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元舞台女優が、児童養護施設の子どもを預かる「フレンドホーム」を経験して感じたこととは

「ママ似? パパ似?」…日本では血縁を重んじる文化があり、親子の血縁関係があることを前提とした会話がなされることも多くあります。しかし、血縁があっても関係が良好でない場合もあり、逆に血の繫がりがなくても深い信頼関係を築く親子もいます。
幸せな親子とは何でしょう? さまざまなカタチの親子関係は、悩みや葛藤を抱えるSTORY世代にとって、道しるべになるかもしれません。

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佐東亜耶さん 57歳
東京都在住 元舞台女優

「フレンドホーム」を知り、参加

フレンドホームは私たちにとっても
かけがえのない経験となりました

結婚後、海外の子ども支援活動に携わり、’14 年からは、日本の児童福祉施設でのボランティア活動を始めた佐東さん。活動する施設で、自室に引きこもり、学校に行けず、職員とのコミュニケーションがとりづらい子がいることを知りました。

「環境を変えることで役に立てないか?」と考え、職員と相談し、都に、「フレンドホーム」という制度があることを教えてもらいました。「乳児院や児童養護施設で暮らす子どもを、夏休みや週末など、学校が休みの期間に預かる制度です。それを利用して、その子を我が家で預かりたいと思ったのですが、最初は迷いもありました」。

というのも、亜耶さんのご主人は、俳優の佐藤浩市さん。「家庭ではくつろいでほしいと思っていましたので、初めて会う子と家で生活するのを受け入れてくれるだろうかと。しかも、ホームになるには、家の様子を職員が確認に訪れ、夫婦そろっての面談もあります。数カ月逡巡した末に、思い切って切り出すと、夫は意外にもあっさり『いいんじゃない?』と言ってくれて」。

そうして、16歳の女の子を双方の都合が合うときに、預かるようになりました。「ずっと話をしていなかったようで、声が小さく、挨拶ができない様子でしたが、親戚の子が遊びに来たくらいの距離感で、見守り続けました。普段の日常生活を送るだけですが、実子が男の子だったので、女の子と買物に行ったり、花を生けたりするのは楽しかったですね。3年くらいたったころ、彼女と夫が2人でコンビニに出かけて行ったのを見て、あたたかな気持ちになりました」。

そんな交流を4年続け、今年の2月、20歳になり、一人暮らしを始めたところでホームが終了しました。

「子どもは家庭生活をとおして、家族の人間関係や家事、価値観を学ぶことができます。一方、受け入れる側も、子どもが来ていないときも夫婦で彼女の話をしたり、成長に一喜一憂したりと幸せな時間をすごすことができるんです。夫は、息子には厳しい父親だったかもしれず、こうすればよかったかなという思いを持って彼女には接してくれていたようでした。彼女はマンゴーが大好きなんですが、夫が外出先で思い出して、大きなマンゴーを買ってきたことも。美味しそうに食べる彼女の姿に、目じりを下げていました。親として、もう一度勉強させてもらった宝物のような経験だったと感謝しています。里親や養子は難しくても、フレンドホーム同様の短期里親等の制度が各地にあることを知ってもらい、参加してもらえたらと。たくさんの大人に囲まれて愛された子どもたちは、必ず素敵な未来を創ってくれると信じているんです」。

児童福祉施設を出たあとの子どもたちにも学びの場が必要と強く感じ、『一般社団法人 泉鳳』を立ち上げ、現在活動しています。

「子どもの環境を整えることが、大人の役目だと思うのです」と亜耶さん。さまざまな活動で知り合った子どもたちからの手紙は宝物。亜耶さんを親のように慕う言葉が詰まっています。

<編集後記> 愛と行動力に満ちた亜耶さん。笑顔が素敵でした 里親制度については何回か取材してきましたが、今回、初めて「フレンドホーム」制度を知りました。そして、佐藤浩市さんのご家庭がホームになっていたということに、本当に驚き、感動しました。亜耶さんが立ち上げているほかの活動やプロジェクトについても、ぜひ今後お伝えしていきたいです。(ライター 秋元恵美)

撮影/平井敬治 取材/秋元恵美 ※情報は2024年6月号掲載時のものです。

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