOXEYのクリエイティブディレクターになるのがいいと思う”と話をされました。ブランドの持つ44年という歴史、長年愛してくださったお客様、ブランドのアイコンとして支持されてきた母の存在を考えると、プレッシャーを感じなかったわけではありません。ですが、FOXEYに副社長・PRディレクターとして14年間携わるなかで芽生えたのは“この先もストーリーをつないでいきたい”という想い。その緊張感を、ワクワクする気持ちに変換しました。日本のラグジュアリーブランドとしての丁寧なものづくり、多彩なオケージョンに通用するエレガンスという世界観を守りながら、新たな可能性を見出す取り組みに積極的にチャレンジしていきたいと思っています。
ー華子さんが考える“新しいチャレンジ”の構想が気になります。
昨年の漫画『花より男子』とのコラボレーションは、より多くの方々にFOXEYの魅力に触れていただく機会となりました。国内だけでなくアジアでも大きな話題となり、若い世代からの良いリアクションも。ブランドが長く続いていくためには新鮮なトピック、時代に合わせたアップデートも重要だと思っています。異なるカルチャーとのコラボレーションは、大きなきっかけとなるもの。以前に開催した人気フレンチ「エクアトゥール」のポップアップレストランも好評で“おしゃれして出かける楽しみ”を後押しするようなイベントも随時開催していく予定です。お客様との親和性が高まる素敵なきっかけになれば嬉しいです。
長く愛用できるアイテムを所有するというのはエターナルな喜びでありサスティナブル
ー時代とともに進化するFOXEY。創業以来、「知性、品位、清潔感」を信条としていますが、多様性が謳われる現代において、その価値観は変化していると感じますか?
急速な時の流れにおいても、例えばオードリー・ヘプバーンのように不変的な魅力や価値を持つものがあって、母が掲げた“知性、品位、清潔感”というコンセプトも時代の変化に問われるものではないと思っています。メイド・イン・ジャパンのクオリティへのこだわりも同様で、ファストファッションの人気が高まるなかでも、長く愛用できるアイテムを所有する喜びはエターナル。サスティナブルという側面からも、今後はショッピングをするうえでより重要視されるのではないでしょうか。FOXEYでは1着を10〜20年とメンテナンスしながら着続けているというお客様も多く、44年という歴史はブレない信条とクオリティが所以ではないかと感じています。
いつ何が起こるのか分からないのが人生、困ったときには“お互い様”
ー職場で責任ある役職を任され、自分がリーダーとなり部下やチームを牽引する立場となる人たちが増えているSTORY世代。華子さんはディレクターとして、どのようなことを心がけていますか?
FOXEYは大多数が女性社員で、世代も状況も様々です。そのコミュニケーションから育まれるのは既婚、未婚、シングルマザー、親の介護など、違う立場の人に対する理解。人生はいつ何が起こるかわからず、何か困ったときに“お互い様”と手を差し伸べ合うことのできるムードが自然に生まれています。女性は結婚や出産、子育て、パートナーの仕事など、ライフステージの変化によってキャリアを左右されがちですが、もし働き続けたいと望んでくれるなら、希望に寄り添える環境を今以上に整えていくことが私の役目だと思っています。パートナーの転勤先に支店があれば異動できるかを検討したり、やむをえず休職しなければならない場合には業務委託などの相談にのるなど、社員の声を拾うよう心がけています。
日々大忙しなSTORY世代には“フォクシー ニューヨーク”ラインがぴったり
ー華子さんがクリエイティブディレクターとして手がけたコレクションから、STORY世代におすすめのアイテムを教えてください。
取材/櫻井 浩美